にゃおのリテラシーを考えるラジオ、読書と編集の千葉直樹です。
このチャンネルでは、読書とIT時代の読み書きそろばんを中心に、様々な話をしています。
今回のタイトルは、「ゲイツとジョブズ。IT全史を読む。」の第19回目です。
このIT全史を読んでいくシリーズも19回目になって、やっとパソコンの時代に入ってきました。
今やパソコンはコンピューターに詳しい人じゃなくても使えるものになっていますが、最初からそうであったわけではありません。
1970年代といえば50年ほど前ですよね。
この時期はメインフレームといわれる大型コンピューターがITの王道でした。
一般の人はせいぜいテレビや映画でその姿を見る程度です。
そしてそこで表現されているのはやたらとSF的で、ある意味高等無形なコンピューターの姿でした。
実際のコンピューターは、いかにも電子計算機というもので大量の通知計算をこなすことができるだけの、ブルドーザーやクレーンみたいな力技が得意な機械でした。
それでも当時の若者にとってコンピューティングの世界は夢のあるワクワクするものでした。
大企業の奥深くに収まっている神秘的なコンピューターに憧れて、自前でコンピューターを組み立ててみようという人たちが現れます。
そういう雰囲気の中で一世を風靡したのが、アルテヤ8800という個人で持つことができるコンピューターです。
インテルの8080というマイクロプロセッサーをCPUとして持つこのコンピューターが、世界初のパーソナルコンピューターと言われることがあります。
アルテヤ8800は、生産体制の問題などから商業的には失敗に終わりますが、これに影響を受けた人たちが後のパソコンの世界を切り開いていきます。
その一人がビル・ゲイツです。
彼はアルテヤ上にプログラミング言語であるBASICを移植します。
その後しばらくはパソコンといえばBASICを使うものという時代になりました。
パソコンを起動すると、とにかくBASICインタプリタが動き出すわけです。
黒い画面にプロンプトが出たら、BASICのコマンドを打ち込み、対話的にコンピューターを使います。
対話形式は大型コンピューターのコンソールとか端末に似ています。
今となってはそれは対話なんだろうか、と思ったりもしますが、
大型コンピューターの世界観が自分の手元にやってくるというのは、とてつもなくワクワクするものでした。
ビル・ゲイツはこのBASICのビジネスからマイクロソフトを設立します。
1975年のことです。
他方、少し違ったアプローチを取り始めた人がいました。
アルティアがきっかけではあるのですが、大型コンピューターの端末の設計経験のあるスティーブ・ウォズニャックという人が自前でパソコンを組み立てます。
このパソコンのビジネスをガレージで一緒にやり始めたのがスティーブ・ジョブズで、その時に設立した会社がApple Computerです。
マイクロソフトを設立の翌年、1976年のことです。
ジョブズは1979年にゼロックスのパロアルト研究所でアルトを見ました。
アランKのダイナブック構想を形にしたデモシステムです。
ビットマップディスプレイやマウスを使うグラフィカルユーザーインターフェースのシステムですね。
ここからAppleはグラフィカルユーザーインターフェースの実現に向けてひた走り、1984年にマッキントッシュを発売することになります。
一方、当時の王道、メインフレームコンピューター界の王者であるIBMは、横綱相撲的なパソコン、IBM PCを作り始めます。
パーソナルであろうと、コンピューターを作るならこうだ、とそのアーキテクチャを公開しました。
その思想は、コンピューターならOSが動かなければいかんよ、というもので、起動するとDOSというものが動きます。
パソコンを汎用的に使えるようにする第一歩です。
もちろん同じような思想のOSは他にもありましたが、IBMという巨人の力は大きなものでした。
そして、このDOSの開発を受け取ったのがマイクロソフトで、ほとなくMS-DOSとしてIBMとは独立したソフトウェアビジネスで巨大化することになります。
この時点で、文字ベースのユーザーインターフェースで当時の王道に近い実用性重視のマイクロソフトと、
グラフィカルなユーザーインターフェースで理想を追うAppleコンピューターという大きな二つの流れが出てきたと言えるでしょう。
この大きな流れを象徴的に表した有名な1984年のコマーシャル映像があります。
概要欄にリンクを載せておきますね。
マイクロソフトが本格的にグラフィカルユーザーインターフェースに舵を切るまで10年近くかかり、
今僕たちが使っているパソコンのイメージに近づいたのは1995年、Windows95が発売されてからのことです。
それでも1995年の時点のパソコンにはまだ欠けているものがありました。
次回からその話をしていきます。
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