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殺し屋、やってます。 (石持 浅海)
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―――以下読書メモ―――
★超ネタバレ注意★自己責任で読んでください★
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【依頼の決まり】
1.ご自分の身分証明書と、殺したい人の写真をお持ちください。
2.殺したい人の情報(氏名・住所など)をお知らせください。
わからない場合は、こちらでお調べするオプション(別料金)があります。
3.ご依頼を受けてから三日以内に、お引き受けできるかどうかお知らせします。
4.お引き受けした場合、原則として二週間以内に実行いたします。
★補足(その他のルール)
・依頼料は650万
・引き受けた場合は前金で300万振り込んでもらう。
・入金確認後、二週間以内に実行する。
・成功した場合は残金の350万を振り込んでもらう。
・失敗した場合は依頼者に前金300万の返却と、違約金350万を支払う
・依頼料650万の理由は、東証一部上場企業の平均年収がそれくらいだから
・日本を代表する企業の社員が1年間必死に働いてようやく得られる金額を支払ってまで、相手を殺したいのかという見極め
・もしかしたら依頼者は650万なんか端金のような大富豪かもしれないが、殺し屋は依頼者の素性を共有されないので知らん
・依頼者は伊勢殿と呼ばれる人物に依頼をし、伊勢殿は塚原に依頼を伝え、塚原が殺し屋に依頼を伝える。依頼者は伊勢殿以外、伊勢殿は依頼者と塚原以外、塚原は伊勢殿と殺し屋以外、殺し屋は塚原以外の人物と会うことは無いし、会ったこともない。
これを二重盲検法というらしい。
・二週間待てなかったり、殺し方を指定される場合はオプション(別料金)になる
【主要登場人物】
・富澤 允(とみさわ みつる)
▶殺し屋
▶普通の家庭に生まれて普通に大学まで出て、普通に社会人生活をしていた。
▶現在は個人で経営コンサル会社を経営しながら、副業で殺し屋をやっている……が収入面で言えば殺し屋の方が多い
▶ターゲットについて詳しく調べたり、依頼者の動機も聞かないようにしている(過去に邪念が入って失敗した経験から)
・塚原 俊介(つかはら しゅんすけ)
▶連絡係。伊勢殿から来た依頼を殺し屋に伝える。
▶区役所で高齢者生涯学習を担当している
▶殺しの手伝いはしない
▶殺し屋からは、殺し屋に向いてないタイプと言われる。理由は想像しすぎるから。
▶殺し屋曰く、この人はこんな人だとか
・芥川 (あくたがわ
▶通称 伊勢殿(いせどの)
▶依頼の窓口。依頼者から依頼を受け、塚原へ伝える役。
▶殺し屋は会ったことがない
▶芥川歯科医院の院長
・岩井 雪奈(いわい ゆきな)
▶殺し屋が助言を受けたりする相談相手
▶プロの漫画家。月刊誌で連載中
【第一話 黒い水筒の女】
・浜田 瑠璃子(はまだ るりこ)
▶殺しのターゲット
▶稲城市の稲城長沼保育園勤務。スクーター通勤。
▶保護者の雑談で「理事長のコネで入ったからどんな人かと心配してたけどいい先生で良かった」と好評のようだ。同僚や子供たちとも問題なく接してるように見える
▶自宅アパートに他の人の出入りは無く、毎回電気を消して外から施錠して外出するので一人暮らしのようだ
【今回の謎】
濱田瑠璃子は夜中の11時~12時にかけて出歩く。
その足で児童公園に行き、公園の水を流しながら持参した黒い水筒の中身を流して帰宅するという謎の行動をしている。
殺し屋は、殺害前に被害者の事情を考えないようにするため、その行動を謎だとは思っているが、殺害に影響は無いと考え、殺しを実行することに。
退勤後、スクーターで帰る浜田瑠璃子に向かって、自転車で飛び出し、前輪をぶつけ両者共に転倒。
殺し屋は受身をとる。
心配して駆け寄る瑠璃子に、殺し屋はナイフを突き立てた。
殺してしまえばターゲットについていくら考えても、仕事に影響は出ない。
無事、殺害に成功し事務所に戻った殺し屋の富澤は塚原と黒い水筒の謎について話し合う。
【ポッドキャストでは言わない】
▶瑠璃子がスクーターで転倒した際に黒い水筒と白い水筒がバッグから落ちた
【感想】
石持浅海先生の殺人犯が主役の小説は「耳をふさいで夜を走る」を過去に読んだことがあります。
どちらの殺人犯にも共通していることは「大事なのは平常心」。
耳を塞いで~の犯人は素人なので、殺害前後に歯磨きをして歯茎から血が出てないか、出ていたら力んでいる証拠だ!みたいな謎理論で平常心を確かめていたが、
本作の殺し屋は、プロ。
過去の失敗から依頼者やターゲットの情報や、依頼の動機などを完全シャットアウトすることで私情を挟まないようにしている。
そして謎は殺害後に解く。
変則的な安楽椅子探偵ものとなっております。
意外だったのは安楽椅子探偵が殺し屋というところ。
読みながら「想像しすぎるから殺し屋に向いていない」と言われた塚原が安楽椅子探偵で、
殺し屋の富澤が、謎や状況を持ちながら仕事をし、以来達成後に塚原が推理する展開かと思ってた。
あと、仕事後の富澤が情に厚いのがいいね。
殺し屋モードでは私情を挟まないように考えないようにしてるけど、殺したあとに被害者について話していくと情が移って、被害者を褒めたり同情したり熱くなったり!
まじで頭おかしいWWW
こういうのだよ!俺が石持浅海先生に求めてるのは!(* 'ᵕ' )☆
いいのいいの!倫理観なんかどうでも!フィクションなんだから!
自分がナイフ突き立てて殺した相手の悩みに共感して熱くなる殺し屋とか最高じゃん!
そしてこれは謎なんだが、読了後が暗くならない。
まだ短編1つ読んだだけだから今後はわからないけど、主人公が人を殺して非課税の650万手に入れて、殺した人間の生前の行動になんか謎に感情移入して熱くなってるのに、何故かジメッとしない。
なんなの?この謎の技法というか手腕?
石持浅海先生の連続短編だと、座間味くんシリーズとかRの付く月とかあるけど、これが一番好きかも!
座間味くんシリーズは、初登場の月の扉が短編じゃないから、面白い短編集だよっておすすめ
この作品は連続短編集なので今回話した内容は第一話です。
どんな理由で黒い水筒を毎晩公園に流しに行ったのかわかるかな?
大事な情報を隠してるので読まないと分からないと思うよ( •ω- )☆
めちゃくちゃおもしろいので、ぜひ読んでくださーい
【第二話 紙おむつを買う男】
・小此木 勝己(おこのぎ かつみ)
▶今回のターゲット
▶神奈川県大和市在住。市内の会社員。二十五歳
▶勤務先は南大和工務店。営業担当。
▶大学時代に過激派組織に所属していた
【今回の謎】
独身なのに休日に子供用品店へ行き子供用Lサイズの紙おむつを買う男
【第三話 同伴者】
今回のターゲット
・高頭 衣梨奈(たかとう えりな)
依頼者
・藤倉 篤宏(ふじくらあつひろ)
【今回の謎】
なぜか母親同伴で殺しの依頼をしに来た男。
男はろくに話さず、母親が伊勢殿に捲し立てる
【第四話 優柔不断な依頼人】
今回のターゲット
・春山 宏昌(はるやま ひろまさ)
▶グルメ口コミサイトの社長
▶ワンマン社長だが今後の会社の展開に向けて迷っている
▶上場を目指すのか、ライバル企業と提携するのか
【第五話 吸血鬼が狙ってる】
今回のターゲット
・宮永 彩美(みやなが あやみ)
▶立川市在住。既婚者。子なし。会社員
▶同人作家で元コスプレイヤー
▶首筋にキリのようなものを34センチの間隔で2本刺して殺して欲しいというオプション
▶吸血鬼の噛み跡みたいな感じ。オプション料は+30万
【第六話 標的はどっち?】
今回のターゲット
・佐田 結愛(さだ ゆあ)
▶女性とふたりでシェアハウスしている
【第七話 狙われた殺し屋】
今回のターゲット
・富澤 允(とみさわ みつる)
▶殺し屋
【全体の感想】
殺し屋が探偵役の話……かと思いきや、殺しの窓口である伊勢殿が主人公の回があったりなかなかバリエーションに富んでいるなぁ
1話と2話が基本の話で3話からちょっと捻ってくる。
第3話は殺し屋が出ずに殺しの窓口こと伊勢殿がメインの回。
4話目は依頼主が依頼したりキャンセルしたりを繰り返し、キャンセルしても前金は返金しないから別にいいんだけど、ちょっと気になる話。
5話目は初めて殺しのオプションが、使われる。首筋に2本アイスピックのようなものを突き立てて吸血鬼に噛まれた感じで殺して欲しいというもの。
そしてこの第5話で1話目に存在だけ示唆されていた、殺し屋が助言を求める相手、雪奈が登場。
殺し屋と雪奈は、付き合ってるらしく雪菜は結婚まで考えてるらしい
「人殺しと結婚できるの?」と尋ねたら「そしたら軍人は全員独身じゃん」と言われたらしい
こいつもこいつでイカれてやがるwww
6話目ー
これは標的の女性がもう1人の女性とルームシェアしていて調べたらふたりは同姓同名というどっちがターゲットなのかという謎!
そして最終話
これはなんと依頼されたターゲットが殺し屋自身!
本気で殺し屋を営業するなら、依頼主が自分を殺すように頼んで来ても、セーフティネットの二重盲検法を破って伊勢殿に依頼者の情報を聞く訳にはいかない。
1回だけルールを破ってもいいじゃんって思うけど、仕事をしていると、例外を認められる部分と認められない部分が絶対出てきて、関与者全員の身を守るためのこのルールは絶対に破ることができない。
1度破ってしまえば伊勢殿も自分の身の安全が絶対保証される訳じゃないと察して手を引いてしまうだろう。
フィクションの職業をリアルに描くの本当に上手いよねー
サラリーマンと兼業で作家されてるから、フィクションなのに細かい描写にリアル感が出るのよなー
真面目な方なんだろうなーって読んでて思う
これが石持浅海さんの持ち味だよね
昔インタビューで「兼業だとしっかりとしたトリックを考えている時間がないから、特殊な設定や状況で勝負したい」的なことを仰られていたけど、特殊設定が上手いのよ
ありえない世界観の絶対的なルールを考えて、その世界のリアリティを担保させるって言うのかな?
ちょっと分析と言語化ムズいけどそんな感じ
この作品は所謂、日常の謎がベースだけど、謎を持ってるのが殺しのターゲットだったり依頼者だったりするから「非日常の日常謎」と言った感じかなー!
前述の通り、THE石持浅海作品と言った感じで、短編集で読みやすい!
入門編にピッタリだと思います!
これ読んで気に入ったらデビュー作の「アイルランドの薔薇」を読んでほしいねー
感想
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サマリー
このエピソードでは、石持浅海氏の短編集『殺し屋、やってます。』が紹介されます。主人公である殺し屋・富沢光が、ターゲットや依頼人の奇妙な行動にまつわる「日常の謎」を解き明かすというユニークな設定が魅力です。連絡係の塚原や依頼窓口の伊勢殿が探偵役となる回もあり、物語のバリエーションが豊か。特に、殺し屋自身がターゲットとなる最終話では、ビジネスとしての殺し屋稼業における「二重盲検法」という厳格なルールが深く掘り下げられ、フィクションでありながらリアルな描写が光ります。石持浅海氏の得意とする「特殊設定」と、その世界観における絶対的なルールが織りなすミステリーは、読者を惹きつけ、入門編としても最適な一冊として強く推奨されています。