■本日の興味シンシン論文
診断的身体所見を契機に,無自覚の持続的
心理的緊張への洞察に至った一例
—進行がん患者の筋筋膜性仏痛に対する
心身医学的アプローチ—
Palliat Care Res 2026; 21(2): 81–86
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspm/21/2/21_26-00001/_pdf/-char/ja
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■AI要約(誤字はご勘弁ください)
今回のトピックは、翌日の「世界サイコオンコロジーの日」にちなみ、日本緩和医療学会の和文誌『Palliative Care Research』2026年最新号に掲載された**「進行がん患者の筋筋膜性疼痛に対する心身医学的アプローチ」**についての症例報告です。
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## 1. 症例の背景:難治性の「背中の痛み」
患者は進行肺がんを患う70代男性で、主訴は激しい**上背部痛**でした。画像診断では骨転移などの直接的な原因は見当たりませんでしたが、ロキソプロフェンや医療用麻薬(オキシコドン)を用いても痛みが緩和されないという困難な状況にありました。
この痛みは、筋肉を包む膜に起因する**「筋筋膜性疼痛症候群(MPS)」**と診断されました。患者には、若くして両親を事故で亡くし、離婚を経て独居という過酷な生活背景があり、さらに喘息やアトピー性皮膚炎といった心身症の素因も認められました。
## 2. 心身医学的評価:「失体感症」への気づき
たけお先生は、この症例の鍵として**「失体感症(アレキシソミア)」**を挙げました。これは、自分の身体の空腹感や疲労、筋肉の緊張などをうまく認識できない状態を指します。
診察では、心身医学で用いられる**「アームチェア・サイン」**という手法が活用されました。
* **アームチェア・サインとは:** 診察者が患者の腕を持ち上げ、不意に手を離した際、通常なら腕は自重で落ちますが、無意識の緊張がある患者は腕を空間に保持したままになります。
* **効果:** この客観的な身体所見を示すことで、患者自身が「自分はこれほどまでに緊張していたのか」と、心身の相関を深く洞察するきっかけとなりました。
## 3. 介入と劇的な改善
治療には、以下の4つのステップが踏まれました。
1. **良好な治療関係の構築:** 丁寧な診察とフィードバックによる信頼醸成。
2. **BPSモデル(生物・心理・社会的モデル)による評価:** 痛みと人生背景の関連を紐解く。
3. **心身相関への洞察:** アームチェア・サインを通じた筋緊張の自覚。
4. **リラクゼーション技法の導入:** 漸進的筋弛緩法などを用い、自ら緊張を解く術を習得。
この結果、ほぼ最大値(NRS 10)だった痛みのスケールは劇的に改善しました。特筆すべきは、当初**「予後3ヶ月」**と診断されていたにもかかわらず、介入から7ヶ月以上経過しても、心身ともに安定した生活を継続できたという点です。
## 4. 結論:緩和ケアにおける心身医学の意義
この論文は、がん患者の痛みには「がんそのもの」以外の要因(非がん痛)が複雑に絡んでおり、特にストレスによる筋緊張が痛みを増幅させている場合があることを示しています。
たけお先生は、**「恐怖回避モデル(痛みを恐れて動かさなくなり、さらに悪化する悪循環)」**を断ち切るために、身体と心の両面からアプローチする心身医学的視点が、緩和ケアの現場において極めて有効であると締めくくりました。
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