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にゃおのリテラシーを考えるラジオ、読書と編集の千葉直樹です。
このチャンネルでは、読書とIT時代の読み書きソロ版を中心に、様々な話をしています。
今回のタイトルは、「パンチカードシステムって知ってる?」というものです。
たまにITの昔話をしています。
2016年に公開されたドリームという映画をご存知でしょうか。
1961年、NASAで友人宇宙船計画が始まっていました。
その頃のアメリカは、人種差別的な政策が行われていた時代です。
そこで、計算手として働いていた優秀な黒人女性を主人公とした話です。
ストーリーは、ぜひ映画を見ていただくとして、この映画に出てくるコンピューターに関する話をします。
NASAの計算手というのは、何かというと、
ロケットの打ち上げや、地球を周回する宇宙船の軌道計算を行う人たちのことです。
これはとても複雑な物理学的な計算が必要で、今ならコンピューターを使うのが当たり前ですが、
当時はまだ計算手と言われる主に女性のスタッフ多数の人力によって計算していたのですね。
そして、コンピューターが実用できるようになってきた時期でもあるわけです。
この頃のコンピューターは、今の我々がイメージするものとは少し違っていて、ディスプレイモニターがありません。
テレタイプというキーボードとプリンタがくっついたような制御択でコンピューターを操作するのですが、
それはコンピューターを動かすためのコマンドを打つためのもので、プログラムは別の方法で入力するようになっていました。
そこで出てきた方法がパンチカードシステムなのです。
カードの大きさは8cm×18cmくらいで、長い方向を横、短い方向を縦とします。
このカードには横方向に80桁の文字列を打つことができます。
縦方向は12個の穴開け位置があり、そこに開ける穴の位置の組み合わせで1文字を表すようになっていました。
このカードにソースコードを打ち込んでいきます。
ソースコードの1行に1枚のカードを使うので、ソースコードの行数分のカードが必要になるわけです。
これをジム机ほどの大きさのカード選考器を使って作るのですが、その前にプログラムをコーディングシートという原稿用紙みたいなものに手書きするのです。
それをパンチャーさんに持って行ってカードに打ってもらって、カードデッキを受け取ってそれをコンピュータ室に持って行って、オペレーターにお願いしてコンパイル実行してもらうのです。
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オペレーターはカードデッキを読み取り機に置いて、読み取り命令をテレタイプの制御卓から打って、コンパイルしてコンパイル結果のリストをプリントして、
誤りがなければプログラムを実行して、その結果もプリントしてやっと結果が返ってくる、というわけです。
最初に紹介した映画にはそんなコンピューターが少しだけ出てきます。
プログラムを効率よく作っていくために、便利なサブルーチンのカードデッキを使い回すこともあり、これをライブラリというのです。
紙の束がライブラリです。
わかりやすいでしょう?
ライブラリという用語だけでなく、実は今のコンピューターでもこういう古いシステムの名残があります。
テレタイプの制御卓の流れを汲むのがLinuxなどで使う、あの黒いコマンドラインですし、
VGAと呼ばれる640x480ピクセルの横の画素数は、カードの80桁を基準に作られたサイズのようです。
そして、コンピューターをとても単純化して表した、コンピューターに対して入力があって出力がある、というイメージは、
当時も今も全く同じなのですね。
今はさすがにカードは使いませんが、この頃のモデルとあまり変わらない形で運用されているコンピューターがまだまだ活躍しています。
なんだか大昔のお話のように感じるかもしれませんが、今でもお世話になっていると思いますよ。
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今日もワクワクする日でありますように。千葉直樹でした。ではまた。