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最初の仲間ノベーション(1956回)
2026-09-03 17:29

最初の仲間ノベーション(1956回)

起業家デレク・シヴァーズさんのTED講演「ムーブメントの起こし方」に、リーダーについての全く違う見方を教えていただきました。


一人で踊り始めた男性に、最初の一人が加わり、やがて大きなムーブメントになっていく映像を見ながら、シヴァーズさんは語ります。


曰く、

「リーダーシップは、過度に称賛されすぎている。」


「最初のフォロワーが、一人の変わり者をリーダーに変える。」


「リーダーは、最初のフォロワーを対等な存在として受け入れる。」


「最初のフォロワーになること自体が、実は過小評価されている一つのリーダーシップなのだ。」 


私は思いました。

1、最初の仲間がリーダーをつくる

2、リーダーは仲間を対等に扱える

3、最強の仲間を目指してもいい


1、最初の仲間がリーダーをつくる


私は、優れたリーダーがいるから仲間が集まると思っていましたが

でも、それが逆なのかもしれない、ということに衝撃をいただきました。


ある人を、まだ誰も信じていない時に、「それ、面白いね。私もやるよ。」と言ってくれる最初の一人。


実はその人が、変わり者をリーダーに変えていくのだと。


確かにリーダーは、一人ではリーダーとは言えないので仲間がいて初めてリーダーになりますが、順番が違うのかと


面白い実験があって、クイーンズランド大学の社会・組織心理学者のキム・ピーターズさんとアレクサンダー・ハスラムさんは、英国海兵隊の訓練生を32週間にわたり5回測定したところ


「自分はリーダーだ」と認識する人は上官からリーダーとして高く評価される一方、自分をフォロワーだと認識し、周囲からもフォロワーだと見られていた人たちは、仲間からリーダーとして評価される傾向があったということです。


この研究が、シヴァーズさんと全く同じことを示しているわけではありません。

でも私は、ここにも「リーダーは一人では生まれない」という共通点を感じました。


実は、リーダーとは、自分一人でなるものではなく、   誰か信じてくれる人が現れた瞬間に、リーダーになっていくものであると


最初に挑戦した人だけでなく、最初にその人を信じた人がいるからこそ、イノベーションを生み出しているのかもしれないなあと思いました


2、リーダーは仲間を対等に扱える


リーダーとなるべき人に大切なことが一つあって、信じてくれた仲間を「自分についてくる人」にしないことである、ということもとても心に響きました


「私についてきて」ではなく、「一緒にやろう」。と言える人なのか。ということ


それがあることで「私の挑戦」を「私たちの挑戦」に変えることができる


ここにリーダーとなるべき人の、大切な資質があるように思いました。


組織行動論の研究者のダニー・ワンさんらが42の独立した研究サンプルを統合したメタ分析では、リーダーシップを一人に集中させず、メンバー同士で共有する「共有型リーダーシップ」と、チームの有効性との間に正の関係が確認されました。


しかも、仕事が複雑になるほど、その関係は強くなる傾向があったとのことです。


優れたリーダーというと、一人のカリスマが組織を引っ張っていく姿を思い浮かべます。でも、複雑な問題になればなるほど、リーダーシップを一人で握るのではなく、仲間と分かち合うことが力になる。

シヴァーズさんの「対等な存在として受け入れる」という言葉と、どこか重なるように思いました。


3、最強の仲間を目指してもいい


私も学生や社会人の起業家を育成するプログラムを実施していたりしますが、実は起業家というリーダーを育成して生み出していくアクティビティだけでなく


自分が一緒にやりたい人を探して、自分は仲間としてその人をリーダーにしていく人たちを増やすアクティビティも必要なのではないかと思いました


「リーダーを育てる教育」はたくさんある。でも、「最初の仲間になる人を育てる教育」は、どれくらいあるのだろう。


考えてみれば、全員がリーダーを目指さなくてもいいし、そういうのが得意な人もいれば、そうでもない人もいる。


産業・組織心理学者のアシタ・ゴスワミさんらが行った2つの研究では、フォロワーが自分を単なる受け身の存在ではなく、リーダーシップを一緒につくる「共同生産者」と捉える共同生産型の役割認識が、リーダーとの心理的な近さを介してリーダーへの影響力と結びつき、さらに心理的な近さや関係の質を介して、リーダーの有効性の評価にもプラスにつながることが示されました。


つまり、最強の仲間とは、ただ、ついていく人ではない。

誰も信じていない時に信じる。一緒に考える。時には異論を言う。

そして、リーダー自身をよりよいリーダーにしていく。


私は、自分が考えているイノベーター・リップルモデルを思い出しました。

一人の内側にあるパッションに、最初の仲間が共鳴する。

そこで初めて、一人のパッションが人と人との間に広がり、一人から二人へ、二人から組織へ、そして社会へと波紋になっていく。


だとすれば、

最初の仲間こそ、最初の波紋をつくる人なのかもしれません。


世界を変える最初の一人になるのも素晴らしい。


でも、

世界を変えようとしている一人を、最初に信じる一人になるのも、同じくらい素晴らしい。


最高のリーダーを目指すだけでなく、

最強の仲間を目指してもいい。


そんなことを思いました。


ということで、一言で言えば、

最初の仲間ノベーション。


そんな話をしています


参考:

デレク・シヴァーズ「ムーブメントの起こし方」TED、2010年 https://www.ted.com/talks/derek_sivers_how_to_start_a_movement?utm_campaign=tedspread&utm_medium=referral&utm_source=tedcomshare

キム・ピーターズ、S・アレクサンダー・ハスラム「私はフォローする、ゆえに私はリードする―英国海兵隊におけるリーダー/フォロワー・アイデンティティとリーダーシップの縦断研究」『英国心理学誌』2018年 

ダニー・ワン、デイビッド・ウォルドマン、ジェン・ジャン「共有型リーダーシップとチーム有効性のメタ分析」『応用心理学誌』2014年 

アシタ・ゴスワミ、カロライン・エバンス、パトリック・コイル「フォロワーの役割志向はリーダーへの影響にどう作用するか」『Journal of Management & Organization』2024年掲載 


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