ゴッホのアルルの跳ね橋
ボイスドラマ、ゴッホ、アルルの跳ね橋。
快晴の午後、美術館のベンチに座っているtomyとマリア。
壁には、鮮やかな色彩で描かれたゴッホのアルルの跳ね橋が飾られている。
tomyは、マリアは隣で静かに絵に耳を傾けている。
マリア、準備はいい?
これから、この絵の中の世界を私の目を通して見てみない?
うん。マリアの言葉を頼りに、僕の心の中にゴッホの絵を描いていくよ。
マリアは、ゆっくりと絵に手を伸ばし、tomyの手にそっと触れる。
そして、絵の全体像を語り始める。
この絵の正式なタイトルは、ラングロワ橋。
でも、みんなアルルの跳ね橋って呼んでいるわ。
画面の真ん中には、茶色い木造の跳ね橋があって、
左側から右側に向かって斜めに伸びているの。
橋の向こうには、まっすぐな道が続いているの。
橋の下には、鏡みたいに静かな水面が広がっていて、
空や橋が水に映り込んでいるのが見えるわ。
まるで、絵の中に2つの世界があるみたいだね。
水面に映る世界と、現実の世界。
そう、その通り。
そして、絵全体がすごく明るいの。
空は光り輝くような水色。
水面も空の青を映して、同じくらい鮮やかな水色に描かれているの。
マリアは橋の細部を説明し始める。
橋の右端には、白い小屋が見えるわ。
そして、小屋の横には、小さな人影が2人いるの。
1人は白い服を着た女性で、もう1人は黒い服を着た男性。
男性は背中を向けて立っていて、女性はその男性の横に立って、
橋の方を見ている。
その2人はどんな様子?
女性は白いスカートを履いて、赤いスカーフを頭に巻いているわ。
日差しが強いから、日傘を持っているのかもしれない。
彼女の肌の色は、日焼けした健康的な茶色。
髪も、太陽の光を浴びたように少し明るい茶色に見える。
目の色までは分からないけど、きっと輝いていると思うな。
彼女の視線は、遠くの景色を見ているようにも、
橋の上を歩いている誰かを見ているようにも見える。
ナネーターは、次に橋の下の様子を説明する。
橋の下の水掘りには、洗濯をしている女性たちがいるわ。
絵を通じた心のつながり
全裸の女性たちがいるわ。
水面には、洗濯をしている女性たちがいるわ。
全部で3人。
1人目は、赤いスカーフを頭に巻いて、黄色い上着を着ている。
2人目は、緑色の服を着ていて、3人目は、青色の服を着ている。
みんな、かがんで水に手を伸ばしているから、一生懸命洗濯をしているみたい。
水面には、彼女たちの洋服の色が点々と映り込んでいて、とても可愛らしい。
たくさんの人が、それぞれの生活を営んでいるんだね。
そうなの。まるで、絵の中に音が聞こえてきそうだわ。
洗濯する水しぶきの音、人々の話し声、そして、遠くで聞こえる馬車の音。
マリアの言葉を聞きながら、トミーは静かにもほよんだ。
彼の心の中には、ゴッホが描いた鮮やかな南仏の風景が広がっていた。
マリア、この絵は、ゴッホがアルルで生活していた頃に描かれたものなの。
だから、すごく太陽の光が強くて、明るくて、元気いっぱい。
トミーも、この絵から、そんな南仏の太陽の光を感じてくれると嬉しいな。
うん。マリアのおかげで、僕は今、アルルの太陽の下にいるよ。本当にありがとう。
二人は、しばらくの間、静かに絵と向き合っていた。
言葉がなくても、二人の心はゴッホの絵を通して深くつながっていた。
アルルの太陽の下にいるよ。本当にありがとう。