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失敗予算ノベーション(1959回)
2026-09-08 11:51

失敗予算ノベーション(1959回)

ペンシルベニア大学ウォートン校の組織心理学者、アダム・グラントさんが「失敗予算」という面白い考え方を話していのに、めちゃくちゃイノベーションを感じました。


曰く

「私は、自分自身に『失敗予算』を設定していました。これは、1年間に何回まで失敗してよいかという、ある種の割り当てです」


「もし私の失敗率がゼロなら、それは、自分自身に十分な挑戦をさせていないし、十分に成長していないということだと気づきました」


「普通の年なら、3つのプロジェクトに失敗したいと思っています」


ここから私は思いました。

1、失敗を計画に組み込む

2、ちゃんと失敗したかを毎年問う

3、失敗予算を予算計画に組み込む


1、失敗を計画に組み込む


挑戦をしよう、失敗してもいい、というお話だったり、チャレンジ分の予算の確保をするみたいな話は、よく聞いたことがありますが


失敗予算という言葉や、失敗を予め計画に織り込んでおくというお話は、目から鱗がおちるようでした。


実際、失敗したらどんな目に遭うのか、について、想像できないということに、真の課題があるのかもしれない、そんなことを思わせていただきました。


失敗予算という明確な計画を設けることによって、これだけは失敗してもお目玉はもらわなくて済むんだとか


さらにいうと、逆に失敗してないと評価が下がるということになると、これまで安穏としていれば、成果が出ていたような部署においても、あえて挑戦しよう、または何の失敗すればいいんだっけという議論も生まれる


素晴らしい考え方だなあと思いました。


2、ちゃんと失敗したかを毎年問う


失敗を計画に入れ込む効用のもう一つは、その失敗が果たしてどうだったのか?を振り替えざるを得なくなるということです。


評価の際に、何がうまくいったのかを、どうにかこうにかうまく説明をして、ボーナスを上げてもらうように頑張る、みたいなことを、私もやっていましたが


いかにこの失敗が、次へのステップになるのか、この失敗で何を学んだのか、みたいな議論は、成果の評価面談では、本当にでかい失敗をしてしまった人以外、滅多にされないのではないかと思います


それが、全員の振り返りと、組織的に、挑戦を奨励するだけではなく、失敗を資産に変えていくことができるという意味では、めちゃくちゃ大きいことにつながるかもしれないなあと思いました


サウスフロリダ大学のアーウィン・ダニールズ教授と、ノースカロライナ大学ウィルミントン校のアレックス・ベスタル教授は、米国の製造業106社を対象に、失敗への向き合い方と製品イノベーションの関係を調べました。


その結果、失敗を単に許容するだけでは、製品イノベーションには効果がありませんでしたが、過去の失敗を意図的に分析した企業ほど、より革新的な新製品を生み出したそうです。


つまり、

「今年、ちゃんと失敗したか」と問うだけではなく、

「その失敗から何を学んだか」まで問う。


これは相当、挑戦やイノベーションへのノウハウが貯まる組織になる可能性があると思いました。


3、失敗予算を予算計画に組み込む


アダム・グラントさんは、本当の予算に組み込むという話までは、していませんでしたが私は、この「失敗予算」というキャッチーな考え方を、企業の予算計画にも組み込んだら、尚更面白いのではないかと思いました


予算を使う際には、基本的には、どんなROIに通じるものなのか?ということが求められてしまうので、どうしても短期的な成果を求めがちになってしまうのではないかと思います


でも、たとえば、この失敗予算というのは、失敗をするための予算ですから、当然、ROIを求められることはないということになります。


そうすると、今回の失敗でROIを出さないけど、来年、再来年と失敗を重ねることで、中長期的にでかいROIになるはずだ、みたいな議論をしやすくなるのではないかと思いました


経営学者リタ・マグラスさんらが研究してきたリアルオプションという考え方では、


不確実性の高い新規事業では、最初から大きな投資判断をするのではなく、まず小さく投資して情報を得る。そして、その学びをもとに、次に進むか、やめるかを判断する。


という考え方と言っています。


つまり、最初の予算で買っているのは、短期的な利益だけではなく、

学習と、次の選択肢を買っている。と言えるのだと思います。


そう考えると、失敗予算とは、


単に失敗してもよいお金ではなく、


短期ROIに縛られず、未知を探索し、次の判断材料を得るための予算とも考えると、それを計画時に計上しておくというのは、まさに挑戦を支える予算という形になるのではないかと思いました。


失敗を減らすのではなく、

失敗を計画に入れる。


成功だけを問うのではなく、

ちゃんと失敗したかを問う。


そして、

失敗予算を予算計画に組み込む。


それが、挑戦を続けられる組織をつくるのかもしれません。


一言で言えば

失敗予算ノベーション


そんな話をしています


参考:

・「10%ハッピー・ウィズ・ダン・ハリス」第547回「アダム・グラント:完璧主義と先延ばしについて」

・シム・シトキン「失敗を通じた学習――小さな損失の戦略」

・アーウィン・ダニールズ、アレックス・ベスタル「失敗からの学習と製品イノベーション」に関する研究

・リタ・マグラスほかによる「リアルオプションと新規事業投資」に関する研究


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