アセスメントの再定義
ここまで、評価や査定を自動的にされるということではなく、自分の人生やキャリアの意思決定のために能動的に活用していくものとしてアセスメントを捉えてきました。
もう少しアセスメントの定義についてお話ししていこうと思います。
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価値を生み出す資産を見つけるって言っていたことですか?評価や査定という定義とどう違うのですか?
そうですね。評価や査定がされるという自動的なもので、多くの人があまり良いイメージを持っていないという話をしてきましたが、もう一つ評価や査定が牽引される理由があると思っています。
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もう一つですか?何だろう?
それは、評価や査定という言葉にはプラスの価値だけを対象にしているニュアンスが強いことです。
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プラスの価値だけを対象にしている、なんとなく当たり前な感じもしますし、特に違和感も感じないですが。
そうですね。価値というと基本的にプラスなものを想像しますよね。
ただそれが自分に向けられると、自分には価値があるのかとか、誰より優秀とかを取っているという不安になり、不安と評価がセットで認識されてしまっているのではないかと思うのです。
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確かに言われてみると、価値はプラスのものと捉えていると、常に自分に価値はあるのか、ライバルに勝っているかみたいなことばかり考えてあまり気が休まらないかも。
でも仕方のないことなんじゃないですか?
どうでしょうね。私たちは自分の価値観や思い込みの眼鏡を通して世の中を見ているので、それで仕方がないというものの見方をしているとそれがその人にとっての事実でもあります。
なのでアセスメントの定義を改めることで見方自体を変えてみようという提案をしたいと思っています。
資産からの価値の発見
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それが岩崎さんが言っているアセスメントの定義の価値を生み出す資産を見つけるってことですか?
そうです。この定義には二つのメッセージを込めています。
一つは、価値は資産から生まれるということ。
もう一つは、価値はプラスに思えるものからも、マイナスに思えるものからもどちらからも発見できるということです。
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なんだか少し難しいかも。
一つずつ見ていきましょう。
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ありがとうございます。
まず、価値は資産から生まれるというものですが、例え話でお伝えしましょう。
アリアルさんは賃貸に住まれてますか?
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はい。賃貸マンションに住んで、毎月嫌になっちゃうような家賃を払っています。
そうですよね。では、仮にその家賃を払う側でなかったとして、もらう側だったらどうですか?
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そんなことはありえないけど、でもそうだったら嬉しいですね。
もらう側だと嬉しくて、払う側だと惜しいと感じるってことは、アリアルさんにとって価値があるものということですよね。
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家賃はお金なので、そうですね。価値があるものです。
ではその価値ある家賃は何から生み出されていると思いますか?
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それは物件ですかね。私が住んでいる部屋の場合はマンションですね。
そうです。それが資産です。
家賃という価値を生み出しているのは不動産という資産です。
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なるほど。身近な事例でお話ししてもらったので、とても分かりやすいです。
イメージが湧いたみたいで良かったです。
それではもう一つ例を出しましょう。
背が低くて座高が高い男の子がバスケ部に入るか柔道部に入るかで悩んでいたら何てアドバイスしてあげますか?
彼は好き嫌いというよりは活躍できるかどうかを悩んでいるとしましょう。
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活躍できるかどうかを悩んでいるなら迷わず柔道部を進めますね。
それはどうしてですか?
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身長が低くて座高が高いとバスケットボールには向いていないし、
反対に座高が高いということは重心が低く安定するから柔道のような競技には向いています。
あ、この場合だと柔道が強いというのが価値で、その価値を生み出しているのが座高が高いという身体という資産ってことですね。
今までそんなこと考えたことがなかったです。とても新鮮です。
理解が深まっていただいたみたいですね。良かったです。
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このように考えると今まで見落としていた価値や資産があるかもしれません。なんだか少しワクワクしますね。