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#161 ごんぎつね/新美南吉【にーこるぶっく📚】
2026-10-04 22:57

#161 ごんぎつね/新美南吉【にーこるぶっく📚】

【にーこるぶっく📚】Book3

ごんぎつね
新美南吉

#にーこるぶっく
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サマリー

新美南吉の童話「ごんぎつね」を朗読しています。いたずら好きでひとりぼっちのごんは、兵十が母のために捕ったうなぎを逃がしてしまったことを悔やみ、いわしや栗、松茸を兵十の家へ届けるようになります。しかし兵十は、栗などを神様からの恵みだと思い込みます。最後にごんが家へ入ったところを兵十に撃たれ、栗を届けていたのがごんだと気づかれます。

ごんのいたずらと兵十のうなぎ
ごんぎつね、新美南吉作1 これは、私が小さい時に、村のもへいというおじいさんから聞いたお話です。
昔は、私たちの村の近くの中山というところに小さなお城があって、
中山様というお殿様がおられたそうです。 その中山から少し離れた山の中に、
ごんぎつねという狐がいました。
ごんは、ひとりぼっちの小狐で、 しだのいっぱい茂った森の中に、
穴を掘って住んでいました。 そして、
夜でも昼でも、あたりの村へ出てきて、 いたずらばかりしました。
畑へ入って芋を掘り散らしたり、 菜種柄の干してあるのへ火をつけたり、
百姓屋の裏手につるしてある とんがらしをむしりとって行ったり、
いろんなことをしました。 ある秋のことでした。
二、三日、雨が降り続いたその間、 ごんは外へも出られなくて、
穴の中にしゃがんでいました。 雨があがると、
ごんはほっとして、穴からはいれました。 空はからっと晴れていて、
もずの声がきんきん響いていました。 ごんは村の大川の包みまで出てきました。
あたりのすすきのほには、 まだ雨のしずくが光っていました。
川はいつもは水が少ないのですが、 三日もの雨で水がどっと増していました。
ただのときは水につかることのない 川べりのすすきや萩の株が、
黄色くにごった水に横倒しになって もまれています。
ごんは川下のほうへとぬかるみ道を 歩いていきました。
ふと見ると川の中に人がいて、 なにかやっています。
ごんは見つからないようにそーっと 草の深いところへ歩き寄って、
そこからじっとのぞいてみました。
「ひょうじゅうだな。」 とごんは思いました。
ひょうじゅうはぼろぼろの黒い着物をまくしあげて、 腰のところまで水にひたりながら、
魚をとるはりきりという網をゆすぶっていました。
はちまきをした顔の横っちょうに、 まるい萩の葉が一まい、
大きなほくろみたいにへばりついていました。 しばらくするとひょうじゅうは、
はりきり網の一ばんうしろのふくろのようになったところを 水の中からもちあげました。
その中にはしばの根や草の葉、 くさった木ぎれなどがごちゃごちゃはいっていましたが、
でもところどころ白いものがきらきら光っています。 それは太いうなぎの腹や大きなきすの腹でした。
ひょうじゅうはびくの中へ そのうなぎやきすをごみといっしょにぶち込みました。
そしてまたふくろの口をしばって 水の中へいれました。
ひょうじゅうはそれからびくをもって川からあがり びくをどてにおいといて
なにをさがしにか、 かわかみのほうへかけていきました。
ひょうじゅうがいなくなると、 ごんはぴょいっと草の中からとびだして、
びくのそばへかけつけました。 ちょいといたずらがしたくなったのです。
ごんはびくの中のさかなをつかみだしては、 はりきりやみのかかっているところよりしもての川の中をめがけて、
ぽんぽんなげこみました。 どのさかなもとぼんとおとをたてながら
にごった水の中へもぐりこみました。 いちばんしまいに
ふというなぎをつかみにかかりましたが、 なにしろぬるぬるとすべりぬけるので、
てではつかめません。 ごんはじれったくなって
あたまをびくの中につっこんで うなぎのあたまをくちにくわえました。
うなぎはきゅっといって ごんのくびへまきつきました。
そのとたんにひょうじゅうがむこうから、 「うわ!むすっとぎつねめ!」
とどなりたてました。
ごんはびっくりしてとびあがりました。 うなぎをふりすててにげようとしましたが、
うなぎはごんのくびにまきついたままはなれません。 ごんはそのままよこっとびにとびだして、
いっしょうけんめいににげていきました。 ほらあなのちかくのはんのきのしたでふりかえってみましたが、
ひょうじゅうはおっかけてはきませんでした。 ごんはほっとしてうなぎのあたまをかみくだき、
やっとはずしてあなのそとのくさのはのうえに のせておきました。
兵十の母の葬式とごんの後悔
に、 とうかほどたって、
ごんがやすけというおひゃくしょうの うちのうらをとおりかかりますと、
そこのいちじくのきのかげで やすけのかないがおはぐろをつけていました。
かじやのしんべいのうちのうらをとおると、 しんべいのかないがかみをすいていました。
ごんは、「ふふん、むらになにかあるんだな。」 とおもいました。
「なんだろう、あきまつりかな。 まつりならたいこやふえのおとがしそうなものだ。
それにだいちおみやにのぼりがたつはずだが、 こんなことをかんがえながらやってきますと、
いつのまにかおもてにあかいいどのある ひょうじゅうのうちのまえへきました。
そのちいさなこわれかけたいえのなかには おおぜいのひとがあつまっていました。
よそいきのきものをきて こしにてぬぐいをさげたりしたおんなたちが、
おもてのかまどでひをたいています。
おおきななべのなかでは、なにかぐずぐずにえていました。
「ああ、そうしきだ。」とごんはおもいました。
ひょうじゅうのうちのだれがしんだんだろう。
おひるがすぎると、ごんはむらのぼちへいって、 ろくじぞうさんのかげにかくれていました。
いいおてんきで、とおくむこうには おしろのやねがわらがひかっています。
ぼちにはひがんばなが あかいきれのようにさきつづいていました。
とむらのほうから、 かーん、かーん、とかねがなってきました。
そうしきのでるあいずです。
やがて、しろいきものをきたそうれつのものたちがやってくるのが、 ちらちらみえはじめました。
はなしごえもちかくなりました。
そうれつはぼちへはいってきました。
ひとびとがとおったあとには、 ひがんばながふみおられていました。
ごんはのびあがってみました。
ひょうじゅうがしろいかみしもをつけて いはいをささげています。
いつもはあかいさつまいもみたいな げんきのいいかおが、
きょうはなんだかしおれていました。
「ははん、しんだのはひょうじゅうのおっかだ。」
ごんはそうおもいながら あたまをひっこめました。
そのばん、ごんはあなのなかでかんがえました。
ひょうじゅうのおっかは、
とこについていて うなぎがたべたいといったにちがいない。
それでひょうじゅうが はりきりやみをもちだしたんだ。
ところが、わしがいたずらをして うなぎをとってきてしまった。
だからひょうじゅうはおっかに うなぎをたべさせることができなかった。
そのままおっかは しんじゃったにちがいない。
ああ、うなぎがたべたい、
うなぎがたべたいと思いながら しんだんだろう。
ちょ、あんないたずらを しなけりゃよかった。
ごんの償いと栗・松茸
3 ひょうじゅうがあかいいどのところで むぎをといでいました。
ひょうじゅうは、いままでおっかとふたりきりで まずしいくらしをしていたもので、
おっかがしんでしまっては、もうひとりぼっちでした。
おれとおなじひとりぼっちのひょうじゅうか、
こちらのものおきのうしろからみていたごんは、
そうおもいました。
ごんはものおきのそばをはなれてむこうへいきかけますと、
どこかでいわしをうるこえがします。
「いわしのやすうりだーい。いきのいいいわしだーい。」
ごんはそのいせいのいいこえのするほうへ はしっていきました。
と、やすけのおかみさんがうらとぐちから、
「いわしをおくれ。」といいました。
いわしうりは、いわしのかごをつんだくるまを みちばたにおいて、
ぴかぴかひかるいわしをりょうてでつかんで、
やすけのうちのなかへもってはいりました。
ごんはそのすきまにかごのなかから ごろっぴきのいわしをつかみだして、
もときたほうへかけだしました。
そしてひょうじゅうのうちのうらぐちから うちのなかへいわしをなげこんで、
あなへむかってかけもどりました。
とちゅうのさかのうえでふりかえてみますと、
ひょうじゅうがまだいどのところでむぎを といでいるのがちいさくみえました。
ごんはうなぎのつぐないに まずひとついいことをしたと思いました。
つぎのひにはごんはやまでくりをどっさりひろって、
それをかかえてひょうじゅうのうちへいきました。
うらぐちからのぞいてみますと、
ひょうじゅうはひるめしをたべかけて ちゃわんをもったままぼんやりとかんがいこんでいました。
へんなことにはひょうじゅうのほっぺたに かすりきずがついています。
どうしたんだろうとごんがおもっていますと、
ひょうじゅうがひとりごとをいいました。
いったいだれがいわしなんかを おれのうちへほおりこんでいったんだろう。
おかげでおれはぬすびとと思われて いわしやのやつにひどいめにあわされた。
とぶつぶついっています。
ごんはこれはしまったと思いました。
かわいそうにひょうじゅうはいわしやにぶんなぐられて あんなきずまでつけられたのか。
ごんはこうおもいながらそっとものおきのほうへまわって、
そのいりぐちにくりをおいてかえりました。
つぎのひもそのつぎのひもごんはくりをひろっては ひょうじゅうのうちへもってきてやりました。
そのつぎのひにはくりばかりでなく まつたけもにさんぼんもっていきました。
神様だと思われるごんの贈り物
つきのいいばんでした。
ごんはぶらぶらあそびにでかけました。
なかやまさまのおしろのしたをとおってすこしいくと、
ほそいみちのむこうからだれかくるようです。
はなしごえがきこえます。
ちんちろりん、ちんちろりんとまつむしがないています。
ごんはみちのかたがわにかくれてじっとしていました。
はなしごえはだんだんちかくなりました。
それはひょうじゅうとかすけというおやくしょうでした。
「そうそう、なあ、かすけえ。」とひょうじゅうがいいました。
「あん、おれはこのごろとてもふしぎなことがあるんだ。」
「なにが。」
「おっかあがしんでからは、だれだかしらんが、
おれにくりやまつたけなんかをまいにちまいにちくれるんだよ。」
「ふーん、だれが。」
「それがわからんのだよ。おれのしらんうちにおいていくんだ。」
ごんはふたりのあとをつけていきました。
「ほんとかい。」
「ほんとだとも。うそと思うならあしたみにこいよ。
そのくりをみせてやるよ。」
「へえ、へんなこともあるもんだな。」
それなりふたりはだまってあるいていきました。
かすけがひょいっとうしろをみました。
ごんはびくっとして、ちいさくなってたちどまりました。
かすけはごんにはきがつかないで、そのままさっさとあるきました。
きちべえというおひゃくしょうのうちまでくると、
ふたりはそこへはいっていきました。
ぽんぽんぽんぽんと、もくぎょのおとがしています。
まどのしょうじにあかりがさしていて、
おおきなぼうずあたまがうつってうごいていました。
ごんは、「おねんぶつがあるんだな。」
と思いながらいどのそばにしゃがんでいました。
しばらくするとまたさんにんほどひとがつれだって、
きちべえのうちへはいっていきました。
おきょうをよむこえがきこえてきました。
ごんはおねんぶつがすむまでいどのそばにしゃがんでいました。
ひょうじゅうとかすけはまたいっしょにかえっていきます。
ごんはふたりのはなしをきこうと思ってついていきました。
ひょうじゅうのかげぼうしをふみふみいきました。
おしろのまえまできたとき、かすけがいいだしました。
さっきのはなしはきっとそりゃかみさまのしわざだぞ。
「え?」とひょうじゅうはびっくりしてかすけのかおをみました。
おれはあれからずっとかんがえていたが、
どうもそりゃにんげんじゃないかみさまだ。
かみさまがおまえがたったひとりになったのをあわれにおもわしあって、
いろんなものをめぐんでくださるんだよ。
そうかなあ。
そうだとも。だからまいにちかみさまにおれいをいうがいいよ。」
うん。
ごんは、「へえ、こいつはつまらないなあ。」
と思いました。
おれがくりやまつたけをもっていってやるのに、
そのおれにはおれいをいわないでかみさまにおれいをいうんじゃ、
おれはひきあわないなあ。
兵十の誤解と悲しい結末
ろく、そのあくるひもごんはくりをもってひょうじゅうのうちへでかけました。
ひょうじゅうはものおきでなわをなっていました。
それでごんはうちのうらぐちからこっそりなかへはいりました。
そのときひょうじゅうはふとかおをあげました。
と、きつねがうちのなかへはいったではありませんか、
こないだうなぎをぬすみあがったあのごんぎつねめが、
またいたずらをしにきたなあ。
よし、ひょうじゅうはたちあがって、
なやにかけてあるひなわじゅうをとってかやくをつめました。
そしてあしおとをしのばせてちかよって、
いまとぐちをでようとするごんをどんとうちました。
ごんはばたりとたおれました。
ひょうじゅうはかけよってきました。
うちのなかをみると、
どまにくりがかためておいてあるのがめにつきました。
おや?
とひょうじゅうはびっくりしてごんにめをおとしました。
ごん、おまいだったのか。
いつもくりをくれたのは。
ごんはぐったりとめをつぶったままうなずきました。
ひょうじゅうはひなわじゅうをばたりととりおとしました。
あおいけむりがまだつつぐちからほそくでていました。
22:57

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