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ミスがチャンスになるノベーション(1966回)
2026-09-14 15:33

ミスがチャンスになるノベーション(1966回)

ジャズ・ヴィブラフォン奏者、ステフォン・ハリスさんのTED「There are no mistakes on the bandstand」にジャズとイノベーションの関係について、新たな気づきを頂きました。


曰く、


「バンドスタンド上では、そもそも誤りをミスと捉えません。


唯一のミスと言えば、他人の演奏を受け入れられないことです。


ジャズでは、すべてのミスがチャンスなのです。」


「ジャズでは細かい管理はしません。それが芸術的な可能性を制限してしまうからです。」


「音楽を本当に奏でたいとき、私は聴くようにしています。周りから学べることのほうが、私ができることより遥かに多いんです。」


ここから私は思いました。


1、ミスは次の可能性になる

2、管理しすぎると可能性を失う

3、変化を捉えて即応する


1、ミスは次の可能性になる


アカペラのライブをやる時は、まずはやる曲の楽譜を作成して、そして各々のパートを各々が個別に練習して、さらに全員で合わせる練習をして、というステップを通じて本番に向かいます。


なので、とにかくみんなでうまく合わせたところは、間違わないように、ハモリがずれないように、かなりの気を張って歌っています。


しかしながら、ジャズの世界は、さらにその先に価値を置いているんだなということを、ひしひしと感じました。


むしろ、ミスが起きたときに、そこから次の可能性をどれだけ開けるかに価値を置いている。


それが、唯一無二の即興音楽を奏でていくことにつながる。


ここに改めて感動しました。


練習したことを間違いなくやることにも、もちろん価値はあります。


しかし、さらにその先には必ず予想外があり、その予想外こそが面白いという考え方です。


これは発明の世界で、意外な結果が出たことで大きな発見につながった、という逸話にも似ているなあと思いました。


イノベーションの世界でも、全く予想外の結果が出てきた。もしかしたら失敗かもしれない。


でも、そこで、


「だとしたら、ここから新たな価値が生まれているのではないか?」


というマインドセットで動くことが、とても大事だなあと思いました。


組織心理学者セバスチャン・フィッシャーさんらは、ミスを隠すのではなく、共有し、助け合い、素早く対応する「エラー・マネジメント文化」と、組織や個人のイノベーションとの関係を研究しています。


こうした文化では、


「ミスについて話し、知識を共有し、助け合い、素早く発見して対処する」


という実践が重視されます。


つまり大切なのは、ミスを次の学習につなげられるか。


ミスは、次の可能性の入口なのだと思えるかにかかっているのだと思いました。


2、管理しすぎると可能性を失う


組織学者でありジャズピアニストでもあるフランク・バレットさんは、


「ジャズの即興という芸術は、演奏者に新しいものを創り出すことを要求する。」


さらに、


「過度の規制と統制は、音楽的アイデアの相互作用を制限する。」


と論じています。


またジャズ奏者について、


「あらかじめ決められた計画も、結果の確実性もない中で、新しい応答をつくり出す。」


とも表現しています。


これがジャズの素晴らしいところで、予想外を生みやすい。


管理やルールという取り決めごとは、できるだけ最小限にして、個々人が自由に動ける状態にすることをゴールに置く。


会社や組織のイノベーションも、最低限のルールだけを決めておいて、他は個々人の自由意志に委ねる。


そして、自由にどれだけ挑戦し、新たな価値を生み出していったかを評価として見ていく。


そんなジャズのような基準やルールで動かすことができたら、よりイノベーティブなモデルが出てくる可能性が高まるのではないか、とも思いました。


VUCAの時代には、JAZZ型経営というような形が、必要なモデルの一つなのかもしれないと思いました。


3、変化を捉えて即応する


組織学者カール・ワイクさんらは、


「センスメイキングとは、状況を言葉で明示的に理解できる“状況”へと変換し、それを行動への跳躍台にすることである。」


と説明しています。


これはまさに、ハリスさんが、周りの音を聴いて、理解できる状態へ変換し、それを瞬時に即興という行動へ跳躍する、ということと同じようなことを言われていると思いました。


つまり組織も、周りの音がどのように変化しているのかを聴く耳を持つ必要がある。


そして、その変化をどう意味づけ、どのような組織行動へ変えていくべきかを、迅速に判断して動く。


そんな、変化を意味づけ、即座に行動へつなげられる組織になれば、JAZZ型経営として、即興音楽のように新たなビジネスモデルを次々と生み出していくことができる。


そんな究極の組織に近づくような気がしました。


実は、私の会社は「InnoProviZation」といいます。


InnovationとImprovisation、つまり「イノベーション」と「即興」を組み合わせた名前です。


私は、イノベーションもジャズの即興演奏のようなものだと思っています。


誰かのミスを否定するのではなく、そこから次の価値につなげる。


すべてを決め切るのではなく、余白を残す。


周りの変化を聴き、その瞬間に自分の動きを変える。


一人で完成した曲を奏でるのではなく、


仲間と、その瞬間にしか生まれない価値をつくる。


それが、私がInnoProviZationという名前に込めた思いです。


ということで一言で言えば、


ミスがチャンスになるノベーション


そんな話をしています。


参考:


・ステフォン・ハリス「There are no mistakes on the bandstand」TEDSalon NY2011

・セバスチャン・フィッシャーほか「企業と個人の革新性におけるエラー・マネジメント文化の役割」Applied Psychology、2018年

・フランク・J・バレット「ジャズと組織における創造性と即興―組織学習への示唆」Organization Science、1998年

・カール・E・ワイク『Sensemaking in Organizations』

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