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2019-03-14 20:08

第188回「質問:年次有給休暇取得義務化で「違反についての罰則は最大30万円、従業員30人の事業所は最大900万の罰金」は正しいのか? 」

第188回「質問:年次有給休暇取得義務化で「違反についての罰則は最大30万円、従業員30人の事業所は最大900万の罰金」は正しいのか? 」弁護士の向井蘭が、経営者の立場に立って、労働法の基礎だけでなく、ビジネスに関する法律の問題をわかりやすく解説する番組です。
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向井蘭の社長は労働法をこう使え 法律のもとで展開されるビジネスの世界
ポッドキャスト社長は労働法をこう使えは、弁護士の向井蘭が経営者の立場に立って、経営者が知っておくべき労働法の基礎だけでなく、ビジネスに関する法律の問題をわかりやすく解説します。
こんにちは、遠藤和之です。 向井蘭の社長は労働法をこう使え。 向井先生、本日もよろしくお願いいたします。
はい、よろしくお願いします。
さあ、いっちゃいますか。
はい、お願いします。
早速、質問の方に入りたいと思います。 今回は、33歳の社労士男性の方からご質問いただいております。
向井先生、遠藤さん、こんにちは。
はい。
いつも楽しく聞かせていただいております。
はい。
3月に向井先生が埼玉の川越に社労士会の研修講師としていらっしゃるということで、そちらも楽しみにしています。
経営者に突き刺さる向井フレーズを盗んで帰ろうと思っております。
はい。
さて、本題に参ります。
はい。
改正労働基準法などの施行が迫っており、社労士もホームページやブログで法改正解説を行う方が多くなってきました。
はい。
実際そうなんですか。
多いですね。先生方も多いと思います。
そうなんですね。
その中の年次有給休暇取得義務化についての解説をしている中で、違反についての罰則は最大30万円。
従業員30人の事業所なら最大900万円の罰金が課せられる可能性があるという記事を見かけました。
はい。
その社労士の方は、エビデンスとして刑法48条の併合罪を引用しておりましたが、いまいち意味がわかりませんでした。
はい。
今まで起訴された、その起訴1件当たり1回の刑が課されるのだと思っていたのですが、罰則というのは1人当たりで計算することになるのでしょうか。
勉強で申し訳ないのですが、教えていただければ幸いです。
はい。
ということですね。
追伸でですね、中国でも労働法の罰則があると思いますが、日本より厳しいのでしょうか。時間があったらご教示くださいというコメントも添えられております。
ありがとうございます。
さあ、そもそも併合罪って何ですかっていうのもあるんですが。
併合罪は簡単に言うと、これ前提、何でこれが盛り上がっているかというと、結構よく聞かれまして。
要は今年の4月から有給休暇を1年間で5日必ず取らせないといけないと。
取得義務。
フルタイムで働く人については特に10日以上毎年発生しているので、5日は取得させてくださいと。
こういう法律が施行されることになってですね。
そうすると従業員1人でも1万人でも1人当たり5日は取らせないといけないので、なかなか大変。守れなかったらどうしようと。
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こういう質問をいただくと。
そこで刑罰って何ですかとなると、罰金30万以下ということなんで、1回1人違反したら30万、30人いたら900万ですかと。
じゃあ有給取らせた方がいいですねと。
こんなロジックになるわけですね。
ロジックでブログかな。
ブログですかね。
シャロシの先生がいらっしゃるんでしょうね。
はい。
これについてちょっと申し上げると、理屈上はこのブログを書いている先生の言っていることは正しいです。
併合罪っていうのは、簡単に言うと複数以上犯罪を犯した場合の刑罰の計算の仕方の1種類で、
併合罪、併合罪何ていうのかな。僕はもう忘れちゃったんですけど。
併合罪加重っていうのかな。
要するに刑罰を計算する際の1つの計算方式ですね。
併合というのは合わせるって意味じゃないですか。
いちいち毎回毎回裁判をやるんじゃなくて、複数悪いことをしたらそれを合わせて一度で裁くっていう。
その際に併合罪という言葉があります。
併合罪というのは、複数悪いことをした時に使う言葉です。
例えばですね、こういう考え方もあるんです。
同じ会社の有給休暇を取れないルール違反だから、1つでいいんじゃないのと。
同じ会社の出来事だから、従業員30人だから30×30っておかしいんじゃないのと。
社長の犯した罪としては1つでいいんじゃないですか。
こういう考えもあるんですけど、この場合はやはりですね。
従業員一人一人有給を取らせなかったっていう、こういう出来事自体は独立してるんで。
ですから一個一個犯罪が成立するってのはほぼ間違いない。
法律が守るべき利益っていう法益って言うんですけど、従業員の休息を取れる、健康を守ることが法益だから、
一人一人に犯罪が成立すると思っていただいて結構かと思います。
そうすると30万以下の罰金であれば、30人違反した場合は900万以下の罰金になり得るってのは、それはその通り。
理論上はね。
で、そこで刑罰の仕組みを申し上げると、例えば交通違反だと、おまわりさんにちょっと呼び止められて、切符切られますよね。
切られますね。
で、これを銀行に行って納めてください。
はいはい。
点数1点、今どのくらいですかね。1点だと6千円くらい。
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6千円くらいですね。
これが罰金って勘違いしてるじゃないですか。
いやいや、そう思ってますね。
反則金なんですよ。反則金。
罰金じゃない?
罰金じゃないのよ。罰金的な、あなたは法律違反しましたと。で、このお金を納めれば正式な裁判はやらなくていいですよっていう。
そういう司法取引みたいな感じなんですね。
なので普通の人は納めて、で終わりですよね。
いわゆるいちいち裁判なんかやってらんないから、そういう仕組みを開発したんですね。
罰則金なんですね。
あれはね、反則金。
反則金なんですね。
で、罰金は誰が決めるかというと裁判官しか決められないんですよ。
ほうほうほう。
いちいち裁判やらないといけないんですよ。
そうするとどうなるかって言ったらパンクしますよね。
裁判所が。
パンクするでしょ。
で何をしたかっていうと、一定以下の罰金権については、略式裁判って仕組みを開発したんですよ。
要は正式な裁判開かないと。
罰金を納めれば終わりと。
これ略式裁判って言うんです。
これ刑罰で前価も残るんですけど、でも法廷も開かないんですね。
罪を認めて私は正式な裁判受けませんっていう文書にサインすれば、で罰金を納めれば終わりなんですよ。
ほう、前価ついてお金払って終了って形になるんですか。
それが100万以下なんですね。
で電通事件って問題になってるじゃないですか。
法人としての電通が正式裁判開いて、あれがね罰金刑50万だったんじゃないかな。
50万の判決だったと思います。
だから900万なんてのはあり得ないですね。はっきり言うと。
略式裁判もできないし、で重さで言ったら900万なんてものすごい重い犯罪だから。
まず900万ってのはあり得ないし略式裁判の制限100万以下ですからあり得ないですね。
あるとすれば30万とかね全部合わせて10万とか相当減額するはずなんですよ。
それがまずもう一つね。
あともう一つそれは日本の労働基準監督行政の仕組みにあります。
何かっていうと人が圧倒的に足りないです。
どちら側?
監督省。監督官って逮捕もできるし捜索差し抑えもできるし警察官と同じような権限持ってるんですね。
だけどできないんです。何でかと人が圧倒的に足りないです。
人不足。
人不足。あとは自分でそこまでできるんだけど刑罰課すのは誰かって言ったら
警察官が正式裁判するかどうかをまず起訴するかどうか決めます。
あと裁判官が最後決めますっていう司法分野にお任せしないといけないんですね。
09:05
あくまでも行政官なんです。労働基準監督省って。
立法行政司法って3つに分かれてますよね。国家権力は。
行政官なんでこの監督官が判決書いたり罰金払えって言えないんですよ。
何ができるかと書類送検ができるんです。
検察に対して。この監督官は。
でその書類送検がめちゃめちゃ面倒くさいらしいんですよ。
倫理書作って証拠揃えて、労働局の中でも決裁もらって
分厚い書類作って、で検察官にも相談して送検するはずなんですね。
書類送検って言ったら何かうわっもう散々犯したみたいなイメージありますもんね。
送検も相当選んで選んで厳選したものしかやってないよね。
例えばクイズ出しますと、送検よく聞きますよね。
株式会社が労働基準法違反で送検されました。
これ東京労働局で毎年何件くらいあると思います。
書類送検する。労働基準法違反で。
労働基準法違反で。
給料払わないとかブラック企業いっぱいありますよね。
東京で。
東京で割増し賃金払わないとか。
東京に事業所全体で350万日本にあって、東京どれくらいあるか。
東京もしかして100万くらいあるんですね。
100万あるとして、そのうちの。
どれくらいだと思います?何十万ありますね、最低でも。
1件。
1件ってわけないじゃん。
100件。
あー。
全然わからない。そんなにでもあるもんですから。送検ですよ。
送検。
労働基準監督違反での送検。監督署がキレておいパーってやるわけですよね。
いやーでも一旦って30件少なすぎ?
正解です。
だいたい毎年30から40。少ないと24、25。この10年間で。
24が一番少なくて、一番多いのが41かな。
だけど、この中には給料全く払わないで逃げちゃったとか。
こういうのがほとんど3分の1ぐらいそれなんですよ。
割増賃に払わないって残業で払わないってのは、年間2件とか4件とか3件くらいなんですよ。
でも払ってない会社いっぱいあるじゃないですか。
そうですね。
でも東京でさえ4件とか2件なんですよ。
何が言いたいかと言うと、もう厳選に厳選を重ねた相当悪質な事案以外は送検はやらないんですよ。
死んじゃうから感動感が過労で。
なるほど。
そんな時間ないんですよ。限界があるんです、マンパワーに。
だから何が言いたいかというと、現実に900万なんて事例はまず99.99%ありえなくて。
12:02
仕組み上無理ってことですね。
あるとすれば誰か過労で人が死んじゃって、それとセットで有給休暇も取得させてないって言って送検される。
これはあり得ます。これは十分あり得ますけども。
いやあなたの会社いつか取れてないから900万払えなっていうのは、これは99.9%ないし、書類送検されても起訴言うよっていうのはある。
起訴しない。
例えば僕は弁護人だったらこう言いますね。
過去は変えられないと申し訳ないと。
だけど今年は全員取れるようにしますと。
やると起訴言うようになる可能性高いですよ。
起訴言うようになるとどうなるんですか?
善果つかない。終わり。
認められれば。
そう。
警察官って忙しいから警察官も刑罰いちいち課すのが妥当かっていうのは疑問に思ってる人多いわけですよ。
それは民法の方で処理しといてっていう感じなんですか?
民事で企業努力をして、これから5日に近く全員取れるように努力してればいいんじゃねえの?ということが多いんですよ。
起訴言うようが多いのよ。
送検はするけど。
だから僕はちょっと結論に近づくんですけど、そうやって経営者の人を脅かすのはあんまり良くない。
僕は好きじゃない。
じゃなくて僕が今言ってるのは、これは経営者への宿題だと政府の言ってるんですよ。
例えば普通のデスクワークって年間労働日が220とか230くらいなんですね。
祝日多いから日本は。
そうすると5日ってパーセンテージで言うと何パーセントですか?2パー?
5ある。220何パーですか?
2パーか2.5なんですよ。大体。
2パーから2.5生産性を上げてくださいと。
それ宿題だと思うんですよ。
そういう会社になってくださいと。
その宿題をできるのかできないのか。
これ試されてるから。
生き残れるのかとその状態で。
だから2パーセント2.5パーセント改善してくださいねっていう宿題。
できない場合は大丈夫ですかと。
今のやり方で本当にやってきますかって。
我が日本政府は認めませんよと。
厳しいけどそういう宿題だと思うんですよ。
従業員もそう見てるはず。
絶対いつか休みたいって思ってんじゃなくて
休めるような経営をしてほしいっていうのが
潜在意識にあるんじゃないかなと思ってるんですよね。
そういうと反発する経営者の人もいると思うけど
僕働いてる人にこれ言ったら
15:00
まあそうだよねと。
そりゃそうだよねっていう人多いんじゃないかと思いますよ。
年5日の有休休暇ぐらい取らせてよって思っちゃいますよねきっとね。
そのぐらいの
しかも大企業当たり前に取って現実がありますしね。
有休休暇ランキングって今あるの知ってます?
知らないですね。
ランキングあるのよ。
取得ランキング出るんですか?
取得ランキングは上場企業。
公表されるの?
公表されるの。
100%に近いベスト10
一番多い業界どこだと思います?
一番多いの。
ベスト10、ベスト20か。
業界一番多いとこ?
多い。もうなんとか業界っていうのが圧倒的に多いのよ。
金融?
ブー。
多そうでしょ?
違うんです。
違うんだ。
でもナレッジワーカーっぽいですけどね。
違うんだ。
嘘?
メーカー?
メーカー。
何でしょう?
メーカーの中で?
業界。
これが如実に物語ってますよね。
自動車ですよ。
じゃあ、そういうことね。
なんでか。
メーカーの中でも。
なんでですか?
ものすごいあれじゃないですか。
業務が細分化されて。
違う。
儲かってんのよ。
そこ?
中国いるとだって唯一儲かってる産業日本で日経が唯一優位に立ってるのは自動車しかないもん。
自動車だけよ。利益取れんの。
儲かってるから休めんのよ。
まあこれは反発する方もいらっしゃるかもしれないけど。
いや、シンプルな理屈だとしてきますね。確かに。
いや、全然ね。マイナーな部品メーカー。
いや、有名ですよ。超有料企業ばっかだけど。
そんなに有名じゃない。
認知されてない。
認知ね。B2Cには。
C向けには。
Cには。なんだけど、もうそれは財務諸法とか、PRBSみたいなピカピカの会社ばっかですよ。
だからもう、就活生が目安にする意味はわからなくはないよね。
はあ。
だって休めるってやっぱり生産性高い。生産性高いってやっぱり利益出てるってことだから。
休暇取得率自体が儲かってるか儲かってないかを表せるといっても。
限らないですよ。
一つの指標として。
イコールじゃないけど、ニアリーイコールに。
相関は確かにありそうですね。
だから、なるほどなって思いましたよ。生産性、非常に影響あるなと。
なので、経営者に対する宿題なんですよ。
これできないと、とっても厳しい言い方だけど脱落、これからしていく。
淘汰されていくと。
発想を変えないと、経営者の人も。そんなね、日本みたいな資源のない国が、休んでどうするんだと。
それはおっしゃる通りなんだけど、政府はそれを通り越して、休んでも成り立つ、そういう会社にしてくださいと。
18:10
2、3%の生産性を効率化することで生き残る会社をやってくださいと。
できてる会社も結構、だけどできてない場合は早急に上げてくださいと。
そういうことですね。
確かにね、この時代考えるとそうならない。今度は人取れないとかいうのも繋がってきて、結果的に回らないみたいな。
そうなんです。どんどん悪循環ごてに回っちゃうから、変わらないといけないんですよね。
偉そうに言ってるんですけど、ホール事務所業界がブラックだからね。僕も直そうと思って頑張ってるんですよ。
おっしゃってましたよね。今日の会は神会じゃないですか。
神会。
神会じゃないですか。
神会かな。
久々に弁護士迎えらん戻ってきました。
ちょっと熱くなってすみません。
すごい会でしたね。このタイミングで放送いいですね。
いいご質問いただいたので。
ちょうどタイミングいいですね。
素晴らしい会でした。ぜひ経営者の方、特にシャロー市の先生とかも今のお話聞かせていただいて。
あんまり言いすぎると怒っちゃう方もいるから、相手の方見て場合によっては使っていただいていいんじゃないかなと思います。
一つの観点としてぜひ聞かせていただきたいですね。本当に素晴らしい会でした。本日はありがとうございました。
ありがとうございました。
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