哲学者・心理学者のウィリアム・ジェームズさんの言葉に、まだ誰にも見えていない未来へ挑戦するときのヒントをいただきました。
曰く、
「まだ確証のない結果を、あらかじめ信じることが、その結果を現実にすることがある。」
1897年の『信じる意志』に収められた「人生は生きるに値するか」の中の言葉です。
ここから私は思いました。
1、直感の正体は、経験の圧縮
2、確証がなくても、信じる理由がある
3、反対は、未来のサインかもしれない
1、直感の正体は、経験の圧縮
確証のない結果を信じるとは、どういうことなのかについて、とても興味が湧きました
直感というと、「なんとなくそう思う」という根拠のない勘のようにも聞こえます。
組織行動・経営学の研究者のデインさんとプラットさんは、2007年に『Academy of Management Review』にて、直感を、過去の知識や経験が非意識的に結びついて生まれる素早い判断として整理しています。
つまり、
直感とは、経験の圧縮版で、「ここには何かある。」という感覚が出現する。
そう考えると、単なる思いつきだからと、捨てることなく、なぜ自分はそう感じるのかについて、掘り下げてみる必要があるのかもしれないなと思いました
2、確証がなくても、信じる理由がある
しかし、それを心の底から信じる、というのは、どういう時にできるのだろうと考えてみました
ジェームズさんは、証拠がすべて揃うまで待っていたら、機会そのものを失ってしまう選択があると考えました。
ソニーのウォークマンの逸話は有名ですが、社内には反対があったなか、盛田昭夫さんは、自分たちが見てきた経験から生まれた可能性を信じた。
なぜ確証がなくても賭けられるのでしょうか。
私は、そこに自分のパッションの源が関係しているのではないかと思います。
自分が本当に大切だと思ってきたこと。
どうしても放っておけないこと。
なぜか心の琴線に触れてしまうこと。
そこに経験から生まれた直感が重なったとき、
「まだ証明できない。でも、自分はここに賭けたい。」と思える。
信じるとは、根拠なく思い込むことではなく、経験から生まれた仮説が、自分のパッションの源に触れたとき、その可能性に一歩賭けてみることなのかもしれないなあと思いました
3、反対は、未来のサインかもしれない
ピーター・ティールさんは『ゼロ・トゥ・ワン』で、
「ほとんど誰も賛成してくれない、大切な真実は何か。」
と問いかけている話がありますが、そんな中、自分を信じるのはどうしたらいいんだろう?とも思います。
2024年、ルカ・ジウスさんが67のベンチャーコンテスト、2,650社のスタートアップを分析した研究では、審査員の評価が割れたスタートアップほど、その後成功する可能性が高いという関係が見られたとのこと。
特に、アイデアがユニークな場合に、その傾向が強かったとされています。
もちろん、反対されれば成功するという意味ではありませんが、多数決で反対されているから間違っているとも限らないというのがイノベーションかと思います。
本当に新しいからこそ、まだ多くの人には価値が見えず、評価が割れることもある。
だから反対されたとき、
「この反対の向こうに、まだ誰にも見えていない未来があるのではないか。」
と一度考えてみることが大切な気がします。
直感には、実は経験という根拠がある。
確証がなくても、自分のパッションの源に触れるからこそ、賭けられることがある。
そして反対は、ときに新しさのサインになる。
誰かが、
「まだ証明できない。でも、ここには未来がある。」
と信じる意志から、新しい未来は始まるのかもしれないなあと思いました
一言で言えば、
確証のない結果を信じる意志ノベーション。
そんな話をしています。
闘うものの歌が聴こえるか。
参考
- ウィリアム・ジェームズ『信じる意志』、1897年
- デイン、プラット(2007)直感に関する研究
- 盛田昭夫『メイド・イン・ジャパン』、1986年
- ピーター・ティール、ブレイク・マスターズ『ゼロ・トゥ・ワン』
- ルカ・ジウス(2024)ベンチャーコンテストにおける評価の不一致とスタートアップ成功に関する研究
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