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前提を覆すノベーション(1984回)
2026-10-02 16:51

前提を覆すノベーション(1984回)

元トヨタ自動車技監の林南八さんが、トヨタ生産方式を築いた大野耐一さんから直接言われた言葉に深く考えさせられました。


曰く、


「最適や限界というのは前提条件を固定した時に決まる。君たちは前提条件を覆すために採用されてるんだ。」


トヨタといえば、なぜを5回繰り返す、世界的に有名なカイゼンを世の中に広めた会社との認識でしたが、その中には、前提条件を覆す、イノベーションにも通じる話をされていたことに、とても感動しました。


ここから私は前提を覆すとはどんな方法があるのだろう?と考えてみました。

1、解くべき問題のピボット

2、想像的再カテゴリー

3、異領域アナロジー


1、解くべき問題のピボット


2025年に学術誌『リサーチ・ポリシー』に発表された、   ジョナサン・R・クロムウェルさんとジャン=フランソワ・ハーヴェイさんが世界的大企業の579チームを対象にした研究では


最初から問題を明確に決めるのではなく、解決策を試しながら「本当に解くべき問題」を発見していったチームでは、約80%がプロジェクトを完遂し、一方、最初に問題を明確に定義し、その定義を維持したチームでは約50%だったとのことです。


つまり、解決策をピボットするだけではなく、解くべき問題そのものをピボットしていった方が、プロジェクトを完遂させることができた


これは、そもそも設定していた問題自体を、前提条件から疑ってかかっているということなのだと思いました


ある問題に対して、なぜなぜを5回繰り返すだけではなく、そもそもその問題自体が捉え方が違うのではないか、そして、真の問題はドンドン形を変えてピボットさせていくという考え方の方が、実は、ゴールに近づくことができるという学びかもしれないと思いました


2、想像的再カテゴリー


2025年に学術誌『思考力と創造性』に発表されたシャンティ・アストラさんとケネス・カーツさんの研究では、「想像的再カテゴリー化」という方法が研究されています。


「これはこういうものだ」というカテゴリーから一度外し、本来とは違うカテゴリーとして考えることで、認知的柔軟性が高まることが示されたということです。


例えば、「銀行」「大学」「会社」と名前をつけた瞬間、私たちは無意識に「こういうものだ」と決めてしまいますが、そのカテゴリーを一度壊してみる。


これは、ドリフの「もしものコーナー」とようなものかと思います。


「もしも銀行が居酒屋だったら」

暖簾をくぐりながら、大将がいつものメニューを自動的に出してくる。カウンターには馴染みの客が馬鹿話をしている。馴染みの客のボトルは飲んじゃっても喧嘩にならない。。。


こんな居酒屋の良さを銀行の中で味わえてもいいんじゃない?と発想が広がっていく


そもそも銀行ってご近所の笑顔を取り戻す場所、ってカテゴリーに想像してもいいじゃない


みたいな形で、できるだけ違うカテゴリーにぶち当ててみて、固定化された発想を壊していくというのは、前提を壊すという意味では、やってみても面白いなあと思いました。


3、異領域アナロジー


2026年に学術誌『デザイン・サイエンス』に発表されたルトヴィク・コカテさんとプラサド・オンカーさんの研究では、生成AIを使って異なる領域から類似する構造を見つけ、新しいアイデアにつなげる方法が研究されているそうです。


これは、まず、自分たちのビジネスの「構造」を言語化して、その後、AIに同じ構造を持つ遠い世界を探させ、そして、その世界の仕組みを元のビジネスへ持ち帰って適用してみる、方法です。


例えば、例えば、「銀行の『預金を集め、それを必要な人に融資し、利ざやを得る』という仕組みと、構造的に似ている仕組みを、金融以外の業界・自然界・社会システムから10個探して」とAIに指示して


10の候補から候補の中から、電力網を選んだ場合、各所で生まれた電力を集める → 必要な場所へ配分するという仕組みが構造的に似ているとなる


そこから今度は、じゃあ、

「銀行が電力網のように機能するとしたら、現在の銀行にはないどんなサービスが考えられる?」

とAIに聞く。


「お金が余っている場所と必要な場所をリアルタイムでつなぐ」

「需要に応じて資金の流れを動的に変える」

「中央の銀行だけでなく分散した資金供給源をつなぐ」


など、銀行の既存の前提から離れた発想が出てくる可能性がある。というものです。


AIを使った今時の面白い方法かもしれないなあと思いました。


ということで、前提を疑うためには、今はいろんな仕組みがあるので、それを適宜導入してやってみることがとても大切だと思いました


例えば

解くべき問題をどんどんピボットしながら真の問題へ到達する、「解くべき問題のピボット」


ドリフのもしものコーナーのように、全く違うものを掛け合わせて、もしも、、、だったら、と発想を広げてみる、「想像的再カテゴリー」


当該対象のアナロジーを一旦分析して、AIで同様のアナロジーの異種ものを見つけてきて、その異種がやっていることから、さらなるアイディアをいただく、「異領域アナロジー」


私も是非とも使ってみたいと思いました


ということで、一言で言えば


前提を覆すノベーション


そんな話をしています


参考


・林南八「元トヨタ自動車技監・林南八氏が〝改善の鬼〟大野耐一に学んだ仕事の極意」ウェブ致知/致知出版社

・学術誌『リサーチ・ポリシー』(2025年)「チームによる問題発見」に関する研究

・学術誌『思考力と創造性』(2025年)「想像的再カテゴリー化」に関する研究

・学術誌『デザイン・サイエンス』(2026年)「生成AIを活用した異領域の類推」に関する研究

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