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2021-10-12 11:20

ラジオドラマ「憧れのレッド」

原作:桜海千早
脚色:未知乃みちる

00:20
憧れのレッド 原作大道早 客色未知の満ちる
では、ギャラクシー戦隊定例ミーティングを始めよう。
今回は事の経緯を整理してみようと思う。
今、世界には闇が広がっている。
本来なら我々正義の味方の出番だが、依頼が来ない。
くそ!クライアントは何をしているのだ!
予想部は何を考えているんだ!
ブルー、落ち着きなさい。
イエロー、ピンク、この状況がどうして生まれたのか。
まず、最後の戦いから追ってみよう。
うーん、レッドはいつも冷静だね。
普通はブルーの役目なのにね。
最後に倒した敵はダークドロングよね。
思い出すだけでも気色悪い。
しかも奴らはブラックコスモ総長にして一般戦闘員のフリをしていた。
手こずらせやがって、一生忘れるものか!
それがどのくらい前のことだっけ。
よく思い出せないんだよね、僕。
さて、私たちは眩い触れ合いを世界にもたらした。
そうして、我々の任務は奴らの残党の駆除となった。
新たな敵。見たことない怪獣とかいたよね。
変なのいっぱい。
でも敵、突然いなくなっちゃった。
なんだか世界も夜の時間帯が増えてきて。
敵の目的は闇世界の小枠に違いない!
姿を現さないなど許せない行為だ!
正々堂々我々へ立ち向かってくるべきだ!
ボスたちは何か知ってそうだけどな。
ねえねえ、本当に敵いるのかな?
どういうこと?
だからボスたちは動かないのかなって。
だとしたら、誰がどうしてどうやってこんな世界に来たというのだ!
失礼するよ。今夜もいい夜だね。
総長!副総長!任務の司令でしょうか!
今日は君たちの定例会議だと思って見学に来ただけさ。
あらやだ。みんなして怖い顔。そんなに不満?
仕方ないとは思ってもらえませんか?
我々は敵から世界を守るのが任務。
正義を貫けない現状に不満を抱えるのは当然かと。
一体いつになったら任務を与えてもらえるんです?
まっすぐってそうよね。
けど、なんだか面白いものが見られそうね。
見せ物ですか?
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僕たちヒーローなのにとんと見せ物になってない気もしますけれど。
仕方なかろう。任務がないのだ。
総長、怯えるほどの敵というのは一体?
怯える?何のことだ。それにここには敵もいない。
しかし世界は闇に満ちている。邪悪がはびこっている証では?
私には組織の現状を全く理解ができません!
やれやれ。若いってのは素晴らしいけど、めんどくさいわね。
お二人は、いや、皆さんは一体正義をなんだと思っておられるのか?
ちょっとちょっと、ブルー、落ち着いてよ。
ああ、もうミーティングどころじゃないわね。
君は少しお勉強した方がいいわね。
仕事というのは感情だけでなせるものではないのよ。
もうこうなったら副総長に骨抜きのボスの目を覚ますでーす。
やだ、やめてくれない。
こういう方物好みじゃないのよね。
あ、ピンクちゃんに譲るわ。
女が揃うとどうしてこうなるものか。
さて諸君、会議の邪魔をしてしまったおびに知りたいことがあるなら何でも答えようではないか。
君たちは若い。知っておかねばならぬこともあるだろう。
無知というのは時に残酷なのよ。
では伺いたい。クライアントが依頼を出さない理由が知りたいのです。
必要ないからだろう。それに我々は久しくここから出ていない。だから姿も見ていない。
総長、ここって?クライアントさんは別のところにいるんですか?
そうだ。ここのような闇の中ではない。君たちも行ったことのある場所だ。
皆さんは現状に不安や不満はないのですか?
ないな。正義の味方は平和を愛する。平和を壊そうなどと思わない。
我々の任務をこなすことが平和を壊すことだとでも!総長、我々が着配物だからと見くびってはおりませんか!
現実を見たまえ。
平和が続けば我々のようなヒーローは必要とされない。
じゃあ私たちに今求められているものとは何なのだ?
あんたたち、本当に周りをよく見ていて?
知ってますよ。
イエロー?
浮いているのよあんたたち。この組織の中で誰もが現実を理解しているというのに。
みんなが怠惰すぎなんです!
もう一度言おう。現実を見たまえ。
真実を知ることだけでは解決にはならないだろう。
06:00
しかしそれはここにいる誰もが辿ってきた道だ。
そしてこれから先もまた誰かが歩いた道なのだろう。
受け入れるしかないのだよ。誰もが直面しなければならない現実なのだ。
おっしゃってることがわかりません!
新しい道を作ることは不可能みたいな言い方ですね。
そうだイエロー。君はのんびりしているが賢い。運命なのだ。わかるかい?
それは組織としての運命ですか?
おい!イエロー!言いくるめられるな!
大事なことだよ。少し静かにしてて。
我々は正義の味方だ。
ヒーローとして行く道が運命というならば喜んで進もうではないか。
我々の任務は運命と共にあるのだから。
個人的には素敵な人と結ばれる運命ないかしら?
ちょっとピンクちゃん!こんな時によくそんなこと言えるよね。
だってどうにもなりませんってことでしょ?
それなら自分の幸せ願いたいじゃない?
まあ願うだけなら自由だものね。いいじゃない?
願うだけになっちゃうけど。
ひにくだな。
さて、我々はクライアントと共にあり、共に過ごし、共に泣く。
時に見守り、時に導き、その成長を喜び祝福し、
いつか来る別れを受け入れる。それが任務の全てだ。
別れ?
あれれ?私たちのクライアントは、
ピンクよ。我々のクライアントは成長したのだよ。
我々の任務は完了した。それだけだ。
これは寂しくとも喜ぶべきことだ。
いいえ!私たちのにはずです!
ブルー。君がそう思うのは無理はない。
君たちには時間がなさすぎた。
濃くなことかもしれないが、君たちにもその時が来たのだよ。
我々と共に。
いいえ!
ブルー。君の正義は運命ではない。そしてわがままでしかない。
叶うこともない。
時間、運命、先ほどから一体。
自由になれるのなら、えー、僕は華麗評論家になりたいな。
私は玉残し。
二人とも。
残念ね。
ここしか私たちの居場所はないのよ。
クライアントは私たちに眩しい空を見せなくなってしまったの。
ピンクちゃん。そんな寂しそうな顔しないの。ヒーローでしょ。
要するにここが我々の行き着く運命の場所なのだよ。
みんな一体何を言ってるんだ。私にはまるで理解できない。
なあ。運命には逆らうべきではない。
子供はいつか己の世界を広げ旅立っていく。
09:00
その時胸にあるのは我々オモチャじゃない。
子供。オモチャ。
そうだ。ギャラクシーレッド。
かつての子供は幼い頃憧れたヒーローの姿を胸に大人になっていく。
我々は同行者だ。
ギャラクシーブルー。正義を全うするならば引き際こそが大事なのだよ。
引き際?正義を手放す?
クライアントさんが幸せなの。
まあ、いっか。
華麗評論か。慣れないのか。
もう。
我々は必要とされていないのですね。
そうだ。しかし必要とされていたことは事実だ。そして今この世界は帰路に立っている。
総長。いいえ。レッツゴーレッド殿。今がその時なのですね。
ああ。さり際だ。
なあ、レッツゴーピンク。ヒーローはさり際こそかっこよくいたいものだろう。
ええ。今までの任務で得た誇りを胸に。ね。
ギャラクシー戦隊諸君。君たちもそう思わないかね。
みんな、任務は完了だ。
異論はないな。
ああ、もう、あっくん。もうこれ遊ばないんだったら、いとこの県庁にあげてもいい?
総長。とうみ。副総長。やいね。レッド。よし。ブルー。タッチ。イエロー。
総長。とうみ。副総長。やいね。レッド。よし。ブルー。タッチ。イエロー。
あみ。ピンク。えいこ。
母親、ヒロさんでお送りいたしました。
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