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ボイスドラマ エドガー・ドガ 踊りの花形 エトワール
ナレーター 女性 語り手
マリア 女性 美術館学芸員
トミー 男性 目の見えない青年
ある日の午後 美術館のベンチに座る目の見えないトミーとその隣にいるマリア
目の前にはエドガー・ドガの傑作踊りの花形エトワールが静かに佇んでいます
マリア、トミー、準備はいい?今からドガの絵を一緒に見ていこうね。目の前に広がる舞台の上の世界を私の言葉で描いていくから
うん、ありがとう。 ドガの絵は僕も興味があったんだ
どんな舞台なんだろう? 想像してみて
この絵の主役はね、舞台の中央でスポットライトを浴びる一人のバレリーナ。 彼女がまるで満開に咲いた白い花のように見えるの
ナレーター 絵の全体は少し高い位置から舞台を見下ろすような構図で描かれています
手前の舞台の床は光を反射して薄い黄色に輝き 奥に行くにつれて深い焦げ茶色へと滑らかなグラデーションを描いています
そしてその床は円形の構図で描かれています それはまるで彼女の踊りによって生み出される
躍動の渦を暗示しているのかのようです マリア
彼女の衣装はまるで天使みたいに軽やかで透明感のあるチュッチュ 何重にも重なったチュールダイスはスポットライトの光を受けて透き通るような白に
輝いているわ チュッチュの裾には薄いピンクや水色
黄色のパステルカラーがまるで光の粒のように散りばめられているの 髪はブロンドで艶やかなお団子にきっちりまとめているよ
髪飾りはつけていないけれど首元に細い黒いリボンがアクセントになっていて まるで可憐な花が咲いたみたいに見えるの
彼女の肌はほんのりピンク色で柔らかな光を浴びているみたい 瞳は青みがかった灰色でどこか遠くを見つめている
白い衣装に ピンクの肌
そして青い瞳 繊細で可憐な女の子を想像するよ
そうなの でもね彼女の表情は少し意外かもしれない
顔は少し横を向いていて目は伏せているの この視線の先はもしかしたら観客席かもしれない
あるいは舞台の袖にいる誰かを見ているのかもしれない その表情は少し緊張しているようにも見えるし集中しているようにも見える
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これから踊り出す一瞬の張り詰めた空気が伝わってくるみたい 彼女の口元はかすかに何かを語りたがっているようにも見えるの
ナレーター 舞台の背景には鮮やかなオレンジやピンクの光を放つスポットライトがぼんやりと描かれています
その光に照らされて観客席の影がぼんやりと見えていますが 観客の姿は明確には描かれていません
それはまるで観客の視点から舞台上のバレリーナを見ているかのような感覚を与えます マリア
そしてね絵の左下をよく見て 舞台の袖に黒い服を着てあごひげをたくわえた男性の姿が見えるの
この男性はもしかしたらバレリーナの父親かもしれない あるいはこの舞台の主催者かもしれない
顔ははっきりとはわからないんだけどその大きな存在感が舞台の緊張感を一層高めている ように感じるは
彼の右腕はちょうどバレリーナの足元を支えるかのように力強く描かれているの 観客から見る舞台
そして舞台袖から見守る人 彼女はたくさんの視点の中でそして誰かの支えの中で踊ろうとしているんだね
そう この絵は単に華やかな舞台を描いているだけじゃない
舞台裏の緊張感観客の熱気 そして踊り子一人一人の内面まで描き出そうとしている
ロガはそういう一周のドラマを切り取るのが本当に上手なの この絵は音も光もそしてそこに流れる時間までも閉じ込めているみたい
君の説明を聞いていると 目の前に舞台の光が見えてくるようだ
白いチュッチュの 繊細で光ら強いバレリーナの姿が
ありがとうマリア どういたしまして
言葉で一緒に見ることができて私もすごく嬉しい また別の絵も一緒に見ようね
