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こんにちは。横浜で15年以上、犬の保育園の先生を行っている、なおちゃん先生こと、わんわん亭🐶すなおと申します。
早いもので、1ヶ月に一度は、落語の演目を配信したいと言いながら、
なんと、前回初講座させていただいてから、もう3ヶ月も経ってしまいました。
師匠方、大変申し訳ございません。
ということで、本日は、わんわん亭🐶すなお💛二席目をお届けいたしたいと思います。
初落語は、ジュゲムでございましたが、はてさて二席目、何を選ぼうかなと思っておりました。
ですが、やはりここは、わんわん亭🐶すなお💛、そして犬の保育園の先生ということで、
選ばせていただきましたのが、こちらの演目。
元犬🐕、させていただきたいと思います。
今回も、相変わらずの一発撮り。
どうぞどうぞ、お優しいお耳でお付き合いをいただければと思います。
昔、蔵前の八幡様の境内に、一匹の白犬がおりました。
真っ白な犬というのは、当時は珍しかったそうです。
今じゃ、ピレネー犬や、ホワイトシパード、白シバ、マルチーズなどなど、白い犬といえば、そう珍しくもありませんでしたが、
この自分には、白といっても、どこかに刺しがあったり、どこかがちょっと薄汚れていたりとね。
そんなわけで、真っ白な犬は、次の世には人間になれる、なんてことを言いますから、
来る人を来る人みんな、この白い犬のことを可愛がってくれる。
そのうち犬の方でもその気になりまして、
ありがてえなあ、あたいは次の世には人間になれるんだ。
でもどうせなら、今の世で人間になりてえなあ。
そうだ、八幡様にお参りしてみよう。
さて、この日から3日、21日の間、毎日、裸足参り。
もっとも犬でございますから、裸足なのは当たり前。
願い叶う満願の日になり、一陣の風がこうビューッと吹いてきたかと思いますと、
真っ白な毛がみんな抜けちゃって、あらら、白はとうとう人間になりました。
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立てるぞ、わあ人間だ、ありがてえなあ。
いけねえ、人間になったからってこうやって、
まあ、裸でゴロゴロしてるわけにはいかないね。
弱っちゃったなあ、着るものを着るものを。
あ、向こうから来るのはカズサヤのお旦那さんだ。
あそこは口入れ屋さんだからね、方向口を世話してもらおう。
カズサヤの旦那、カズサヤの旦那。
おお、なんだいこの人は、裸だね。一体どうしたんだい?
あの、方向口を世話してください。
なるほど、田舎から出てきて悪い人にだまされて、着物屋なんかみんな取られちまったんだね。
それで方向口を世話してくれと。
いやいや、皆まで言わなくていいよ。
わかりました。
じゃあこの方向を手ぬぐいでもってちょっと前だけでも隠してくんな。
で、この羽織を。
なんだい?羽織を着たことがない。
いやいや、そうやって被って遊ぶもんじゃないんだよ。
こう羽織って、そうそうそれでいい。
私の家はすぐ近所だからついてきておくれ。
うん。
ああ、ここだここだ。起きよ、起きよ。
困ってる人を連れてきたんだ、ちょいとね。
オケに水を入れて持ってきておくれ。
はい、ありがとう。
お前さん、お前さん、この水で足を洗っとくれよ。
バチャバチャするんじゃないんだよ。
足を洗うの。
あ、飲んじゃった、飲んじゃったんだね。
その水汚いんだから。
もうお前さん変わった人だね。
さあ、こっち上がってくださいな。
起きよ。
この人に何か着るものを意識。
さあ、遠慮はいらないからね。
これを着ておくれ。
もう着方がわからない。
変わってるね。
じゃあ私がやりますよ。
まず、ふんどし締めて。
はい、着物も着て。
これが帯ですよ。
何やってんだい?
首に巻いて。
何してんの?
はい、散歩に連れてけ。
面白い人だね。
鎖はこうやって締めるもの。
はい、できた。
いや、実はね、お前さんみたいに
面白い人を探している家がありましてね。
どうだい?
そこで持って放行してみないかい?
ああ、そうか、そうか。
よし、そうと決まれば早速出かけますよ。
玄関にお前さんの分の下駄も出てますからね。
それを履いて、何やってんの?
下駄を履くんだよ。
口に加えて、はぁはぁ言うんじゃないの。
え?履いたことがない?
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珍しい人だね。
足に履いておくれ、足。
それは手でしょ。
あ、後ろ足ですか?
面白い人ですね。
はい、ついてきてくださいよ。
そこのお宅はね、変わり者の放行人が欲しいと言っててね。
隠居さんと女中の尾本さんて人がいるから。
この尾本さんて人がしっかり者でさ。
まあ、お前さんだったら勤まると思いますからね。
あ、ここだ、ここだ。
ちょっと待っててくださいよ。
ごめんください。
おお、かずさやさん、見つかりましたか?
変わり者の放行人。
見つかりました。
ご覧くださいな、ほら。
あの敷居の上に顎をのせて、はぁはぁ言ってるあれです。
変わってるね。
お前さん、ちょっとこっちへ。
ちょっとこっちへ。
なんだよお前さん、舌出してはぁはぁ。
ちょっと離れてくんな。
驚いたね、ありゃ。
飛びかかってきたよ、この人は。
お前さん変わってるね。
色は白くていい男なのに、
その舌出してはぁはぁ言うなよしなさい。
お前さん名前何てんだい?
はい、シロって言います。
白、白吉とか白二郎とか。
いえ、ただ白ってんです。
ああ、ただ白、いい名前だね。
どこの生まれだい?
八幡様の裏手の長屋の月あたりです。
月あたりはゴメダメだろう?
ええ、ゴメダメで生まれました。
若いのに苦労人だね。
ヒゲして言ってるんだね。
ゴメダメのようなところで生まれましたと。
こりゃ感染だ。
お父さんは何してたんだい?
うーん、オスですか?
なんだいそのオスってのは。
それがどれだかわかんないんです。
酒屋のあれが怪しいなんてみんな言ってました。
苦労人だね。
いやいや、言いづらいことは言わなくていいんだよ。
お母さんは。
ああ、脇から来た毛並みの犬にくっついてどっか行っちゃったんですよね。
何か悪かったね。
変なこと聞いちまったかな。
いや、気に入りました。
ひとつうちで放行してもらいましょう。
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のど渇いたろう?
お茶ほうじるホイロがあるから、取っておくれ。
へっ?
いや、ホイロ。
ホイロだよ、ホイロ。
ホイロを取ってくれ。
変わった人だね。
じゃあいいよ、お元に頼みましょう。
元!元はいないかい?元はいぬかー?
へぇ、今朝ほど人間になりました。
お後がよろしいようで。
最後まで聞いていただき、ありがとうございました。