Googleから生まれた「ムーンショット・ファクトリー」Xを率いてきたアストロ・テラーさんのTED「失敗を喜ぶことの意外な効果」の言葉に、めちゃめちゃ心を動かされました。
曰く、
「私たちは何かを壊したり、自分が間違っていることを証明しようとして多くの時間を使っています。それが秘訣です。問題の一番難しい部分にまずぶつかり、元気良く鼓舞するんです。『さあ、今日はどうやってプロジェクトを潰そうか?』」
「ここに絶妙なバランスがあります。野放しの楽観をビジョンの推進力としつつ、熱意ある懐疑によって、ビジョンに命と現実性を吹き込んでいます。」
「みんなが壮大でリスクの高いこと、野心的なアイデアに取り組み、問題の一番難しい部分に最初に飛び込むようにさせる唯一の方法は、その道を一番選びやすくすることです。」
「チームは駄目な証拠が見つかり次第、すぐアイデアを捨てますが、それはそのことによって評価されるからです。同僚から喝采されます。上司からハグやハイタッチを受けます。(中略)それによって昇進します。プロジェクトを終わりにしたチームの1人1人がボーナスを受け取ります。」
「ムーンショット・ファクトリーでは、みんな夢を信じています。でも熱意ある懐疑は、限りない楽観の敵ではありません。むしろ最高の相棒なんです。アイデアの中の可能性の鍵を開くのです。私たちは夢見る未来を作り出すことができます。」
私は思いました。
1、夢を信じるからこそ疑う
2、一番難しい問題から潰す
3、懐疑を評価する仕組みをつくる
1、夢を信じるからこそ疑う
普通、夢を信じることと、疑うことは、反対のことのように思います。
でもテラーさんは、「熱意ある懐疑は、限りない楽観の敵ではない。むしろ最高の相棒だ」と言います。
本当に夢を実現したいからこそ、「自分たちは間違っていないか?」「このアイデアが成立しないとしたら、どこなのか?」と徹底的に疑う。
夢を疑っているのではありません。夢を実現するために、自分たちの方法を疑っているのです。
心理学者のダニエル・カーネマンらが研究してきた「確証バイアス」では、人は自分の信念を支持する情報を重視し、反証する情報を軽視しやすいことが知られています。
だからこそ、自分のアイデアが正しい証拠を探すだけではなく、あえて間違っている証拠を探しにいく。
強い楽観と、強い懐疑を同時に持つ。
本当のパッションは、盲信することではない。徹底的に現実解を導くために、批判しまくる。クリティカルシンキングを繰り返す。
そこに、夢を現実へ変える力が生まれるということを改めて教えて頂きました。
2、一番難しい問題から潰す
私はここにファストフェイルの真髄を見た気がしました。
早く失敗することによって、軌道修正を即座にすることができ、そしてゴールにもっとも早く到達できる
そんな意味と捉えていましたが、めちゃくちゃ甘かったと思い知らされました
軌道修正をするのではなく、まずは、ぶっ潰すことを最初にやるのであるということかと思います
このプロジェクトが、ぶっ潰れるとしたら、何が最も大きな問題となるのか、そこから手をつけるという発想は、恐ろしいほど、勇気がいることだと思います
でも。それがファストフェイルの真髄で、どうせ今ぶっつぶれるなら、今が1番という考え方
それこそが、全てにおいて良いことである、論理的にはそうですが、果たしてそれを本当にできるか?
例えば昨日これが最高にいいプロジェクトだと思いますと言って、今日には、辞めることになりましたと言えるか
それをやっているということに衝撃を頂きました
3、最高のファストフェイルを賞賛する
それを実現する唯一の方法は、そうなった人を評価できるか、そこにかかっていると思います
そして、Xは、これをやっているということにまたさらに、衝撃を頂きました
つまり、
仲間が喝采する。
上司がハグやハイタッチをする。
昇進につながる。
そして、ボーナスまで出す。
極端なことを言えば、昨日生まれたプロジェクトを、今日潰した人たちを、大絶賛する
そんなことが、現実に行われていることに驚嘆しました
これは「失敗にご褒美をあげる」という話ではないと思います。
最高のアイディアに、最高のパッションを持って取り組んだチームの、最高のファストフェイルを実現したことを賞賛する、ということかと思います
言葉ではいくらでも言えることですが、プロジェクトを立ち上げるというとは、ヒトモノカネを投入しているということなので
それを覆すということは、精神的ダメージも含めて普通であればさまざまな軋轢が生じるということになると思います
それをひっくるめて、みんなで大称賛し、そして評価までつけてしまう
なんとイノベーティブな仕掛け作りなのだと思おました
イノベーションを実現するためにはイノベーティブな仕掛け作りが必要
それをまざまざと見せつけてくれた気がしました
ということで、一言で言えば
熱意ある懐疑ノベーション
そんな話をしています
参考
アストロ・テラー「失敗を喜ぶことの意外な効果」TED、2016年 https://www.ted.com/talks/astro_teller_the_unexpected_benefit_of_celebrating_failure
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