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桜守ノベーション(1811回)
2026-04-09 16:18

桜守ノベーション(1811回)

桜守16代目、佐野藤右衛門さんの言葉に、創造という営みの本質を、教えられた気がしました。


曰く

「いわゆる新しい生命と、一緒に付きおうていく楽しさ


で、今育ててるやつは、私花見できません。

やっぱ30年はかかりよるから。


次の世代のものが、それをまたやってくれるやろうという望みですわな。


そういうものがあるから、やっぱり楽しいんでしゃろうな。」


(NHK「午後LIVE ニュースーン」2026年4月8日放送より)


私は以下のこと思いました


1、成果を手放す勇気

2、自分の命を超える創造

3、他者を信頼する希望


1、成果を手放す勇気


自分が植えた桜を、自分では見ることができない。

それでも植える。


誰に届くかもわからない。

いつ報われるかもわからない。


それでも、手をかける。


ジャック・デリダは『与える時間』の中で、「贈与とは、見返りも感謝も期待しないときにのみ成立する」といった趣旨を語っています。


つまり、贈ったことすら意識に残らないような行為。


イノベーションも同じで、

「自分が評価されるかどうか」を前提にすると、どうしてもスケールが小さくなる。


誰かの未来に届くかもしれない、くらいの距離感で差し出す。


そんな創造が、結果として長く残っていくのかもしれないなあと思いました。


2、自分の命を超える創造


30年かかる桜を植える。

それは、自分の人生の中では完結しないものに、手をつけるということ。


自分のためにやるのではなく、

自分の時間の中で終わらせることも前提にしない。


それでも、手をかけ続ける。


リチャード・ドーキンスは『利己的な遺伝子』の中で、「われわれは遺伝子という自己複製子を運ぶ乗り物にすぎない」と述べています。


命は、一人の中で閉じていない。

つながりの中で続いていく。


桜守の営みは、文化の遺伝子を植えているようにも見えます。


イノベーションもまた、

「それは自分の命を超えてまで遺すべきものなのか」という問いに立ったとき、

まったく違う設計になるのかもしれないなあと思いました。


3、他者を信頼する希望


次の世代がやってくれるだろう、という前提。

そこには、未来を信頼する感覚があります。


クロード・レヴィ=ストロースは『野生の思考』などで、文化とは個人が作り上げるものではなく、「無数の人の手を経て受け継がれていく構造」であると捉えました。


つまり人は、創る存在であると同時に、受け渡していく存在でもある。


先人から受け取り、

少し手を入れて、

また次へ渡していく。


ここで必要なのは、「自分がやり切ること」ではなく、

「次の世代が続けてくれると信じきること」。


桜守の営みも、まさにその連なりの中にあるのかもしれないと思いました


イノベーションも、

完成させることよりも、

誰かが続けられる形にすること、

そしてそれを信頼して託すことの方が、本質なのかもしれないなあと思いました。


今回、なんとなく思ったのは

本当に長く残るものほど、「自分のため」から離れていくということなのかもしれないなあと


リップルモデルで言えば、自分のパッションから仲間を通じて、どんどん外側の大義の方へ広がっていく


一言でいうと、

自分の命を越えてでも遺したいと思えるものだけが、未来に残るのかもしれないなあと


桜守ノベーション


そんな話をしています


参考: NHK総合・東京 午後LIVE ニュースーン 午後4時台 桜守・16代目佐野藤右衛門 2026/4/8(水)


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