00:02
ひつじ
こんにちは、ポッドキャスト心理士のこころです。
ここでは僕、ひつじが、心理カウンセリングで何をするの?を、心理士のゲストにインタビューしています。
心理カウンセリングを身近に感じてもらい、人生を豊かにするために使ってもらえたらと考えています。
今日は、医療機関でお仕事をされている心理士のAzuさんに来てもらいました。
Azuさん、よろしくお願いします。
Azuさん
よろしくお願いします。
ひつじ
Azuさんと僕は、同じ医療機関で心理士として働いています。
通常、心理士はクライアントさんと個室で、一対一でカウンセリングとか心理検査をすることが多いので、
同じ職場で働いていても、実はお互いにどのような仕事をしているのか、あまり見る機会がありません。
今日は、Azuさんについてと、Azuさんのお仕事について聞けていけたらと思います。よろしくお願いします。
Azuさん
よろしくお願いします。
Azuさんの経歴と心理士への道
ひつじ
Azuさん、簡単に自己紹介してもらえますか?
Azuさん
はい。今、臨床心理士と公認心理士な資格を持って、精神科のクリニックで働いています。
ひつじ
そもそも、なぜ心理士に目指そうと思ったのか、この辺から聞いていきたいんですけど、どうして心理士になろうと思ったのですか?
Azuさん
どうして心理士になろうと思ったのか、ものすごく昔にさかのぼる話なんですけど、
幼少期の頃からずっと絵画を習い事で習っていまして、その時は画家になろうと思って絵を習っていたんですけど、
15年くらい通っていたのかな。
で、絵の才能はないっていうことに思春期になって気づき、
そしたら、ほんとたまたまなんですけど、そこの絵画教室の先生が心理学の先生だったんですね。
大学で幼児心理学を教えていらっしゃるので、ちょうど進路を選択するような時期だったので、
心理学を勉強してみようと思って始めたのが一番最初です。
そこから大学に行き、臨床心理士というものがあるんだっていうのを知り、大学院進学するんですけど、
その時にやってたバイトが、社員さんとか派遣の方もそうですけど、ものすごいメンタル不調の方が多くて、
次々と休職されていってたんですよね。その人たちのケアってどうなってるんだろうっていうところに興味を持って、
それまでざっくりと心理学を学んでいたんだけれども、
分野として産業領域の心理学、メンタルヘルスに興味を持って、大学院ではその勉強をしています。
ひつじ
絵画をしていて、ちょっと絵画では難しいなと思った時期が高校生ぐらい?
Azuさん
中3とか高1とかのぐらい。
ひつじ
その時の絵画の先生が、大学で心理学の先生だったんですか?
Azuさん
そう。正確には短大なんですけど、幼児心理学を教えてらっしゃってて、
プラス、本当に画家なので絵も描いてたんですけど、絵画療法とか絵を見て分析をしていくような方です。
ひつじ
だから絵から入って心理学に誘われたということね。
大学で心理学を勉強して、バイトしている時にバイト先の人たちが、
社員さんとかがメンタル不調で元気がなくなっていくのを見て、
働く人たちのメンタルケアってどうなっているんだということで、
産業領域、働く人のメンタルヘルスというのを大学院で研究されたということですか?
Azuさん
そうですね。
心理士のアプローチと仕事内容
ひつじ
それで心理士は心理療法というか、カウンセリングのスキルも学んでいくんですが、
結構たくさんの流派というかアプローチがあったりするんだけども、
Azuさんはどういうアプローチを主に学ばれたんですか?
Azuさん
それすごい難しいんですよね。
大学院のときのゼミの教授は精神分析でした。
ひつじ
なるほど。フロイトさんですね。
Azuさん
そうですね。フロイトのそうですそうです。
だからといって私が精神分析だったかというと、そういう感じではないんですけど、
とにかく何がいいのかというのか、自分にしっくりくるものかというのはものすごいさまよっていて、
今のところこれが一番しっくりくるなというのはソリューションフォーカスです。
ひつじ
ソリューションフォーカス。
Azuさん
ソリューションフォーカスとアプローチというのが今のところ一番しっくりきているかなと思っています。
ひつじ
日本語で何て言うんですか?
Azuさん
解決志向アプローチ。
ひつじ
なるほど。簡単に専門家でない人に説明するとどういうアプローチなのか。
すごく簡単に言うと。
Azuさん
過去じゃなくて、未来に目を向けて考えていきましょう。
プランを立てたりだとか、自分のあるべき姿みたいなのを考えていきましょうみたいなアプローチかな。
あとはネガティブなこととか失敗とか、そういうところを掘り下げていくっていうのではなくて、
どちらかというと自分のいいところとか強みになるところを活かしていきましょうっていう感じですかね。
ひつじ
そういうのを自分のメインとして持っていらっしゃって、今までの仕事は?
大学院に出た後は働いている人のメンタルケアをしていたのか?
Azuさん
大学院に卒業してからは、企業で働く方のメンタルサポート、EAPっていうのが多分呼ばれる方で有名かなと思うんですけど、
それをやっている会社に入って、いろんな企業に行って給食されている方のカウンセリングしたりだとか、働いている方のカウンセリングもしたりとか、
ひつじ
あとは新入社員の方とか、新しく管理職になった方に対してメンタルヘルスの研修をしたりだとか。
で、その後は病院?
Azuさん
はい、その後は精神科の病院で、児童思春期病棟っていうのがある病院と、そこの先住の心理師として働き始めました。
ひつじ
じゃあ最初は働く人だったんだけど、病院では児童思春期病棟っていう未成年の方に変わっていったんですね。
Azuさん
そうなんです。
ひつじ
その背景は?
Azuさん
転職したところの病院が大人を今まで見てきたから、大人の方が入院されている病院だったので、そこの分野で自分がやってきたことを活かせると思いますっていうことで入ったんだけども、
蓋を開けてみたら児童病棟に配属されてたっていう。
ひつじ
そういうこと。なるほどね。
でも同じ人間だから、大人も子供も基本的には同じだっていうイメージなんだけど、やっぱり違いました?
Azuさん
全然違いましたね。
ひつじ
で、何か結構戸惑ったとか、違いを感じたのはどういうとこ?
Azuさん
その時の感覚ですけど、大人とお話しするときってどちらかというと言葉をたくさん使うから、頭を使うなっていうイメージがあったんですよね。
でも子供になると、子供っていろんな年齢いますけど、そんなに自分の自己表現が上手じゃなかったりだとか、
言葉よりかも非言語的な、入院なので生活の様子とか、何か喋ってるとき状態とか、
ノンバーバルなところを見る力の方がものすごく使うなと思って。
なので、自分の中の、何だろう、分かんないですけど、今まで使ってた脳と違う部分の脳を使わないといけない。
そこをうまくシフトチェンジしていくっていうのがすごく難しかった。
ひつじ
大人は大体の人が言葉をちゃんと使えるから、バーバルでのサポート・カウンセリングがメインだったけど、
子供はどっちかっていうと、言語化がまだ幼かったりするから、非言語、特に入院病棟だと生活の状況を見れるから、
一対一でいるときだけでなく、普通に生活している場面での様子を観察したりとか、そういうものが入ってきたから、
頭の使っている部位が変わったっていうこと。
Azuさん
(笑)分かんないです。なんとなくそんな感じです
ひつじ
そこで8年でしょ?
Azuさん
そうですね、8年くらい。
ひつじ
で、今のクリニックに移ったっていうことですね。
で、今の仕事になって、今のクリニックは子供?
Azuさん
今のクリニックは子供です。
ひつじ
なるほど、今の仕事について教えてもらいたいんですけど。
Azuさんの現在のクリニックでの仕事
Azuさん
クリニックが発達障がいのお子さんを多く見ているクリニックなので、
基本的には発達障がいの診断がついていたりだとか、特性があるお子さんが対象者ですね。
年齢の幅としては、今私が見ているのは小学生から20代前くらいまでの方ですね。
ひつじ
なるほど。
発達障がいっていうのは分類名だから、実際の診断は自閉症スペクトラムとか注意・欠如多動症とか、
そういう診断がついているお子さんだったり、診断はついてないんだけど、生活する上でちょっと個性的な面が出て、
社会的に学校に行くのが難しかったりとか、そういう感じの子たち。
Azuさん
そうです。
ひつじ
そういう子たちに、Azuさんは何をしてあげてるんですか?
Azuさん
何してあげてるんですかね。
心理士としての仕事としては、心理アセスメント発達の検査をしたりだとか、
そのお子さんとカウンセリングをしていくっていうことと、あとは通っている学校の先生と連携したり、
あとはそのお子さんのご家族、ご両親と情報を共有して、みんなでその子を支えていくみたいなところが主な仕事ですかね。
ひつじ
うんうん。
じゃあまず何か困り事があって、そういうお子さんが来られた時に、最初はやっぱりその状態というか見立てを立てなきゃいけないから、
どれだけ発達しているのかとか、そういうところの検査とかアセスメントをするっていうことね。
Azuさん
そうですね。
ひつじ
で、そこからカウンセリングになる子もいるわけだけど、検査からどんな流れでカウンセリングになるんでした?
Azuさん
検査した時に必ず困っていることへのサポート案とか、
あとは今は困ってなかったとしても、将来的にこういうところがちょっと強くなっていくといいんじゃないかなっていうのを提案させてもらうんですけど、
その提案した中にカウンセリングの中で一緒に取り組めそうなものがあった場合、そこを一緒にやっていくっていう。
ひつじ
なるほど、なるほど。
なんかカウンセリングでできることって、そういう学生さんのクライアントさんに対してできることってどんなことなんですかね?
Azuさん
これ年齢によっても全然まちまちだと思うんですけど、
例えばですけど、やっぱり見えないものに対しての表現が難しいお子さんとか、
見えないものは例えば自分の気持ちだったり、相手の気持ちだったり、言葉の裏に隠されている情報だったり、
あるいはその場では行われてないけども、その場にはいない第三者の情報だったり、
とにかく今目の前にないものに対して考えたり表現したりするのが弱いお子さんに対しては、
そこを少しそういう時はどういうことが考えられるかとか、自分の気持ちに少しフォーカスを当ててみるとか、
ソーシャルスキルトレーニングの目的
Azuさん
いわゆるソーシャルスキルトレーニングって言われているようなものとかを取り入れながらスキルアップっていうのかな、広げていったり。
あとは単純にやっぱり人に話すっていうことが少ない人ってどうしても表現力って弱いから、
とにかくまずは喋ってもらって、そこから自分のことを知っていったり考えていくきっかけにしてもらうっていうことかな。
ひつじ
うんうんうん。
だから、Azuさんのクライアントさんはお子さんで、どっちかっていうと目に見えないものを想像することに課題がある子が多いから、
そういうのをスキルアップすることで、学校で他の人とコミュニケーションが取りやすくなったり、
学校で過ごしやすくなったりするっていうところで、ソーシャルスキルトレーニングでのスキルアップっていうところにつなげているっていう感じ?
Azuさん
うーん、そうかな。なんか違うかな。
ひつじ
なんか違うんだ。
Azuさん
わかんないな。
それもあるけど、結局あれだな、自己理解かな。
自分のことをちゃんと理解して、できることできないことって誰にでもあるじゃないですか。
できないところとできるところをちゃんと自分で把握して、できるところは伸ばせばいいし、できないところは助けてもらえばいいし、
助けてもらうときに、どうやって助けてもらうのか、どこが助けてくれるのかっていうのも、
自分で探せる力というか、見つけられる力みたいなのを持ってほしいなと思ってやってる。
ひつじ
あー、そういうことね。
これ、大人の人もね、自分で抱え込んだりとか、自分にはできないんで助けてくださいとか、
そういうことできない人って結構不調になりがちな印象あるんだけど、どう?
Azuさん
なんかこうバランスがうまく取れてないっていうか、
なんかすごいやっぱ大変なときって視野狭くなっちゃって、
普段だったら人に手伝ってもらうところも全部自分でやんなきゃって思って抱えすぎたっていうのはあると思う。
大人も一緒。
ひつじ
大人も一緒ですね。
Azuさん
最初違うなと思ったけど、結局一緒。
ひつじ
あー、そういう面でね。
そういうカウンセリングをしている中で、これはちょっと自分大事にしてるんだよとか、
クライアントさんと向き合うときに大事にしてるものとかってあったりするんですか?
Azuさん
問題とか悩みとかの答えは全部患者さんが持っていて、
カウンセラーが教えるものではなくて、
こうやってカウンセリングしている中から患者さんが持っている本来の力を築いてもらうっていうような考え方なんですけど、
相談に来ているクライアントさんって困ってて悩んでてくるから、
どうしても専門家としていい助言をしなきゃとか、
解決策を見つけてあげなきゃみたいな気持ちになることもあるんだけども、
でも本来そういうことではなくて、やっぱりその人がその人らしくできる解決の仕方、
しかもそれが今までやってきた中にあったりするから、
そういったその人たちの力っていうのを信じるというか。
そこはすごく大切にして重きを置いていること。
何も考えないでいると、
この人全然ここができてないじゃんとか、こういうところ足りてないじゃん、だからそうなんだよっていう風な考えも出てきちゃう時があるんだけど、
でもそうじゃなくて、この人は誰でも何でも乗り越えられる力を持っていて、
その人が知っているんだっていうのを忘れないように大切にしてやってます。
忘れがちだけど。
ひつじ
忘れがちなんだ。
忘れがちっていうのは、こっちは専門家だし、
特に医療機関に来られる方はずいぶん困って来られるから、
こうすればいいじゃんとか、この人こういうこともできてないんだったらこうすればいいとか思いがちなんだけど、
本来人間は自分の中に自分を前進させる力を持っている?
うん、そんな感じだね。
Azuさん
気持ち大事。
ひつじ
信じる気持ちが大事だけど、ついつい忘れてしまうと。
Azuさん
ついつい信じられなくなる。
ひつじ
信じられなくなるときもあるんですね。
心理師も人間ですからね、迷うときもありますけど、
信じようとするんですね。
Azuさん
そう、信じようとする。
ひつじ
なるほど、なるほど。
どうしても心理士っていうのは、クラウンさんと一対一で個室の中で検査したりとか、
カウンセリングしたりって思われがちなんだけど、
連携するっていうのも大事だから。
Azuさん
やっぱり人って一人じゃ生きてないし、
特に子供の場合だと周りに関わってくれたり支えてくれる人がすごく多い。
みんなで同じ方向向いて支援をしていくっていうのをすごく大事にしていて、
そのために家族だったり学校の先生だったり、
この子を支えていく人たちとちゃんと情報を共有して、
同じ方向向いてやっていきましょうねっていうのを、
要所要所で確認しながら進めていくっていうのも大事にしています。
ひつじ
なるほどね。
カウンセリング受けようかなどうしようかなって、
迷ってる方に助言とかアドバイスとかあります?
Azuさん
迷ってる方に?
受けたことないなら一回受けてみるって言ってもいいと思うんですよね。
何のバイアスもなく自分の話を30分なり1時間なり聞いてもらう体験って、
普通に生きてたらないと思うんですよ。
友達に話を聞いてもらったとしても、
友達の考え方とか友達の価値観で返事が返ってくるから、
純粋に自分の話だけを聞いて考えてもらう。
しかも専門的に考えたり見たりしてもらって聞いてもらうっていうのって、
普通に生きてたらないと体験してみてもいいんじゃないかなって思います。
ひつじ
なるほど。ありがとうございます。
Azuさんにカウンセリングしてもらうと、
こうしなさいよ、ああしなさいよじゃなくて、
その人の中にある良さとか強さを信じてカウンセリングしてもらえるから。
Azuさん
でもこうして欲しいとか言って欲しいだったら言いますけど。
ひつじ
助言して欲しいって言われたらするけど。
言われてないのにああしなさい、こうしてくださいは言わないで。
Azuさんが、力を信じてカウンセリングしますよってことですよね。
Azuさんとは同じ職場で働いているんですけど、
Azuさんが信じてどのようにお仕事に向き合っていらっしゃるのかが理解できてとても有意義でした。
Azuさん
そうですか。ありがとう。
ひつじ
ありがとうございます。今後とも同僚として一緒によろしくお願いします。
今日はありがとうございました。
Azuさん
ありがとうございました。