辻村深月さんの小説「ファイア・ドーム」に圧倒されて深く考えさせられました
紹介文は以下の通りです
"人はなぜ大きな事件に魅了されてしまうのか
噂は、軽薄な娯楽だ。
25年前、平穏だったはずの地方都市は、百貨店受付嬢誘拐殺人事件の発生、その報道により揺り動かされ、「噂」という大量の炎が、加害者のみならず被害者にも降り注ぎ、燃えさかった。ようやく静けさを取り戻したかに見える町に燻り続ける因縁が、いま新たな事件を呼び起こす――。
「もう言われてるよ! どうせ、親が殺したんだろうって!」――本文より"
ここから噂の持つ力について、イノベータリップルモデルに即して考えてみました
イノベータリップルモデルは、イノベーションを進める上で、必要な3つの要素を、私なりに定義してみたものですが
パッション:抑えきれないうちなる思いが出てきて
仲間:自分1人ではできないことを分担して
大義:誰かが喜んでもらえる新たな価値へ昇華する
これに沿って噂について考えてみました
1、パッションの不在
2、敵を作り仲間化する
3、大義より面白さ
1、パッションの不在
噂は、誰がそれを発信したのか、わからないうちにどんどん広がっていきます
特にSNSでは、全てが匿名化し、分散化されているので、なぜ、どのような経緯で、広まったのかと言うことでさえ、わからなくなってしまう
だからこそ、みんながよってたかって広めてしまうことができやすくなっている
これは、言ってみれば、責任の分散化、または、責任の無効化と言ってもいいのかなと思いました
イノベータリップルモデルは、明確に、誰かが始めていることがわかり、むしろ、その人の思うの強さがあるからこそ、波紋は拡大していくのですが
噂のリップルモデルは、誰がはじめたか、わからならい状態だからこそ、より拡散しやすい
新しい価値を作ろうとするイノベータリップルモデルと、起点が全く反対の構造をしている、と思いました。
2、敵を作り仲間化する
なぜこれが起きるのかと言うところについて、一つ思い出したのは
社会学者のルネ・ジラールさんが
人は共同体の不安を解消するために「スケープゴート」を作り出すと指摘したことです。
つまり、噂は、誰かを悪者にすることで安心したいという心理が生み出すものなのかもしれないなと
言ってみれば、仮想敵国を作ることによって、一致団結するみたいな、敵を作り上げることで、その他の人たちと仲間になっていこうとするアクティビティのように思いました
イノベータリップルモデルが、1人のパッションに賛同する人たちが仲間になるのと比較して
1人の悪者を仕立て上げることで、仲間を募っていく。
ある意味、人間の心理をついた、恐ろしい仲間作りの手法かもしれないと思いました
3、大義より面白さ
そして、拡散される噂には、まことしやかな物語が必ずついて回っていると思いました
ユヴァル・ノア・ハラリさんが、『サピエンス全史』で、人類は「虚構を共有する能力」によって大きな集団を形成できたと述べていたことを思い出しました
これは、人類が他の勢力に負けない非常に大きな社会的パワーを得た能力であると同時に
その物語が真実かどうかは別として、真に迫ったものや、興味を引くものであれば、人は信じてついていってしまうという側面もあると思いました
イノベータリップルモデルでは、1人のパッションに対して、そして、その1人が思い描く、誰かを助けたい、またはもっと良くしたい、と言う大義によって、より拡散をしていくのですが
噂のリップルモデルは、最後は、物語がよくできているところや、物語が面白いもになっている、と言うことで、より拡散をしてく
イノベータリップルモデルも、噂のリップルモデルも、拡散力については、実は、ものすごいパワーを両方とも持っていますが
パッション、仲間、大義でできているモデルと
責任の分散化、敵を作り仲間化、物語の面白さで拡散するモデルと
両方のモデルがあると言うことを認識する必要があるなあと深く思いました
ある意味ポジティブなリップルモデルと
ネガティブなリップルモデル
両方の構造を理解しておくことが、とても大切と思いました
と言うことで一言で言えば
噂のリップルモデルノベーション
そんな話をしています
参考:本: 小学館eBooks ファイア・ドーム 2026年6月5日 電子書籍版発行 著 者 辻村深月 発行所 株式会社 小学館
参考:KADOKAWA文芸WEBマガジン 【対談】辻村深月×澤村伊智 『ファイア・ドーム』『ざんどぅまの影』刊行記念https://kadobun.jp/feature/talks/fbybhc8wn1cg.html
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