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2025-10-09 15:15

メディアの未来変貌 : Episode 5〈最後のジャーナリスト〉

「ながらで聴く未来ものがたり」約15分15秒

まだ起きていない未来に触れる。近未来ショートショートから未来の可能性を探るプロトキャスティング。Week11 "メディアの未来変貌"

 

#毎日未来創造 

 

下記noteのSFショートショートを元にNotebookLMで音声化してい

note URL:

https://note.com/daisaw33/n/ndc1faff753dd

サマリー

このエピソードでは、SFショートショート『最後のジャーナリスト』を基に、メディアの未来と生成AIの影響について考察しています。2035年のクロニクルAIが生成する確定事実の社会と、真実を追求する年老いたジャーナリスト坂木の姿が対比されており、AIと人間の間に存在する意味の違いが深く掘り下げられています。AIの進化が進む中で、人間の持つ非合理的な感情や語ることの意味が再評価されています。最終的に、情報が氾濫する未来において、何を信じ、どのように語るかという選択が私たちの自由を象徴しています。

メディアと未来の関係
ノト丸
毎日未来創造Week11。今週のテーマは、メディアの未来変貌です。
今日は、あるSFショートショート〈最後のジャーナリスト〉、
それと、その作品世界を深く掘り下げた対談記録がありまして、
この2つの資料を基にして、メディアがこれからどんな風に変わっていく可能性があるのか、
それを一緒に考えていきたいなと思っています。
いわば、未来へのプロトキャストですね。試しの投げ込みみたいな。
まず、ちょっと想像してみてほしいんですけど、
最近よく話題になる生成AIって、なんだかすごく、なんていうか、
いい子というか、当たり障りのない最大公約数的な答えしか返ってこないなって感じることはありませんか?
あなただけが知っている個人的な経験とか、ちょっとした違和感とか、
そういうノイズみたいなものを伝えないと、本当にこれだって思えるような
価値のあるアウトプットって、なかなか引き出せない、そんな気がしますよね。
ブク美
ええ、しますね。なんかこう、平均的な無難なところに落ち着きがちですよね。
ノト丸
ですよね。でも、今日私たちが覗き見る最後のジャーナリストが描いているのは、
そのさらに先を行くかもしれない世界なんです。
個人の情報とか感情なんてものは、もう完全に無視されてしまう、かもしれない。
そんな可能性すら感じさせる未来です。
舞台は2035年。そこでは政府が公認した報道システムがありまして、
クロニクルAIっていう。そして、このAIが生成するもう揺るぎない確定事実。
英語で言うところのファクトキューブですかね。
これが唯一の情報として流通している世界なんです。
ブク美
その世界観まず強烈ですよね。AIが提示する確定事実。
これは文字通り反論の余地なく確定された、いわば箱詰めされた事実とでも言うような。
それ以外の情報はノイズとして切り捨てられて、人々もそれを疑うことすらしない。
そんな社会が物語の出発点になっている。
今回はこのフィクションとそれについて語り合った記録、これを手がかりにして、
メディアの未来、そして私たちが普段当たり前のように使っている真実とか語るということの、
その根源的な意味について少し深く潜っていきましょうか。
最後のジャーナリストと坂木の探索
ノト丸
そうですね。物語の中心にいるのはサカキという年老いたジャーナリストです。
彼はもう過去の遺物のような存在なんですけど、ある事件を追っているんですね。
それは遺伝子工学の分野で天才と呼ばれたアマミ博士の死について、
公式にはクロニクルAIが過度の精神的ストレスによる発作的な自殺と結論付けていて、
世間もそれで納得しているんです。
でもサカキだけはどうも腑に落ちない。
AIが示すあまりにも完璧で欠落のノイズもない事実の裏側に何か隠された真実があるんじゃないかと。
それでAIが価値なしと判断して捨ておいた情報、それこそさっき話したようなノイズですよね。
その中から彼はたった一人で取材を始めるんです。
彼の心情がまた印象的で、
事実は有弁だ、だが真実はいつも沈黙しているという言葉を胸に抱いている。
ブク美
その視点、それはまさに現代を生きる私たちにも突き刺さるものがありますよね。
対談記録でもその点が指摘されていました。
例えば最近の映像生成AI、具体的にはテキスト指示から非常にリアルな動画を作り出すSora2のような技術。
これが登場したことで、見ることはすなわち信じることっていう長年の前提が根底から揺らいでいますよね。
ノト丸
確かに何が本物か分からないみたいな。
ブク美
そうなんです。つまり私たちが何を根拠に信じるのか。
その土台自体が非常に曖昧になっている、そういう時代にいるわけです。
クロニクルAIの世界はその延長線上にある一つの極端な可能性を示唆しているのかもしれない。
どんな映像だって音だって事実としてAIが生成できてしまう。
そうなると逆説的ですけど、これは信じられないっていう感覚だけが唯一リアルな手触りを持つようになるのかも。
ノト丸
なるほど。
ブク美
AIが提示する完璧な確定事実、ファクトキューブは情報としては揺るぎないのかもしれないけれど、
そこに人間が求める真実とか納得感みたいなものは果たして含まれているんだろうかっていう、
そういう根源的な問いが投げかけられているんですね。
ノト丸
坂木はその孤独な取材を進める中でいろんな壁にぶつかるんですよね。
ブク美
博士のかつての恩親に話を聞きに行っても、今はもうなぜを推測する時代じゃないんだよって。
AIは間違いないんだからって悟されてしまう。
一方で博士が生前なんか古い刺繍を探していたとか、
あと魂は数字じゃ測れないから面白いんだなんて語ってたとか。
そういう人間くさいエピソードも明らかになっていく。
この対比がなんか面白いですよね。
ノト丸
そしてついにサカキは博士が密かにいせいていた極小のメモリチップを発見するんです。
ノト丸
そこに記録されていたのは彼女自身の微動ダイアリー。
ノト丸
そしてそこにはクロニクルAIが導き出した結論とは全く異なる衝撃的な真実が語られていたんです。
ブク美
そうなんです。博士は実は人類に永遠の命をもたらす不老技術っていうのを完成させていた。
え?
しかしその技術は同時に人間から共感する能力とか愛情を感じる心、それを奪い去ってしまうっていう致命的な副作用があったんですね。
ノト丸
ああそういうことだったんですか。
ブク美
うん。彼女は深く苦悩するわけです。
魂を失ったまま永遠に生き続ける、そんな未来を人類に残していいのかと。
そして彼女が出した結論は、自らを最後の被験者として、その研究成果もろとも歴史から完全に封印することだった。
ノト丸
つまり?
ブク美
つまりAIが単に自殺と記録した出来事は、実は人類の魂を守るための非常に気高い自己犠牲だったということなんです。
ノト丸
AIの出した結論とその人間の動機の間にはそんなにも大きな隔たりがあったんですね。
真実と情報の価値
ブク美
まさに。ここで対談記録に出てくる非常に重要な言葉が生きてくるんです。
AIは因果を説明できても意味を祈れないという一説。
ノト丸
ああなるほど。
ブク美
AIにとっては博士の死は膨大なデータから導き出された単なる結果、つまり因果関係の終着点に過ぎない。
しかし、サカキがその背景にある物語、つまり博士の葛藤や決断を記事にすることで初めて、その死に人間的な意味とか未来への祈りのようなものが与えられる。
記録ではなく語りになるわけですね。
ノト丸
なるほど。単なる事実の報告、そのデータとしての記録じゃなくて、そこに人間的な意味合いとか価値を付与する行為が語ることだと。
ブク美
ええ、そうです。対談ではさらに一歩踏み込んだ解釈も提示されてましたね。
サカキが発見した真実を最終的に紙のノートに書き記す場面があるんですけど。
はいはい。
これは単なる報道という行為を超えて、AIによって忘れされられようとしていた博士の意思を供養(くよう)、つまり鎮魂する行為だったんじゃないかと。
ノト丸
供養ですか?
ブク美
ええ、これは非常に示唆に富む見方だと思いますね。
AIが支配する世界っていうのは、効率とか最適化を追求するあまり、人間の持つ感情の揺れ動きとか、矛盾あるいは失敗といったものを、価値のないノイズとして排除していく傾向にあるのかもしれない。
ノト丸
うーん、ありそうですね。
ブク美
でもそのノイズの中にこそ、実は人間らしさ、あるいは人間の尊厳といったものが宿っているんじゃないか。
ノト丸
だから、サカキはある意味で無意味なことを記録する唯一の記者として、その世界で存在しているのかもしれないと。
そして、物語の結末がまた本当に感慨させられるんですよ。
サカキが苦労して突き止めたこの衝撃的な真実を、彼が細々と運営する自身のウェブマガジン、ザ・アナログで公開するんですが、
ええ。
なんと、その記事を読んだのは、たった7人だったっていう。
たった7人。
ノト丸
その一方で、社会ではAIが生み出す、おそらくは人々が心地よく感じるような情報をデジタル言霊(ことだま)と呼ばれるものがあふれていて、
そっちにはリアルタイムで1億ものいいねがついている。
ブク美
1億と7人。その対比は強烈ですね。
ノト丸
ええ。この圧倒的な対比の中でサカキは深く打ちのめされるわけです。
手の中にある真実は世界を変える力など持っていなかったとか、AIに読まれない情報に価値はある。
しかしそれはもう存在しないのと同じだったと。
これを読んだとき、これは希望なのか、それとも絶望なのか、正直わからなくなりました。
ブク美
まさにそこがこの物語とそれについて交わされた対談の一番の核心部分ですね。
たった7人にしか届かない真実は果たして意味を持つのかっていう非常に重い問いです。
AIとジャーナリズムの関係
ブク美
しかし興味深いことに、対談の中ではこれを単純な絶望の物語としては捉えていないんです。
あ、そうなんですか。
むしろAIがもたらす完璧な合理性とか効率性に対して、人間が用いる非合理なまでの愛とかこだわり、
あれば存在そのものの抵抗としての語りなのだと解釈しているんです。
AIが生み出すデジカル言霊が1億いいねを集める一方で、サカキはそれでも書く。
ノト丸
それでも書く?
ブク美
これはジャーナリズムの終焉を描いているんじゃなくて、語ることそのものの意味が最定義される瞬間を描いているんじゃないかと。
ノト丸
語ることの最定義ですか?それはどういう意味合いなんでしょう?
ブク美
対談ではこんな視点が提示されています。
真実は共有されるものではなく、共鳴するところから始まるのではないかと。
ノト丸
共鳴?
ブク美
つまり、読者がたとえ7人しかいなくても、その7人の心に深く響いて、共鳴が続く限り、その真実は決して死なないんじゃないかと。
むしろ、AIが生成する完璧だけれど誰の心にも深くは刺さらないかもしれない記録にはない、永続性を持つ可能性すらある。
なるほど。
これを対談では魂のジャーナリズムと呼んでいます。
そう考えると、この7人はたった7人ではなくて、その真実を受け止めて未来へ繋いでいくかもしれない最初の7人と見ることもできる。
小さな共鳴がいつか予期せぬ形で大きなうねりを起こす可能性もまあゼロではないわけです。
ノト丸
なるほど。
魂のジャーナリズム、それは今週のテーマ、メディアの未来変貌にも深く関わってきますね。
AIがメディアの世界でますます力を持つようになればなるほど、逆説的になぜ人はわざわざ語るのかとか何を伝えようとするのかという、より根源的な問いが重要になってくるのかもしれないですね。
そうですね。
そういえば対談の中では、メディアの未来変貌とは単なる発信の技術的進化ではなく、むしろ表現に対する覚悟なのだという言葉もありました。
ブク美
ああ、ありましたね。
ノト丸
AIが世界を完璧に記録するなら、人間は世界を豊かに語ればいいっていうフレーズもすごく印象に残ってます。
ブク美
AIが事実を効率的に記録して社会を最適化していく役割を担うのだとすれば、人間の役割はどこにあるのか。
それはその事実の裏にある意味を問い、感情を込め、時には非合理的に見えるかもしれないけれど、それでもなお語ることにあるのかもしれないですね。
ノト丸
そして物語の最後のシーン、サカキが雨降る夜に静かにパソコンを閉じる場面がありますよね。
ブク美
はい。対談ではこの静けさとか沈黙こそが、AIには決して生成できない、人間だけが持つ余白なのだという指摘もされていました。
余白ですか。
ええ。人間は言葉と言葉の間にある、その沈黙とか余白の中でこそ、かえって深い真実を感じ取ることができるのかもしれない。
ノト丸
うーん、深いですね。
ブク美
ラストシーンで聞こえる雨音には、サカキという一人の記者が確かに生きて考えて書き記した証、何か言葉の余熱のようなものが感じられる。
そう考えるとこの結末は単なる寂しさとか虚しさだけではない、もっと深く静かな余韻を残しているように思いますね。
ノト丸
今回の資料、最後のジャーナリストとその深掘り対談から見えてきたのは、AIが完璧な事実を記録する世界では、人間が何かを語るという行為そのものが、もしかしたら祈りのような切実な意味を持つのかもしれないということでしたね。
人間の語る意味
ノト丸
ええ、そうですね。
情報があふれて何が真実か見えにくい、そして完璧な記録が簡単に手に入るようになるかもしれない事態に、私たち人間に最後に残される自由っていうのは、何を信じ、そして何をどのように語るかというその選択なのかもしれない。
そしてその語りがたとえ極少数にしか届かなかったとしても、誰かの心の中で静かに受け継がれていく可能性がある。
ブク美
これは私たちからのプロートクエスチョンです。
もしあなたが心の底から信じている真実があったとして、それが極少数、あるいはもしかしたらたった一人にしか届かないかもしれないとしたら、それでもあなたはその真実を語り続けるでしょうか。
なぜ、あるいはどんどんようにして。
ぜひ少し時間をとって考えてみてください。
ノト丸
さて、ハッシュ毎日未来創造。
明日はまた別の角度からこのメディアの未来変貌というテーマを探求していきます。
まだ見ぬ未来へのプロトキャスト続きますので、ぜひお楽しみに。
今回の話で何か心に響くことを考えたことがあれば、ぜひ#毎日未来創造のハッシュタグをつけて、あなたの気づきや考えをシェアしてみてくださいね。
それではまた明日お会いしましょう。
未来創造
15:15

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