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2022-04-17 28:44

面白すぎる将棋棋士と評価値ディストピア

天才肌で個性的、面白すぎる将棋棋士のエピソードと、佐藤天彦九段が提唱した「評価値ディストピア」という世界観についてご紹介させていただきます。

・セミラジオで発生したシンクロニシティについて
・王将戦罰ゲーム
・電王戦 伝説の「角不成」
・評価値ディストピア
・終盤戦は泥水一気飲み


100匹目の猿
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BE%E5%8C%B9%E7%9B%AE%E3%81%AE%E7%8C%BF%E7%8F%BE%E8%B1%A1

王将戦罰ゲーム
http://blog.livedoor.jp/nifu_senkin-daily/archives/78301742.html

将棋電王戦FINAL 第2局 永瀬拓矢六段 vs Selene
https://www.youtube.com/watch?v=QobEDQEw5ss

評価値ディストピアをどう生きるか【佐藤天彦九段】
https://www.youtube.com/watch?v=7Y7QpAGE7HA

佐藤天彦九段
https://www.shogi.or.jp/player/pro/263.html

生物系イラストレーター susumu nakajimaさん
https://www.instagram.com/susumu.nakajima/

susumu nakajimaさんのポッドキャスト「ススムアート」
https://open.spotify.com/show/16N09NRDSSYHZrJgXGo5HI?uid=f41f767d029fd16bf1cd&uri=spotify%3Aepisode%3A3Ae0hFlhZf5DtRRTLfIGPf



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00:02
みなさん、こんにちは。 自然を愛するウェブエンジニア、せみやまです。
今日は、あまりにも個性的で面白すぎる
将棋棋士たちの世界と、将棋界を覆っている評価値ディストピアという世界観についてご紹介させていただきます。
本題に入る前に、ちょっと雑談なんですが、前回、ビコールイという花で歩く不思議な生き物の話をしたんですが、
以前もセミラジオでご紹介させていただいた、いつもセミラジオを聞いていただいている生き物系イラストレーターの
すすむ中嶋さんにメッセージをいただきました。 なんと、僕がビコールイのラジオをアップした当日に
すすむさんはご実家に帰られていたそうなんですが、 その時ご実家の本棚から
もう一回読みたいなということで持ち帰ってきていたのが、まさにこのビコールイの本だったそうなんです。
いやー、こんなことあるんですね。 驚きました。すすむさんも驚かれてメッセージを送ってくださったんですね。
先日もウツロオブネという、ちょっとオカルト寄りのお話をしましたけど、 今回はセミラジオを通じてシンクロニシティが発生しましたね。
このセミラジオを続けていくことで、今後一体何が発生していくのか、 今後は特に何も発生はしないのか、ちょっとわかりませんけども、
ワクワクしますね。 すすむさん、改めてメッセージありがとうございました。
シンクロニシティという話で言うと、僕が好きな話があって、 100匹目の猿という話があるので、ちょっとご紹介したいんですけども、
100匹目の猿っていうのはどんな話かというと、 宮崎県に神島という無人島があるんですが、
そこに日本猿が住んでるんですね。 で、この島の猿は他の地域にはないユニークな文化を持っています。
この神島は京都大学の霊長類研究グループが 1950年代から日本猿に餌付けをして研究を行っているんですけども、
ある時期から猿が餌付けでもらった芋を海水につけて洗って食べるという行動をするようになったそうなんです。
海水につけるのは土を落としたり塩味がついて美味しいと感じるためだと考えられています。
そして重要なのはこの猿の芋を海水で洗って食べるという文化が 世代を超えて継承され続けているということなんですね。
03:06
親猿から子猿へ、または群れの仲間同士でその文化を共有しているんです。
おそらく想像するとこんな感じだと思うんですが、 いやいやちょっとそこの君待ちたまえと
もらった芋をそのまま食うなんてはしたないことをするんじゃないよと こうやってちゃんと海水につけて食べるのが文化的な猿としてのマナーなんだよと
みたいな感じでですね。 でここまでは人間以外の動物にも文化が認められた実例ということなんですが
百匹目の猿というのはこの神島の猿の話を題材にさらに飛躍させた内容になっています。
百匹目の猿を提唱したのは生物学者のライアル・ワトソンという人で 神島の猿たちに芋洗い行動が浸透しきったその時
神島から遠く離れた大分県高崎山の猿にも 芋洗い行動が観察され始めたというのがその説の発端です
ライアル・ワトソンは生物の群れの一定数がある文化を受け入れたとき 遠く離れた場所の同種の生物にもその文化が受け継がれるのではないか
その文化のシェアのために必要な個体数が だいたい100匹くらいなのではないかと考えました
これが百匹目の猿という説なんですね
実際には神島の猿の中にも芋を洗わない個体がいたり
今現在は餌付けが停止していて代わりに生魚を捕獲するという新たな文化が生まれたりしているとかで
ちょっと真偽のほどは定かではないんですが
心理学者のユングの唱えた集合無意識説みたいなところにもつながりますし
一つの考え方として面白いなぁと思うのでご紹介させていただきました
それでは本題に入りたいと思います
今回は個性的で面白すぎる将棋騎士たちの世界ということで
僕が将棋界をウォッチしてきた中で目撃してきた
それぞれが天才肌で個性的な将棋騎士のエピソードについてお話ししたいと思います
また佐藤天彦九段によって提唱された
氷河地ディストピアという世界観についてもご紹介できればと思っています
僕は将棋については子供の頃にルールを覚えて
断続的ではありますが趣味としてやってきていました
最近はもっぱら自分では将棋はささずに
06:00
騎士の対局実況を見たり騎士の日々の動向をウォッチする
見る将棋ファン通称見るショーをやっています
見る方に関しては以前やっていたニコニコ動画の将棋中継で
将棋の騎士って面白い人多いなぁと感じて
割と積極的に見るようになりました
将棋騎士って天才肌で個性的で面白い人が本当に多くて
ウォッチしがいがあるんですよね
将棋界で面白といえばまずご紹介したいのが
王将選抜ゲームですね
これは何かというと
将棋界には現在すべての騎士の目標であるタイトルが8つあります
そのうちの5つを藤井壮太氏が持っており
藤井壮太五官と呼ばれることになってるわけなんですね
王将選はその藤井壮太五官の持つタイトルの一つで
スポーツ日本新聞社と毎日新聞社が主催しています
スポーツ日本新聞社通称スポニチのスポーツ新聞ということで
他のタイトルとは一味違うというか
ノリがコミカルなんですね
王将選は毎年決勝リーグを勝ち抜いた挑戦者とタイトル保持者が
7番勝負を戦って挑戦者が勝てばその人が新たな王将になって
現王将が勝てばタイトル防衛ということになります
王将選抜ゲームというのはこの番勝負で勝った方が
対局場所にまつわる愉快なコスプレをして
スポニチの一面を飾るという恒例の人気企画です
2021年は当時の王将である渡辺昭王将に藤井壮太氏が挑戦し
ストレートの4連勝でタイトルをダッシュしたので
スポニチの一面に藤井壮太氏の愉快なコスプレが
バンバン掲載されることになりました
電車が好きな藤井さんが駅員の制服を着て
一日駅長をやってみたり
大阪名物の食い倒れ人形にフンしてみたり
過去の王将選抜ゲームでもインパクトがある写真がたくさん撮られていて
海辺で洋風のチェアに座ってテーブルの上に置いてある
将棋盤で将棋をする佐藤泰光先生なんかの写真が撮られています
これ言葉で言っても伝わりづらいと思うので
概要欄のリンクから是非見て欲しいんですが
海辺で将棋をする意味がわからないですし
逆光になって無駄にドラマティックだし
写真を撮った人の核心反ぶりがすごく伝わってくる
王将選抜ゲームを象徴するような一枚になっています
09:03
撮られる人によってノリノリだったりそうでもなかったり
写真を見ながらその人のスタンスがうかがい知れるのも見どころの一つで
例えば藤子藤雄Aのマタロウにそっくりで知られている渡辺昭紀王はいつもノリノリなんですが
阿部義晴九段はちょっとやらされてる感がうかがえるみたいな感じですね
そういうところも見どころの一つだったりします
王将選抜ゲームに関しては言葉でいろいろ説明するよりは
写真を見てもらった方がいいと思うので概要欄からチェックしてみてくださいね
次にご紹介したいのは阿部さんのアイスの話です
阿部さん、阿部義晴九段はタイトル獲得99期や
衛星7巻など全人未踏の記録の数々を打ち立ててきた生きるレジェンドです
その阿部さんが深浦九段という騎士とのタイトル戦に臨むことになりました
このアイスの話はその深浦九段からご実談として語られたものなんですが
タイトル戦って対局中にデザートを頼めるんですね
で、観戦対策が始まる前はタイトルホルダーと挑戦者も
普通に対局室でデザートを食べる習慣があったんです
で、阿部さんはアイスを頼んだんですけども
アイスが部屋に届けられたタイミングが
ちょうど将棋の局面が過強に入っていて
阿部さんは集中してずっと考えていたそうなんです
アイス食べてる場合じゃないと
で、一心不乱に集中して考える中
アイスがじわじわ溶けていくわけです
深浦九段は最初の方こそ将棋に集中していたんですけども
途中から将棋の内容より溶けていくアイスのことが気になって
阿部さん早くアイス食べないと溶けちゃいますよと
内心気が切れなかったそうです
ただ将棋の騎士って対局中
対局相手に話しかけることって基本的にないので
どうすることもできず
ただ溶けていくアイスを見守ることしかできなかったわけです
しかし阿部さんは将棋の局面に夢中になって
アイスに手をつけずそのうちアイスは完全に溶けて
液状化したバニラジュースみたいになってしまいました
それでも阿部さんはアイスの方を見ようともしないと
そこで深浦氏は
あぁ阿部さんは溶けていくアイスのことも気にならないくらい集中してるんだなぁと
感服して自分も将棋に集中して考え始めたそうです
12:04
しかしそこで話は終わりませんでした
その後で阿部さんがどうしたかというと
しばらくしてから阿部さんがおもむろにアイスの器に手を伸ばして
その溶けきったアイスというか液状化したバニラジュースを
ズズズッと勢いよく飲み始めたそうです
そこで深浦くだんはこの将棋負けたなぁと思ったという話でした
この話溶けきったアイスを飲み干すのもすごいですし
それを生きるレジェンドである阿部さんが結婚したんだというインパクトもあって
見る将棋ファンの間では有名な話だったりします
続いて将棋へのストイックな姿勢で知られ
軍曹の異名を持つ長瀬王座のことをご紹介したいと思います
藤沢五官と研究会を行っていることでも知られている長瀬王座ですが
長瀬王座の対局は他の棋士に比べて非常に高い確率で
先日手になることで知られています
先日手というのは同じ局面が4回連続で出現した時に
その将棋は差し直しになるというルールのことです
どういう時に先日手になるかというと
お互いにその手以外を指すと不利になってしまう
袋小字みたいな状態になってしまった時
ある意味お互いに合意の上で発生するものです
長瀬氏は負けない将棋という本も出していて
勝利への執着心がとても強いことで知られています
先日手差し直しは何時間もかけて作り上げてきた
その将棋を一旦リセットすることになるので
対局者にとっても体力がいることだと思うんですよね
しかし長瀬氏の対局ではその先日手が非常に多い
これは不利な局面になるくらいだったら
隙あらば先日手に持ち込んで
何時間でも続きをやりましょうというスタンスなんですね
対局相手にとってはかなり怖いと思います
長瀬氏の将棋へのストイックな姿勢
そこ知れない勝ちへの執念が高い先日手率に現れていると思います
長瀬氏を語る上で
伝王戦ファイナルでの将棋ソフトセレーネとの対局についても
ご紹介したいんですが
伝王戦は過去にニコニコ動画で放送された
5人のプロ棋士と5種類の将棋AIが戦う団体戦です
2015年に開催された伝王戦ファイナルは
団体戦としての伝王戦を締めくくる戦いとして開催され
15:03
岸川から見て3勝2敗の結果に終わりました
そのうちの1勝を飾ったのが長瀬氏で
セレーネという将棋ソフトと戦ったんですが
その勝ち方は将棋ファンの間で大きな反響を呼びました
セレーネに対して長瀬氏が有利と見られる局面まで進み
そのまま正確に長瀬氏が差し切れば勝てそうだという局面で
長瀬氏が指した一手が伝説として語られています
それは敵陣に入った角をならないという手でした
将棋の角という駒は斜めにどこまでも進めますが
敵陣に入ると龍馬という縦横にも進めるより強い駒になることができます
この時龍馬にならないという選択もルール上できるんですが
メリットがほぼないので
敵陣に入った角をならないという選択は通常ありえないんですね
でも長瀬氏は角ならずとした
意外な一手に剣刀陣もどよめきました
でこの角をならないという手が実は同時にセレーネの王様への大手にもなってまして
セレーネ側は角を取るなり逃げるなり対応しないといけないわけです
ところが長瀬氏の角ならずに対するセレーネの反応はどうだったかというと
表面上はフリーズしてしまったんですね
次の差し手を示すことなくソフトが止まっちゃったんですね
でどうなってんのということで運営がざわつく中長瀬氏は
ほっとくと投了すると思うんですけどと
今でも将棋ファンの間で語り草になっている一言を話しました
そして飛車と駒ならずを認識できてないと
セレーネのバグについて言及したんです
どういうことかというとこの将棋ソフトセレーネは角ならずで大手という
通常の対局ではまず発生しない状況に対応できておらず
ソフトの内部的には大手を無視して敵陣に銀を打つという反則手を示していました
大手を放置するというのは将棋の中では反則になるんですね
しかし指し手を外部に出力するための将棋上という汎用ソフトが
セレーネの示した手は反則であるという判断を下して
内部エラーでフリーズして止まっていたということだったんです
18:00
長瀬氏は事前に提供されていたセレーネを研究し
ソフトのバグで駒ならずで大手をされた場合それを認識できないということを発見していたんですね
そしてあえて自分が有利な局面で駒ならずを実行することで
ソフトのバグのおかげで勝ったんだという批判を交わしつつ
ソフトの不具合について指摘したわけです
すごくかっこいい勝ち方なんですけど
僕も本業でプログラミングをしている立場からすると
ソフト開発者の片目線で考えると
これはきついと思ってしまいました
ただこの時期ってプロ騎士がソフトに負けるっていうことに対する抵抗感がかなり強かったですし
騎士もそういう状況の中で自身の尊厳をかけて戦っていたんですよね
この長瀬対セレーネ戦は戦うってそういうことだよねと
戦いの中ではこういうことも起こりますよねっていう長瀬氏のスタンスを感じました
それと長瀬氏といえばバナナです
長瀬氏は対局時の栄養補給にバナナを好むことで知られており
一度の対局で何本もバナナを食べることもあって
バナナ合わせの相性もあります
バナナの味が好きというより戦いのための栄養補給として効率がいいからバナナを選んでるという感じで
これもまたストイックさのなせる技なんですね
それと食べ物絡みで言うと長瀬氏の対局で忘れられないのは
2019年の栄養戦、挑戦者決定戦ですね
高見栄夫に対する挑戦権をかけて長瀬氏が戦ったこの一戦
挑戦者決定2番勝負の第一局
持ち時間を使い切りお互い1分将棋にもつれ込む中
長瀬氏がカバンから取り出したのはフィナンシェでした
いつもは栄養補給にバナナを用いる長瀬氏なんですが
1分将棋という状況下では皮を剥いたり片付けたりというのがタイムロスになってしまいます
そのため栄養補給して読みを深めるためにはフィナンシェが最適解であるという結論を出していたのだと思います
この対局ニコニコ動画でリアルタイムで見てたんですが
フィナンシェ1個や2個じゃなくてすごい量食べてました
言ってさしてはフィナンシェ食べてを繰り返してましたね
相手の舌打ちの音が聞こえましたね
この状況でどんだけフィナンシェ食うんだよって思ったんでしょうね
21:02
勝利のためにはあらゆる手を尽くす
やはりどこまでもストイックな長瀬氏の生き様がこの1分将棋でフィナンシェ食べ過ぎ事変からも伺えますね
それでは最後に佐藤天彦九段と評価値ディストピアについてご紹介させていただきます
佐藤天彦九段は2016年度の名人戦でハブさんから名人位をダッシュし名人3期を獲得したトップ棋士です
この天彦九段、アンドゥムルメステールというベルギーのファッションブランドの大ファンで
そのファッションやインテリアへのこだわり故に貴族の愛称で呼ばれている棋士です
投了を告げる際にリップを塗る投了リップという独自の作法も将棋ファンの間で話題になっていました
将棋棋士の中にあって独自の美意識を持つ目が離せない存在です
天彦九段の言葉は非常に明晰かつウィットに富んでおり
将棋の実況解説に登場する際はその語り口を味わうことができます
特に第5期英雄戦、長瀬大座対豊島竜王名人戦の実況解説に登場した時の天彦九段はキレッキレでした
当時町道緊急事態宣言の前後に大局があったので
あまり活躍できず自陣に置きっぱなしになっている核のことを
核が自粛中と言ってみたり核がゴーツーできないと言ってみたり
時事問題に絡めた軽妙なトークをジャブとして入れてきていました
そして将棋の評価値と研究について
視聴者の方から寄せられた質問に対しての天彦九段のアンサーが
何かスイッチが入ったかのようにキレッキレでした
まず前提として現在の棋士とソフトによる研究についてご説明しておきたいんですが
先ほど永瀬氏のところでお話しした伝王戦は
棋士とAIが戦うという棋戦だったんですが
実は今はもうそういう時代ではなく
棋士がAIを使って将棋を研究して自分の大局に生かすという時代なんですね
一つ一つの局面や差し手に対して将棋ソフトが示す評価値という数字があるんですが
これは例えばプラス500点だったら5点に対して先手が500点くらい有利という意味になります
この評価値やソフトが示す指標を駆使して
現在の棋士は日夜勝つために研究をしているわけです
24:04
でこの時のニコニコ生放送で寄せられたお便りは
序盤にソフトでマイナス評価が出ていても
結局は序盤のねじり合いで決着がつくことが多くありませんかという
神くだいというとそういう内容の質問でした
事前にソフトを使ってガチガチに研究していても
結局最後は研究しきれない範囲で棋士の底力で決着がついているように見えるんですけどどうなんでしょうか
という質問が来たわけですね
でその質問に対して天彦九段いろいろ思うところがあったのか
トークに画前熱が入ってきたわけです
いろいろと印象的なキーワードが飛び出すんですが
一つ一つ挙げていくと
現在の棋士は座布団に座るまでに疲弊しているという言葉が印象的でした
天彦九段曰くハブサン世代の棋士は午前中はのんびり雑談しながら指していたと
ソフトもなかったし将棋は終盤勝負だよねみたいなイメージですね
ただ現在の棋士は序盤どころか座布団に座る1週間くらい前から勝負が始まってるんだというのが天彦九段の主張で
1週間くらい前から将棋ソフトをカチカチカチカチやって研究して
座布団に対局で座るまでには相当疲弊していると
またソフトの研究によってかなり苦戦を強いられている戦法なんかもあるんですね
例えば振尾飛車という戦法があるんですが
この戦法は自分から見て基本位置は右にある飛車を左に移動させて戦う伝統的な戦法なんですが
現在の将棋ソフトは飛車を左に振った時点で評価値がマイナスになるそうなんです
つまり現在のソフトは評価値的には振尾飛車という戦法自体あんまり有力ではないんですよと言ってるんですね
その一方でプロ棋士の中には振尾飛車刀という基本的に振尾飛車だけで戦っている棋士もいるわけなんですが
そうしたソフトの影響もあって振尾飛車刀が減っているという話もあります
こういうソフトが示す評価値という値を意識せざるを得ない状況を
天彦九段はそのニコ生放送の中で評価値ディストピアと呼んだわけです
すごく秀逸な言葉だなと思いましたね
現代の棋士はみんな評価値ディストピアの中で生存競争をしていると
その評価値ディストピアの中でソフトの価値観をうまく取り入れて
自分の差し手にフィードバックできた人が当格を表していく
27:01
そういう話だったんですね
その他このニコ生放送の中で天彦九段は終盤戦は泥水一気飲みというパワーバードも繰り出してきていました
これには利き手のあじきふさこ女流も
いや泥水は飲めないですよと
ソフトツッコミを入れていました
この終盤戦は泥水一気飲みって割と唐突に天彦九段が言い出したんですよね
あじきふさこ女流のソフトツッコミに対しても
いや終盤戦は泥水一気飲みするくらいの勢いじゃないとダメなんですよとか
いや泥水も水分なんでみたいなことを終始言い続けていました
もうあらゆる意味で天才というか言語感覚も天才的だなと思いました
ネットを探してみたらまとめ動画があったので全部で15分くらいの動画なんですけどこれはぜひ見てほしいですね
天彦九段の魅力が詰まった動画になっています
そういうわけでいろんな将棋のエピソードについて語ってきましたけども
また将棋について面白いエピソードが収集できたらご紹介したいなと思っています
セミラジオではご感想をお待ちしています
ツイッターや概要欄のフォームからメッセージをいただけると嬉しいです
今回は将棋界の面白いエピソードと
佐藤天彦九段の評価値ディストピアについてお話しさせていただきました
ご視聴ありがとうございました
28:44

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