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仮説指向計画法ノベーション(1988回)
2026-10-07 16:14

仮説指向計画法ノベーション(1988回)

ペンシルバニア大学ウォートンスクール教授のイアン・C・マクミランさんと、コロンビア・ビジネススクール教授のリタ・ギュンター・マグレイスさんが提唱した「仮説指向計画法」の話に、新規事業における「計画」とは何なのか、改めて考えさせられました。


マクミランさんは、2009年のウォートン・スクールのインタビューで、


「計画について私が確実に知っているのは、それが間違っているということだけだ。」


そして、マグレイスさんとマクミランさんは『ハーバード・ビジネス・レビュー』で、


「実績基準の計画法は、計画の基礎になる仮説をあたかも事実であるかのように扱い」


「仮説基準計画法は、戦略的新規事業の展開過程で仮説が知識に転換するのに応じて組織的に構築される。新たなデータが明らかになると、進展する計画に組み込まれる。」


と言います。


ここから私は思いました。


1 事業化しても計画は仮説

2 事業計画が成立する条件を発見する

3 計画を変えることを計画する


1 事業化しても計画は仮説


新規事業では、多くの企業がいくつかのゲートを設け、「この事業を次の段階へ進めるのか」を判断します。


ところがその先で、ゲートを通過して「この事業をやろう」と決まったら、事業計画に組み込まれる。


その瞬間、それまで仮説として扱っていたものが、いつの間にか「守るべき計画」に変わってしまうことがあるなあと、つくづく思います。


しかし、事業化が承認されたからといって、それらが突然、事実になったわけではありません。


顧客が本当にその価格を払い続けるのか、想定した方法で顧客を獲得し続けられるのか、その獲得コストで採算が合うのか、市場が想定通り拡大するのか。


新規ビジネスの場合は、まだ仮説がたくさん残っていて、事業化したからといって、仮説が事実になったわけではない。


これが新規ビジネスが育たない理由の一つでもあるのではないかと思いました。


仮説指向計画法では、個々の仮説だけではなく、「この事業はこうなる」という計画そのものを仮説として扱います。


事業化するまでは仮説検証。


事業化したら計画通りに進める。


そうやって途中で頭を切り替えるのではなく、不確実性が高い限り、事業化した後も仮説検証は続いていき、計画自体もそれに合わせて変えていく必要があると思いました。


2 事業計画が成立する条件を発見する


これは、仮説を置いて問い続けるという点では、イシューステートメントともよく似ているのですが、


イシューステートメントでは、


「私たちが解くべき問題は、本当にこれなのか」


と問い続けるのに対して、


仮説指向計画法が問うのは、


「この事業計画が成立するためには、何が真実でなければならないのか」


ということです。


なので、


お客様の真に解くべき課題を問い続けることと、


事業計画を成立させるために何が真実でなければならないのかを問い続けること。


このスタンスの違いになるのかなと思いました。


新規事業では、ゲート管理を導入している企業も多くなってきたと思いますが、


ゲート管理は、


「この事業を次の段階へ進めるか」


を判断するのに対して、


仮説指向計画法は、


「進みながら、事業計画の何が正しく、何が間違っているのかを発見する」


ための考え方と言えるかもしれないなと思いました。


イシューステートメントで、


「何を解くのか」


ゲート管理で、


「次へ進むのか」


そして仮説指向計画法で、


「この事業を成立させるために、何が真実でなければならないのか」


を問い続ける。


事業計画というアクティビティそのものを、問い続けるということなのかと思いました。


3 計画を変えることを計画する


では具体的な運用として、仮説指向計画法では、事業化した後も計画が仮説なら、いつ計画を変えるのか。


ビジネスのピボットのように、何かが起きるたびに、その場その場で計画を変えるということではないところが、大きな違いになるかと思いました。


仮説指向計画法では、


「いつ、何の仮説を検証するのか」


というチェックポイント自体を、あらかじめ計画しておくとのことです。


そしてチェックポイントごとに、


「何が仮説から知識に変わったのか」


を見る。


仮説が正しかったなら、その知識を使って次へ進む。


違っていたなら、新しく得られた知識によって計画を書き換える。


つまり、


「状況が変わったら柔軟に対応しましょう」


というだけの話ではなく、


「この時点で、この仮説を検証し、その結果によって計画を変える可能性がある」


というところまで、最初から計画しておく。


つまり、


「計画を変えることを計画しておく」


という特徴なのかと思いました。


もちろん途中で、事業の前提を覆すような重大な事実が分かったなら、その時点で計画を見直すこともあっていいと思います。


つまり、


定期的なチェックポイントと、


重大な仮説が崩れた時の見直し。


この二つを、あらかじめ仕組みにしておくということかと思いました。


さらに大切なのは、計画に対する実績だけではなく、仮説に対する学習も管理するということです。


評価も、どれだけ計画を達成したのかだけではなく、


「得られた知識によって、どれだけ計画を進化させたのか」


を見ることになる。


仮説指向計画法とは、計画そのものを仮説として扱い、何を確かめるのかを決め、確かめるタイミングを決め、そこで得た知識によって、計画そのものを書き換えていく。


つまり、


「計画を変えることを、計画する」


ということなのだと思いました。


ということで一言で言えば、


仮説指向計画法ノベーション。


そんな話をしています。


参考


リタ・ギュンター・マグレイス、イアン・C・マクミラン「未知の分野を制覇する仮説のマネジメント」『ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー』1995年11月号


リタ・ギュンター・マグレイス、イアン・C・マクミラン「仮説指向計画法」『ハーバード・ビジネス・レビュー』1995年7・8月号


ウォートン・スクール「仮説指向型成長――唯一の計画は、進みながら学ぶこと」2009年(引用部分の日本語訳は筆者)

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