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2020-11-30 33:04

第23回「ハーモニー」伊藤計劃著 ~天才が描いた病なきユートピア~

【今回の紹介本】

■『ハーモニー』伊藤計劃著

今回第23回目でご紹介するのは伊藤計劃の「ハーモニー」です。

癌で亡くなった著者が、癌末期のときに描いた病のないユートピア。

この想像力に、震えました。是非お楽しみください!

【番組内で紹介したトピック】

■『虐殺器官』伊藤計劃著 ハヤカワJA文庫

https://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/21165.html 

■『ハーモニー』伊藤計劃 ハヤカワJA文庫

https://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/21166.html 

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硬派な文学作品を楽もう!をコンセプトに文学好きの二人がゆる~く文学作品を紹介するラジオ番組です。

案内役の二人は、 東京都内で読書会を主催する「小説が好き!の会」のダイチ

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読書会のようなテイストで、それぞれの視点で紹介していきます!

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#本 #小説 #読書 #読書会 #文学 #海外文学 #ブック

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どうもみなさん、こんにちは。文学ラジオ空飛び猫たちです。この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな二人がゆるーくトークするラジオ番組です。お相手は、私小説が好きの可愛いのダイチと
質疑をめぐるカフェのミエの二人でお送りします。文学のプロではない二人ですが、東京と京都をつないでお互いに好きな作品をそれぞれの視点で紹介していく番組です。
お互いの紹介に関しては、第0回で話しているので、そちらを聞きください。
この週は先週に引き続き、伊藤計劃さんをご紹介します。今週はですね、ハーモニーという作品をご紹介致します。
先週話さなかったんですけど、このですね、伊藤計劃さん、これは先週話したんですけど、34歳で亡くなって、まあその後残された作品のリスペクトがすごくて。
逆殺機関とハーモニーは2015年かな、それぞれアニメ映画化されてますね。
あと、シャアの帝国という伊藤計劃さんがプロローグだけ書き残して亡くなってしまって、その後すごく仲が良かった、これも芥川小作家でいらっしゃる園長堂さんがその後書いたっていう
書籍があるんですけれども、この3作品が確か2015年かな、アニメ映画化されてます。で、私は逆殺機関とハーモニーを見ました。
三重さんは見てないですよね、確かね。 そうですね、僕ねアニメ映画化は見てなかったんですけど、でも今回ね、本読み直してもうすぐ見たくなりました。
ちょっと私記憶が定かじゃないですけど、多分どっちも劇場で見たんじゃないかなと思ってます。逆殺機関の方がなんとなくハマってましたね。
ハーモニーの方はなんかやっぱちょっと自分が持つイメージから、逆殺機関ももちろんイメージから違うなってところがあったんですけど、ハーモニーの方がよりあったかな。
なんかこんな感じなんだ、面白いには面白かったんですけど、やっぱ映像化されてるとわかりやすいなと思いましたね。
なるほど、まあ確かにハーモニーって結構すごい未来社会なんで、どういう世界になってるんだろうっていうのはちょっと映像化気になりますね。
そうですね、あと多分みんなそれぞれちょっと持ってるイメージがあったかなと思う。でもあれだな、ハーモニーはあれはわかりやすかったかな。
オーグは、ちょっとこの後話すんですけど、拡張現実がすごい進んでて、なんかコンタクトレンズみたいなのみんなつけてそこに情報がガンガン入ってくるんですけど、その感じはハーモニーの映像がかなりわかりやすかったなと思いますね、かなと。
ちょっと逆殺機関の話になっちゃうと、逆殺機関結構兵器が結構あったんですけど、今の社会にはない兵器みたいなのがいくつか出てくるんですけど、それも映像とかなりわかりやすかったですね。
だからどっちがいいんだろうな。私はもうガチガチに小説家でイメージ持ったまま入っちゃったからあれなんですけど、アニメから入っても面白いのかなと思います。
そうですね、それいいと思いますよね、アニメから。
そんな感じで、アニメからでも入れる伊藤圭覚さん、今週はハーモニー行きましょうか。
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では、今週紹介するのは伊藤圭覚さんの書いたハーモニー、早川文庫JAから2010年に出版されています。
単行本は2008年に出ています。
あらすじの方を伝えます。
21世紀後半、大災禍、ザメールストリームと呼ばれる世界的な混乱を経て人類は大規模な福祉厚生社会を築き上げていた。
医療分子の発達で病気がほぼ放置化され、見せかけの優しさや倫理が大打ちするユートピア、そんな社会に生んだ3人の少女は合致することを選択した。
それから13年、死ななかった少女、キリエットワンは世界を襲う大混乱の陰に、ただ一人死んだはずの少女の影を見る、虐殺機関の著者が描くユートピアの臨界点となっております。
設定を見るとすごい設定だなと思いますよね。
3人の少女が合致を選ぶっていう結構気になる。
そうですね、合致、ユートピアと合致っていうのがなかなか一瞬結びつかないんですけど、話自体はめちゃめちゃ面白いんでこの後話していきますけど。
まずですね、これちょっと医療の発達で、まじで病気がなくなっちゃった世界になってます。
要は体の管理が行き届いていて、病気になる兆候があったらもうすぐ潰せるというか、
もうそもそも兆候さえも出ないぐらい栄養とか環境とかが管理されているので、病気になるというリスクがほぼゼロになっている社会ですね。
これ何がすごいって、伊藤企画さんがガンでお亡くなりになったんですけど、このガンの末期の時にこのハーモニーっていうのを書いてるっていうのが一番私は痺れましたね。
そうですね、10日ぐらいで書いてるんですよね。
行き急いでたのか、いろいろあると思うんですけど、なんというかこの自分が病に侵されている中で、この病のない世界を描くっていうのがなんかすごいなーって思いました。
なんかすごく切実ですよね。
解説にもあったっけな、なんかすごく切実感があるってあったけど、それは本当にあって、それが多分すごくこの作品の中では生きてるんだろうなと思います。
なんか今読むの3回目で、今年読んで思ったんですけど、この世界だったらコロナ絶対流行しないよなっていう。
そうでしたね。
発生したらすぐわかりますもんね。
そうですね。発生しても徹底管理されますもんね。個人が勝手な行動とか絶対許されないようにされるし。
多分もう武漢から一歩も出る前にコロナ多分、駆逐されたでしょうね。
っていうぐらい管理された社会なんで。
でもこれも確かに世界観の話にもなるんですけど、メールストロームっていう核戦争っていうか、もうぐちゃぐちゃに世界が一体になっちゃって、世界滅びかけました。
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ウイルスもまたその影響なのか、未知のウイルスが発生しまくりましたみたいな。
それでもう人々が健康でいるっていうか、ことが最優先というかされた世界で、そういうのを経て今もう監視社会っていうのが徹底されているような状況になっています。
一応話しておくと、これ虐殺期間ですよね。
そうですね。虐殺期間に続く世界の話になっていて、
虐殺期間って9.11を境に現実世界からちょっとSFチックな未来社会になったんですけど、その先にザ・メールストロームっていう虐殺がさらに進行してしまった世界があって、
その先に一応2060年になるんですけど、このハーモニーの未来社会になっていくと、その代わりそこではすごい管理された社会で、健康第一の世界。
いろんなことが管理されている。何でしたっけ?体脂肪率が全人類多分パーセントぐらいしか下がらないみたいな、そういうみんな太りすぎすぎすぎすぎすみたいなぐらいまで管理されているっていう恐ろしい世界ですよね。
人間の体にはウォッチミーっていうものが入ってて、これナノマシンみたいなものですよね。それで既に健康状態がモニタリングできるというか、把握できていて、それに合わせていろんな食べ物とか管理されていくっていうような感じになってますね。
逆にさっきちょっと出たんですけど、オーグっていう拡張現実があって、なんかコンタクトみたいなやつなんですけど、そこに全部情報が入ってくるんで、もう全部タグ付けされてるっていうかなんていうか、人の情報が全部、あった人の情報が全部ほぼ見れちゃうみたいな。
この人はどういう社会的な地位にいて、どういう健康状態にいて、どういうところに所属しててみたいな。全部情報として出てきちゃうっていう社会な。個人情報がほぼない感じですね。
プライバシーがない、非公開の部分がない状態ですね。ちょっとゾッとするような監視社会なんですけど、でももうそれが普通だよみたいな世界です。
もう健康に悪いものは禁止されてますね。酒、タバコは基本ダメ。カフェインもね、ちょっと危険視する一派がいたりとかする。禁止はされてないけど、カフェインもちょっともしかしたらみたいな空気もあったりする。
あと暴力心とかもね、精神に影響を与えるので、ほぼ禁止されてるというか、閲覧ができないようになって。過去の映画とか小説とかはなかなか手に入らないというか、っていう世界です。
そんな世界に生きる主人公、トワンなんですけれども、小説上だと階層で入るのかな。女子高生だった時にミヤハという友人がいまして、
ミヤハが大人になる時にウォッチミーが体に入るから、高校生の時はまだウォッチミーが入ってないと。まだモニタリングがされる前、まあ子供は成長が早すぎて観測していくとエラー値ばっかり出るんでしたっけ。
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何か理由があって、ちょっと忘れちゃったんですけど、ウォッチミーが一定の段階まで成長しないといられないんですよね。なので高校生の時はまだウォッチミーが入ってないという状況で、
その監視社会ってどうなんだろうみたいな、まあいろんな自由がないので、いわゆるこの不健康でやれる自由がまだある高校の時にミヤハという女の子が食事の栄養を断つサプリメントみたいな、どんなものを食べても全く体に栄養が入ってこないっていう
条材を作って、もう一人キアンっていう女の子がいるんですけど、友達3人で栄養を断って、もう死にましょう。この大人に抵抗しましょうと。この社会に抵抗しましょうと話が出て、トワンはそれに非常に気候感して乗るんですけど、キアンとトワンは失敗してしまうと。
で、ミヤハだけ死んでしまったっていう過去があり、そんな主人公トワンはなんとなくこの福祉厚生社会に嫌気がさせていて、これちょっと面白いのがこの世界WHOがめちゃめちゃ力を持ってるんですよね。健康が第一なのでWHOがめちゃめちゃ力を持っていて、でなぜかこのいろんなところにこの螺旋観察事務局って急に中日っぽいWHOの中にある部署というか事務局があるんですけど、まあそこの上級観察官にトワンはなっていて
で、なんでそれになったかというと、トワンはもうちょっと日本、舞台は日本なんですけど、日本から逃げて、まだ一部戦争が残ってるっていうか地域で自ら赴任していって、そこでちょっと管理されてない生活を送っていると。いろいろうまくやって、お酒も飲んでタバコも吸ってっていう生活を送っていたところから始まりますね。
そうですね。だから時系列というと、高校生の頃ミヤハとトワンたちが自殺をするその13年後ですね、トワンがWHOに所属していてというところ。
でもトワンはもう過去とはあんまり欠別してるっていうか、逃げてる感じですよね。なんですが、話としてはそういう状況なんですけど、本当はしてはいけないお酒やタバコの摂取が上司に見つかってしまい、強制的に一回日本に帰国させられ、禁止飲みになるというところから、
トワンにとっては周りの同僚とかトワンの部下とか、すごい上手くやって首にならず日本の帰国の禁止だけで済んだみたいな感じなんですけど、トワンからすると絶望ですよね。日本絶対戻りたくないみたいな。もう連絡しなくても個人情報が壁がないので、すごいですよね。検索すれば誰がどこにいるか世界中分かっちゃうんですよね、今。
一緒に自殺を失敗したキアンっていう女の子がもう既に空港に迎えに来てて、一緒にご飯食べようっていう感じになって。この辺考えてみるとめちゃめちゃ転換早いですね。
そうですね。
一緒にご飯を食べてると、キアンと。もうほんと久しぶりでね。お互い自殺未遂した後、なかなかもう一緒にご飯食べることもなく、13年ぶりぐらいに2人でご飯食べてますみたいな感じなんですけど、そこでちょっと大人になったキアンとトワンが、まあいろんな話をするんですけど、急にキアンの様子がほんと急に変わって、ミエハの名前を呟いて、ナイフを、食事で使ってたナイフを首にぶっ刺して、
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自殺を遂げてしまうっていうところで、っていう展開が待ってるんですけども、これ結構急でしたよね。
そうですね。びっくりしましたね。
びっくりしましたよね。所得が。
実はそれがキアンだけじゃなくて、世界中で同時多発的にいろんな人が自殺を図っていたというか、ちょっと後に判明するんですよね。
世界で6582名が自殺を図って、うち半分が成功して、まあ成功してって言い方だけど、まあ亡くなってしまったと。
同時多発自殺事件なんですけど、こんだけの規模で世界中で一気に起きたから、まあもちろんセンセーショナルというか、衝撃的すぎるし、何か裏があるはずだと、WHOも考えて捜査にみんなで乗り出すんですけれども、
もちろんトワンも謹慎のみではあるけど、まあなんかうまくやって捜査に、独自の捜査を開始するんですけれども、
ここでキアンがなぜ最後ミヤハの名前を呟いたのか、これが結構肝になってて、最後に何か状況とは違うことを呟いたのは、キアンだけで、
そのミヤハの名前、なんでミヤハの名前を言ったんだろうっていうのが結構大きく関係してるんじゃないかと、
トワンは考えて、ちょっとミヤハのことを探るというか捜査を開始するんですよね。そうしていくと、ミヤハの遺体を引き取った研究機関があって、
それが医師とか医師記の研究をしていることを知り、ある教授に会うんですけど、そこでその人から医師の決定プロセスなんかに介入することができて、
医師を捜査できることができることを知ると。それってかなりこの自殺の事件にかなり食い込んでくる研究内容だなと。
思ったので、さらにその研究をしているバクダットに飛ぶことをトワンは決めるんですけど。
ちなみにこのバクダットがこの世界だと、医療の先端研究の。そうですね、一番の医療先進国的な都市としてそうですね。
認識というか、まあなってるんですけどね。この時にトワンは実はですね、ミヤハが死んでなかったことを知るんですよね。
なんで知るかというと、キアンが自殺する直前に様子から見ると、誰かと通話をしてたっていう記録があって。
通話がもうなんていうか、電話とかないんで。周りから通話してるように見えなくても通話してることがあるんですよ。
その仕草をしてたってのをパッと思い出して、データベースを検証したら通話して、その通話記録を聞くとミヤハと会話したんですよね。
そこでミヤハが生きているということをトワンは知り、もう個人的にもこの捜査にどんどん首を突っ込んでいくという感じになりますね。
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そこでトワンがミヤハの存在ですね、実は生きてるんじゃないかと。
そこでトワンがバクダットに向かおうとしていたんですけども、その直前ぐらいですかね。
テレビで報道番組をしていたんですけど、そこである宣言が出されるというか、今回の世界同時多発自殺の事件の犯人という人からの生命文が発表されると。
今から1週間以内に誰か1人を殺さなければ死ぬと。自分は人の意思を操る力を持っている。
一番大切なのは自分の命だということを解放してほしいという内容のことをテレビを通じて世界中の人に伝えるんですね。
世界中の人がそれで自分の意思を見せてほしいというのを犯人が言うんですけども、その犯人が自分は人の意思を操る力を持っているという証明として、
テレビの報道番組のキャスターの人というのを、画面が切り替わるんですけど、切り替わってすぐそのキャスターを自殺させたんですね。
結構残酷な描写なんですけど、そうやって脅しを入れて、世界中の人に誰か1人1週間以内に殺してなさいというね、そういうのを犯人から生命文化とされてしまうと。
なかなか恐ろしい。この宣言を受けて、結構世界中の人間が黙ってしまうというか、結構外出をしなくなったりするし、混乱というか落ちるんですけど、
いろんなことのタイムリミットが設定されて、結構時間がなくなってくる感じには物語状になってきますね。
トアンはその内容から非常にミヤ派的な匂いを感じて、ミヤ派なんじゃないかなとか、この宣言したのはとか思ったりしつつ、トアンはちょっとミヤ派を探すためというか、その研究のこともあってバクダットに飛び、またそこからさらにいろんなことを飛び、最終的にはトアンはミヤ派と再会を果たすんですけれども、
という感じのところで、ハーモニーの大枠のストーリーはそんな感じですね。
そうですね。
今回、虐殺機関で出てくる虐殺の文法みたいな感じであるんですけど、重要になってくるのはこの意識とか意識の研究ですね。このアイディアがやっぱりまた面白い。
そうですね。
意識の研究なんですけど、これみなさんどうでした?虐殺機関の虐殺の文法よりはわかりやすかったですよね。
そうですね。わかりやすさはそうですね。
結構読んでて、意識っていうキーワードがちょっと途中から急に出てきたような感はね、若干あって。
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虐殺機関って結構もう虐殺っていうキーワードが最初から入ってたけど、でも意識の研究、これが本当にキーワードになってきますし、
これ読んでいて思ったのは、結構その人間とは何かみたいな、そこをずっと、登場人物のセリフとか考え方、それをすごいちょっと考えさせられるような展開になっているなとは思いましたね。
この研究なんですけど、意識の成り立ちのことが研究されてて、人間っていうのは欲求が一つじゃないというか、いろんな欲求が同時に発生すると。
要はその欲求が満たされると報酬系から快楽物質が出たりするので、いくつかの欲求が報酬系に結びついてて、その報酬系が攻め合っていて、意識が成り立っていくという形になります。
どれがどんだけ満たされるのかとかいうことがあって、欲求の攻め合いの中で意志が決定され、意識が生まれるので、
その都度意識っていうのは一つではないというか、安定しなくて、かつ旗から見たら合理的ではないかもしれないし、どうなっていくか予測がつきにくいっていうのが意識です。
これが基本的には生きるっていう欲求がものすごく圧倒的に強いわけで、通常の人間。だから死ぬっていう選択肢ってのはなかなか取らないんですけど、
これをですね、生きるの欲求、その報酬をですね、すごい下げていって、死ぬことに対する欲求への報酬を上げていくと、人間はすぐ死ななきゃっていう状況になるらしいんですよ。
これをなんていうか、これウォッチミーがまた関わってるんですけど、ウォッチミーは実は脳に関しては何もできないってされてたんですけど、
いやいや、もう体の中に入ってるからそんなことないでしょみたいな話になって、操作できると。これちょっと、ちょっと途中でわかるんですけど、話の途中でわかるんですけど、なってて、まあそういうことができると。
で、まあ要はこの犯人は、犯人というか自殺させた犯人は、それを操作して自殺に導いてたんですね。
で、これがですね、ちょっとこの話が発展していくと、例えば全ての欲求が傾向したらどうなるんだろうと。
どれもが強くなくて、全ての報酬が一定で、もうフラットな状態になったらどうなるんだろうっていう研究をしてて、
それがですね、この研究上ですね、意識がなくなることが判明してます。意識が消失することですね、が判明してます。
で、そうなった場合、人間ってどうなっちゃうんだろうっていうと、まあ別になんていうか何も行動ができなくなるわけじゃなくて、その周りの社会と完全に調和するようになるんですよね。
だから、自ら死ぬこともなければ争いもなくなって、非常に調和、まあこれをハーモニーと呼んでるんですけど、調和の取れた平和な世界。
ハーモニープログラム。
そうですね。非常に平和な世界になると。もう争いもないし、諍いもない。たぶん細かい諍いもほんとなくなるわけですよね。
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これこそ理想郷ですよね。ユートピア。
ユートピアですよね。になると。それが迎えられるようになるということになってます。
で、結構この話は割と結構ちゃんと解説してくれるんで、逆走期間の逆走部分が解説してくれなかったわけじゃないんですけど、結構なんだろうな、なんか非常にわかりやすいなと思いました。読んでて。
そうですね。
まあ平和な世界が訪れるということになってますね。
ミヤハはこの世界を望んでいるというか。
そうですね。そのハーモニープログラムって理想郷を作るという目的ではあるんですけど、やはりその難点として人間の意識がなくなるというところの怖さというのもやっぱり持っている。
だからそこで本当にこのハーモニープログラムっていうのをやろうと思えばできるんですけど、これをやっちゃっていいんだろうかって決定権を持っている人たちはちょっと迷っているところがあって。
そこに対してミヤハは、でもそういう意識がなくなる世界、完全に調和の取れる世界を作ってほしいというところで、世界に危機感を与えるというか、世界の状況を悪くしていくことによって良くしようという働きかけを起こそうというね。
だからもうこのままだと1週間経つから全員が死ぬぞっていう状況に宣言が実行されるぞという段階になって、ギリギリになってこの意識がなくなるって、これもう完全にネバネバだけど言っちゃうけど、発動するんですけど。
そこにはいろいろ、トワンとミヤハにおいては二転三ってあるんで、そこが非常に面白いんですけど、そこはちょっと話さないでおきますが。
世界は最終的に発動されて意識がなくなった世界というのが訪れますね。
ここでこの小説は終わるんですけど、何ですかね、これね、これすごく話したいんですけど、みなさんこれどう思いました、この結末、このラスト。
そうですね、やっぱりちょっと、ラストって本当エピローグにかかってるんですけど、すごい悲しかったんですよね、ラスト。
そうですね、このエピローグちょっといい味出してるけど。
僕が思ったのはやっぱり、このエピローグを読むと、個人という単位はもう完全に消滅して、集団単位で人が強制していくと争いとか全くなく、それが意識がない状態って言うんですけど、それってもう人類の定義が変わったことを意味してるのかなと思ったんですね。
なんか人間が人間ではなくなった、そういう世界になってしまったなっていうのが思えて、一個悲しかったと。
小説の中ではそれは天国を作るというか、ユートピアを作るっていう風にして実行されたことなんですけど、ある意味イメージとして浮かんだのが、すごい野生に近い状態になったんじゃないかなと。
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原始的なイメージですね。ある意味、人間が持っていた欲というか、見栄っ張りな部分というか、そういうのが一切全て消えて、ある意味自然な状態という、自然な状態だけで構成されるっていうのが原始的なものに思えたなというイメージですね。
私はちょっと逆かもしれないんですけど、原始的っていうよりはもう一個上の段階の進化に入ったな。個人ではなくなったって思うんですけど、人間社会としては、生命としてもそうだと思うんですけど、生物としてもそうだと思うんですけど、一個段階が上がってしまったというか、
なんか言い方ですけど、長く人間という種を保存するためには、もうこの方法の方がいいわけじゃないですか。完全に管理されてて、しかも小説の時だと体は管理されてるけど脳は管理されてないよみたいな状況から脳まで管理されるような、意識まで管理されるような、意識を持たないようにされてるっていう状況ですけど、
だから人間社会というか、生物として一個上の段階になったなってちょっと思いましたね。でも逆に言うと、これめちゃくちゃすごい、3体的なあれですけど、宇宙外から生命が来て危機にさらされた時に、意識っていうか、まあそういうの、どうなんだろうな、社会として戦おうとするのかな、その辺言うかわからない。
そこに何か本能が働いてくるかなとは思うんですけどね。
どうなるんだろうな、意識がなくなっちゃって嫌だなっていう、怖いなって、これは迎えたくないなっていう思いはありますけど、人によってはこれめちゃくちゃハッピーエンドじゃんって思う人もいるんでしょうね、たぶん。
確かにね、この世界だと悩む人とかいないですもんね。
つまんないことで毎日傷ついたり消耗したりすることもなさそうだし、これでいいのかって思いますよね。
そうですよね、それで人生どうなんだろうっていうのは思えてしまって、それはでもね、今の自分たちだから言えるのかもしれないですよね。
これも段階で言ってますからね、まず体が病にならなくなる世界に対して、まず監視されてる社会に移行してからですよね。
そこでミヤハがなぜ意識のない世界を望んだのかっていうと、やっぱりその社会の負の部分というか、一見監視、社会ってすごく理想に思えるんですけど、
やっぱりそこに適合できない人って、その社会で生きづらいというか、生きていけないという、そういう負の部分があるからこそ、ミヤハが何も悩まずにいられる世界っていうのでね、作ろうとしたものだと思うし、ある意味虚しいんですけどね。
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そうですよね、本当にこれは読んだ人結構いろんな感情を持つんじゃないかなと思います。
ぜひ読んで、ぜひエピローグを読んだ時の、なんとも言えない感情を味わってもらいたいですよね。
そうですね、いやでもね、本当このハーモニーの良さだなと思っていて、この終末世界っていうのをやっぱり描いていて、もう本当世界ってこういうふうにして、これが終わりと言っていいのかどうかわかんないんですけど、
世界の終わりをこういうふうに描いていて、しかも高校生の頃の自殺を図ろうというエピソードがあって、だんだん世の中的に一見するとすごい完璧な世界に思えたものに欠点というのが現れてきて、
それで世界全体がピンチだっていうね、この切迫感からのエピローグの展開って、それが世界の終わりになるのかと思うので。
感想とどんな人に読んで欲しいか言ってしまいましょうか。じゃあちょっと私から。
端的に言うとね、虐殺機関より私すごくわかりやすいなって思いました。
完成されてる感じもすごくあるし、読みやすいなと思ってます。でも順序で言うと虐殺機関から読んでもらいたいなって思いますね。
それは思いましたね。
思いますよね。なんかやっぱり虐殺機関があってからこそのハーモニーなんだなって、今回ラジオで特に本当に連続して読んだんですけど、そういう時に思いました。
だから続けて読んでもらいたいなと思っています。
で、やっぱ伊藤恵学さんはなかなか時間のない中で書いてたんじゃないかなと思うんですけど、この内容非常にわかりやすく提示できてるってことがすごいなってまず単純に思いました。
面白いし発想もすごいし。
結構虐殺機関の時とは違って、結末に対してなんかいろんな考え方を、さっきも話したと思ったんですけど、モテる本なので、
いろんな自分の意見を触発されるというか、小説なと思うので、いろんな人に読んでもらって、いろんなことを考えてもらいたいなと思う小説です。
SF、虐殺機関もそうなんですけど、SF入門書としてはかなり入りやすい部類に入るんじゃないかなと思っているので、SF苦手な人でも読めると思います。
でも小説だから別に絵として迫ってくるわけじゃないんですけど、結構描写がグロいところがあるんで、個人的には虐殺機関の戦場のシーンよりもハーモニーの自殺のシーンの方がグロいなって思いましたね。
僕もね、怖いのはハーモニーの方が。
怖いですよね。
ありましたね。
ちょっとイメージしやすさがあるのかな、死ぬ瞬間の。そこは苦手な人は注意が必要かなと思います。
30:04
僕も大地さんに近いところが結構あって、まずすごく人間とは何かっていうのを書いている小説だなと思って、それはもうすごくSFならではの試行実験のようなところが含まれていて、やっぱりSF小説としてはすごく面白いなと思っています。
あとやっぱりすごいなってものが、この完璧に調和された世界で、個人の意識っていうのはなんか存在しないんじゃないかっていう、そういう問い立てをして、それを小説に、しかも面白い小説として落とし込んで書いているっていうのが、この伊藤啓学さんのすごさ、すごい作家やなと思って、すごい感動しながら読んでいました。
やっぱりスケールの大きな小説だし、最後の展開とかもちょっと驚くような展開にはなっているんですけど、なんかそういうラストの喪失感というようなところをですね、スケールの大きさから来るような、なんかそこを結構個人的にはエヴァンゲリオンを見ていたときの、あの喪失感に近いな、人類保管計画の、なんかちょっと無になるような感覚ですかね。
あー、そうですよね。あの漢字に近いのかな、やっぱりそうですよね。
まあそういう意味でやっぱすごい、なんか喪失なんだなっていうのはちょっと感じますね。
どうでした、これ、今回伊藤啓学2作品読み返してみて。
そうですね、いやー、なんか連続で読んで喋って、面白いですね、伊藤啓学さん。
ほんと面白いですよね。なんか、たぶん10年前に読んだんだと思うんですけど、私も。
うん。
なんか初読のときもすっごい面白いなと思ったけど、まあ今改めて読んでも、やっぱ面白いですね、すごいなと思います。
そうですね、うん。
なんかしばらく古びなそうですね。
そうですね、なんか世の中がなんだろうな、なんかちょっとシビアな状況とかになってくればくるほど、より感覚として通じ合うものが出てくるのかなと。
これをあれですもんね、9.11から創造して膨らませる伊藤啓学さん、すごいですよね。
そうですよね、いや良かったですね、なんか。
やっぱりなんか、今生きてたらこのコロナをどう描いたんだろうなとか、ずっと考えてしまいますね。
うん、そうですね。
じゃあちょっとこんな感じで、2週にわたって伊藤啓学をちょっと取り上げました。
じゃあ次回告知で終わりますか。
次回はデボラ・ホーゲルのアカシアは花咲くです。
今年ですね、日本翻訳大賞を受賞した作品になります。
お楽しみに。
番組の感想やリクエスト、またこのラジオを聞いて紹介されているフォームを読みました、
読み返しましたなどありましたら、ハッシュタグそらとめねこたちをつけて教えていただけると嬉しいです。
Twitterやインスタの投稿やDMRリプライなどでお待ちしております。
メールアドレスも番組情報欄に載せますので、そちらからいただいても大丈夫です。
積極的に拡散共有していただけると助かります。
ではまた次回の配信をお楽しみにしていただければと思います。
33:00
ありがとうございました。
33:04

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