30年以上にわたり、シリコンバレーを拠点に、テクノロジーと社会の未来を研究してきた未来予測家、ポール・サフォーさんの言葉に、イノベーションのあり方について、深く考えさせられました。
曰く
「強い意見を、弱く持つ。」
「予測するなら、何度も予測せよ。そして、自分が間違っていることを最初に証明する人になれ。」
「未来予測の目的は、未来を予言することではない。現在において意味のある行動を取るために、何を知る必要があるのかを教えてくれることだ。」
(いずれも原文より訳)
ここから私は思いました。
1、不完全でも、まず強く仮説を持つ
2、自分が間違っている証拠を探す
3、未来を当てるより、未来を変える
1、不完全でも、まず強く仮説を持つ
イノベーションや新規ビジネスのワーキングなどに取り組んでいると、必ず言われるのが
「もう少し調べてから」
「もう少しデータが集まってから」
「もう少し確信が持ててから」
と言っているうちに、なかなか自分の仮説を決められず、動き出すことができない
特に中長期の環境のことなど、いくら調べても、すべての情報が揃うことはないので、どんどん時間が過ぎていってしまう、ということがよくあると思います
サフォーさんが言われる「強い意見を持つ」というのは、
今、自分が持っている情報の中で
「私はこうなると思う」
「私はこれが必要だと思う」
と、まずDAY1仮説を持ってみることなのではないかと思いました
曖昧なまま、成り行きに任せると、時間がかかるし、一向に検証活動に入ることができない
間違っているかもしれない。いやおそらく間違っている。それでも、まず自分なりの旗を立ててみる。
イノベーションの最初の一歩には、そんな勇気が必要なのかもしれないと思いました。
2、自分が間違っている証拠を探す
普通、自分が仮説を立てると、知らず知らずのうちに、自分が正しいことを証明するためのヒアリングやリサーチになってしまうことがあると思います
その理由の一つとして、人間には、自分の考えに合う情報を集めやすい「確証バイアス」がある、ということがあると思います
ここで、サフォーさんが、すごいなあと思うのは、
「自分が間違っていることを、自分で証明しにいく。」
ということです。
自分の仮説では説明できないデータはないか。
自分とまったく反対の意見には、何か見落としているものがないか。
自分の予測を壊してしまう事実はないか。
自分自身の仮説や結論を体系的に壊そうとする
と語っています。
これは、なんでもいいからとりあえず仮説を作っていく、ということではなく
その時点で持っている情報から、自分なりに最も確からしいと思えるところまで考え抜いて、仮説をつくり
しかし、その仮説に執着せずに、むしろ壊すとしたらどんなものなのかを、徹底的に検証しつづける
それが「強い意見を、弱く持つ」という、一見矛盾した言葉の意味なのかもしれないと思いました。
3、未来を当てるより、未来を変える
未来予測家というと、「未来を当てる人」だと思っていましたが
でもサフォーさんは、未来はあらかじめ決まっているものではなく、今の私たちの行動によって、未来の展開そのものが変わっていくと考えています。
だから未来を予測する目的は、「私は未来を当てました」と言うことではなく
いくつもの未来の可能性を考えて、「では、どの未来に行きたいのか」「その未来に近づくために、今日、何をすればいいのか」
を考えること
予測を変えることは、負け
ではなく
負けではなく、むしろ前進
なのかと思います。
未来を予測するのは、未来を当てるためではない。
未来を創るために、今日の行動を変えるため。
強い仮説を持つ。でも、その仮説を弱く持つ。
それは、間違っていたら、誰よりも早く自分で壊すことであり、そして、また新しい仮説を持ち、その繰り返しによって、
未来を「当てる」のではなく、未来に働きかけ続けること
自分の正しさを守ることより、未来を変えることの方が大切。
そんなマインドセットなのかなと思いました。
一言でいうと、強い意見を、弱く持つノベーション。
未来とは、予測して待つものではなく、
仮説を何度でも変えながら、自分たちの行動によって創っていくもの
そんな話をしています。
参考:ポール・サフォー「効果的な未来予測のための6つのルール」(原題:Six Rules for Effective Forecasting)、『ハーバード・ビジネス・レビュー』2007年7–8月号
『エデュコム・レビュー』「ポール・サフォー インタビュー――『強い意見を、弱く持つ』に賭ける」(原題:Paul Saffo Interview: Betting on “Strong Opinions Weakly Held”)、1998年5–6月号
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