1. 残間光太郎の"闘うものの歌が聞こえるか"
  2. ステルス・ノベーション(1982..
ステルス・ノベーション(1982回)
2026-09-30 15:07

ステルス・ノベーション(1982回)

IESE Business Schoolのパディ・ミラーとトーマス・ウェデル=ウェデルスボルグの、ハーバード・ビジネス・レビューの「ステルス・イノベーション」という考え方に、イノベーションを組織の中でどう育てるのか、めちゃめちゃ考えさせられました。


曰く、

「企業の決裁ルートを無事通り抜けることができるのは、現状と大して変わらないアイデアだけである。」


「企業内のスポットライトは、若く、まだ証明されていないアイデアにとって危険な場所になりうる。」


そこで彼らは、アイデアをすぐに正式な承認プロセスに乗せるのではなく、「ステルス・イノベーション」という方法を提唱しています。


その実践方法として、


①密かに支援してくれる仲間を見つける

②概念実証、つまり小さく試して証拠をつくる

③大げさな正式予算を取らず、必要な資金や資源を確保する

④早すぎる注目を避けるための、適切な説明を用意する


という方法を示しています。


ここから私は思いました。

1、仲間をつくる。

2、事実をつくる。

3、大きな名前をつけない。


1、仲間をつくる。


この話は、昨日お話しした、「アイディア承認者のジレンマ・ノベーション」にもとても通じる内容だと思いました。


ここでは、アイディアがまだ育っていないうちは、承認者にいかに見つからずにことを進めていき、アイディアが成長したところで承認させるという、なかなか狡猾な戦略と思いました


私がいつもお話ししている、イノベータリップルモデルにおいては、仲間を作る理由は、自分でできないことを分担する、ということに重きを置いていますが、


実は、承認者に承認される前にステレスで動くからこそ、仲間が必要になるとの話に、新たな気づきをいただきました。


著者たちが仲間を必要だと言っている理由は、一つは、正式な組織の外で動くために、自分一人では足りない知識や人脈、資源などを補ってもらうためであり


自分自身がアイデアにのめり込んで、視野を失わないため。と言われています。


確かに、ステレスで動くからこそ、目立った動きはできないということがあるというのは、よくわかります


また、ステレスだからこそ、自分1人の世界に入り込みやすいという面もある気がします


ステレスだからこそ、より、仲間が重要となる、イノベータリップルモデルと思いました


2、事実をつくる。


イノベーティブなアイデアであるほど、実現性というところでは、かなり未知数なことが多いと思います


だからこそ、承認者が恐れるハイリスクをできるだけ、ステレスに、ローリスクにした上で、承認をしてもらうという、配慮とも言えるなあと思いました


そのためには、そんなにお金のかからない範囲、例えば、余っている販管費などを使って、うまくいかなくても、目立たない、そんなPOCをしていくということが大切かと思います


そして、もし可能なら、そのPOCにお客様も参加してもらって、お客様に是非とも使いたいと、言わせるという、外圧をここで作るというのも、良い手だと思いました


ステレスで動ける範囲の中で、行けそうだという事実を掴んだ上で、承認プロセスに乗せていく


社内政治の乗り越え方をよく理解しているやり方といってもいいなあと思いました


3、大きな名前をつけない。


イノベーティブな取り組みを始めると、ついつい大きな声で叫びたくなる、そんな気持ちは痛いほどよくわかるなあと思いました


それによって、私が世界初で始めています、というある意味承認欲求を満たしたいという気持ちもあるかもしれませんが、純粋に市場の反応を見たいというビジネス的な意味で、ニュースリリースを出すということもよくやられると思います


しかし、それが、この研究の中では、まだ種が成長していない段階で、スポットライトという表現をされていますが、みんなに注目されてしまうと、まだ証明できていない実現性を突かれて、萎んでいってしまう、ということがあるというのも、よくわかります。


ステレスといっても、社内で進めていることなので、誰か彼かには、小さい予算だとしても説明をしなければならない時が来るかもしれません


その時のために、カバーストーリーを作っておくというのも、めちゃくちゃ面白いお話しだなあと思いました


新規事業に取り組んでいますといった瞬間に、いつまでにやるのか?誰の承認を受けているのか?などと、組織的な説明が必要となるのであれば


「先日伺った顧客ニーズの確認をしています」とか

「気になったところを試験しています」など小さな取り組みなのであるという、嘘ではないけど本当でもない、というオブラートに包んでおく、ということも、本当に必要になることかもしれないなあと思いました


よく言われるアイデアは、上司には相談するな、ということを、じゃあ、相談しないで、ステレスにどう進めていくのか、というノウハウこそ


まだ組織がイノベーティブに育ちきっていない段階の、イノベータが自主的に進めながらも、イノベーションプロジェクトを成功させる、必殺技と思いました


ということで、一言で言えば

ステレス・ノベーション


組織がイノベーティブでないから、上司がいけてないから、イノベーションが進められません


という、イノベータの言い訳を、すっきりと駆逐してくれる、良いお話しだなあと思いました


イノベーションを進められるイノベータは、実は、どんな組織にいたって、イノベーションを実現することができる


そんな勇気ももらった気がしました


そんな話をしています。


参考:

Paddy Miller & Thomas Wedell-Wedellsborg, “The Case for Stealth Innovation,” Harvard Business Review, March 2013.

パディ・ミラー、トーマス・ウェデル=ウェデルスボルグ「イノベーションは秘密裏に遂行せよ――画期的なアイデアは社内を説得する前に形にする」『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』2013年10月号。

感想

まだ感想はありません。最初の1件を書きましょう!

15:07

コメント

スクロール