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スピーカー 1
技術も日本向きと信頼に足る人たちであって、先進的な工場を運用しているということで、
提携先として松下幸之助さんが選定をするというのが決まりました。
その翌年から実際に提携交渉をしていくことになるんですけども、
両社の幹部が日本とオランダを行ったり来たりしながら、トップ同士が応援してますのでどんどん進んでいきます。
その進んで、提携の条件という話になってくるんですけども、
ジョイントベンチャーで新しい会社を立ち上げることになるわけです。
そこがまず確定していて、新会社っていうのは、
まずフィリップス社にイニシャルペイメントで当時の金額2億円を支払う。
技術提供をするので、最初に新しく立ち上げた会社がフィリップス社に2億円技術料みたいなのを払ってくださいと。
当時昭和27年の2億円っていうのが、今だと数百億円にするとする。
スピーカー 2
わーすごいな。
スピーカー 1
もののデータによると1000億相当っていう場合もあるんですけど、数百億という感じです。
かつですね、新会社の資本の30%の資本はフィリップス社が出資します。
ただその出資金というのは、最初のイニシャルペイメントで払った2億円を当てます。
要はフィリップス社っていうのは新会社に出資しなくて、30%の資本をタダでくれって感じです。
スピーカー 2
そういうことか。
スピーカー 1
その仮に技術提供はするけどっていう感じです。
スピーカー 2
なるほどなるほど。
スピーカー 1
ここまで会社を立ち上げる時のイメージなんですけども、その後その新会社っていうのはフィリップス社に7%のロイヤリティを支払い続けることというのが条件だったんですね。
その条件を聞いた松下幸之助さんはですね、フィリップス社の研究所には3000人のスタッフがいて、最新鋭の研究をして施設も充実していると。
あれだけの研究所を作る費用とか時間、人を育てるってことを考えると、2億円で彼らを雇うっていうのは合理的であろうということで、
イニシャルペイメントの2億円、それから30%の株式っていうのは合意をすると。
ただロイヤリティ7%払い続けるのは高いっていう感じですね。
ここからがですね、なんでそうなるのかわかんないんです。
松下幸之助さんのロジックがつきます。
技術指導を行うのに高い指導料を取るわけですね、7%。
そこはわかるけれども、指導を受ける側の能力っていうのもあるでしょう。
その指導の教育を受けて企業活動の成果を上げていくために経営をしなきゃいけない。
その経営をうまくしていくっていう経営指導料っていうのもあるよね。
松下電機っていうのは経営めっちゃうまいよと。
松下がフィリップス社に経営指導をしてあげます。
だから技術指導料は4.5%払うけど、
オタクからうちに経営指導料を3%払ってくるっていうむちゃくちゃロジックを持ち出してます。
その信頼者で松下電機の販売も使って経営方針も入れると。
でも技術はフィリップス社です。
経営とかそういうところは松下で持つわけだから、
その分のお金を逆にオタク払うのもいいでしょと。
それぐらい成功するよと。
それを聞いて高橋新太郎さんは、
なるほどと、さすがトップって思ったんですけど、
私はこれ聞いて全然ピンとこなかったんですよ。
ただピンとこなかったのはフィリップス社も同様で、
そんな経営指導料なんか今まで払ったこともない。
聞いたこともないということで、当然ガンとして聞き入れずという状況です。
素人が聞いても、なんかなーっていう感じの状況で、
あとよろしくっていうふうに任されたのが高橋新太郎さん。
スピーカー 2
いいですね。いいですよ。
スピーカー 1
高橋新太郎さん、オランダにとって、
フィリップス側から見たら戦争に負けた4党。
生意気なことは言うなお前らと。
ここまで真摯的にやってきたのにっていうのがあるだろう。
それを高橋新太郎さんも思っているんですけども、
彼らに言ったのはフィリップス社の高度な技術っていうのは認めてます。
ほんと素晴らしい。
だから高額なイニチュアルペイント2億円を払います。
それを払うことで解決していると。
だからそれを払ったらもうあと対等です。
我々松下電機っていうのは大きな販売力と経営力を持っている。
だから技術力のロイヤリティと松下の経営力の経営指導力っていうのは
対等に評価して当たり前でしょっていう。
さっきの松下晃介さんの主張ですね。これ繰り返す。
納得しなかったとすることも考えて、
もし7%でも5%のロイヤリティを決めて、
将来技術的な起因でトラブルが起きたら
この7%とかっていう数字も下げてもいいよっていうふうに
契約書にちゃんと書いてくる。そんな交渉もする。
でもそれを契約書に書かなくても、
私が技術責任者で私が約束するから大丈夫だろうって言われても、
あんたはいつまでもやんないでしょ。ちゃんと書いて残さないと困ります。
ハードなネゴをして、最終的に契約書には入らなかったんですけども、
合わせてメモランダムとか覚書としては、
なんかトラブルがあったときには技術指導料を
スピーカー 2
競技の上下げることも多いっていうふうに書いてくると。
スピーカー 1
そんな行ったり来たりの交渉を3週間続けて、
最終的には松下晃介が言った通りに、
技術援助料4.5%払うけど、
経営指導料3%もらう。
スピーカー 2
そこで落着したって書いてありました。
要は1.5%までロイヤリティを下げれたってことですよね。
スピーカー 1
おっしゃる通りです。7%を1.5%下げたってことですね。
これずっと続く両立のはずですね。
ちょっとなんかもう、そりゃ恐ろしい交渉をやってきたんだろうなって感じですね。
スピーカー 2
すごいでも面白いな。ただロイヤリティが高すぎる、下げてくれって言ったら、
もしかしたら下がったかもしれないんですけど、
ある意味ロジックがずれて戻ってきたみたいな感じになってるから、
1%台にならなかったですよね。
スピーカー 1
いやもう全然なかったですよね。7から5%になって終わり。
スピーカー 2
そうそうそうですよね。
スピーカー 1
そんなもんだと思いますね。
でも結果ですね、この昭和27年10月に調印して、
松下電子工業っていうジョイ弁の会社ができて、
その会社はですね、その後フィリップス社の提携会社の中でも
ナンバーワンの企業になって、結果ちゃんと出すっていうのがまたかっこいいですよね。
こんなこと言ってますね。
いかに優れた技術を持っていても、それを十二分に生かす経営力がなければ、
真の力を発揮しえない。それが海外メーカーとの合弁会社であっても、
経営基本方針がいかに大切であるということを私は痛感している。
また経営基本方針大事だよっていうのが。
スピーカー 2
出ましたね。バイブルですね、もう。
スピーカー 1
いやもうほんとそうなんですよ。
この会社を作ったのが昭和27年。
スピーカー 1
ここで経営基本方針を胸に掲げてですね、
もう海外の会社とも非常にハードなネゴシエーションをしてきた高橋新太郎さん。
その前にはGHQともハードなネゴシエーションをずっと続けてきたわけですけれども、
このネゴシエーターとしてもしっかりと成果を出す高橋新太郎さんなんですけれども、
ひょっとしたら一番ハードな交渉の相手の一つだったのは、
労働組合もあったんですね。
松下電気産業にも労働組合があります。
労働組合が設立されたのはですね、昭和21年。
敗戦の翌年だったんですね。
昭和21年は日本中で労働組合が生まれた年でもあるんですけれども、
財閥指定を受けたり踏んだり蹴ったりのときに労働組合ができて、
労働組合は当然労働者の権利を守るために正当な組織だったんですけども、
そのときにはですね、会社というよりもいろんな社会活動家ではないんですけども、
日本にいろんな方たちがいてですね、いろんなことを吹き込む方たちもいらっしゃったようです。
ですので、今考える労働組合よりもですね、
もうちょっとハードな方たちっていう印象もあったみたいなんですけども、
そういった方たちとの交渉もあった。
松下電気産業の労働組合がどうだったかっていうのは、
そんなにハードじゃないような感じで、
親子的な組織だったっていうのはわかるんですけども、
そこでも交渉をしてきました。
その労働組合の役員さん、高橋新太郎さんもとにかくタフで、
絶対に信念を曲げなくて、
徹夜の交渉でもニコニコとして、
悟すように話をすると。
そういう方だったみたいですね。
粘り強いっていうのが高橋さんの心情で、
しかも精神誠意が働いていたと。
なんかですね、話が詰まると、
ナショナルタイヤの会社があってねっていう、
経営基本方針があってこんなことができたんだって、
モータル事業部っていうのがこんな不採算でこうやったんだよっていう話をですね、
もう何回も何回も聞かされるみたいな。
そんな交渉をされていたと。
その労働組合の役員がですね、ある交渉のときにですね、
高橋新太郎さんと交渉してもなかなか前に進まないということで、
トップに直談判をしに行ったことがあったそうです。
そのときたまたま松下幸之助さんは、
体調を崩してですね、一時入院をされていて、
入院してるんですけども話はできるぐらいの元気さがったみたいなんですけども、
そのときの、私は高橋さんから相談を受けているが、
これ労働組合の話ですので、私は高橋さんから相談を受けているが、
組合との交渉は全面的に任せておるんよ。
高橋さんくらい会社のことを考え、従業員のことを考え、
組合のことを考えてる人はおらんで、
あの人は絶対にてれんてくだやらん。
おさころしたりっていうのはしない。
そこでこの番組のタイトルになってるところに行くんですね。
あの人は神様よ。
私はいつも高橋さんの後ろ姿を拝んでる。
高橋さんがおるから会社の中がうまくいっとるんよ。
あんな人絶対におらん。ほんと神様やで。
っていうのを冗談っぽく言うんじゃなくてですね、
ガチの大真面目な顔で言ったそう。
当然この頃は、
終戦後の大変な報酬をして、
松下幸之介っていう、
個人の家も救った、会社も救った、
その値子をやってくれた高橋さんという存在があったんだと思うんですけども、
それ以上に本当に、
支離私欲じゃなくて会社のためにみんなのことをひたすら考えてる。
前回話しましたけど、
給料の半分は部下が補償するのでなくなっちゃってたんじゃないかっていうふうに、
部下が心配するぐらい、
スピーカー 1
次はお前だって言われてですね、
第2代の松下電機の会長高橋新太郎さんが、
4年間だけ勤められます。
この時にですね、高橋新太郎さんは一時的にお預かりしますという感じですね。
俺が次のトップじゃなくて。
そうなんですね。
創業者がおっしゃるのであれば一時的にお預かりしますが、
松下雅晴さんという娘婿さんですね、
松下ファミリーの方が今社長をやっていて会長になるにはちょっと早いでしょうから、
それまでのリリーフで私ちょっとだけやりますと。
スピーカー 2
繋ぎますと。かっこいいなあこれも。
スピーカー 1
かっこいいですよね。
その後は松下雅晴さんにバトンを受け渡してですね、会長の。
はあ。
という感じで、本当最後までNo.2でトップへの思いっていうのを捨てずにですね、
結果高橋新太郎さん100歳まで2003年までですね、長生きをされます。
スピーカー 2
いやーちょっと今までもいろんなNo.2という視点からいろんな方を振り返ってきましたけど、
今までとも違うしさっきソニーとの違いもありますけれども、
なんか個人的な感想ですけど、僕は一番好きかもしれないですね、今までのNo.2の人の中で。
スピーカー 1
いいですよね、高橋新太郎さんね。
スピーカー 2
今のところは僕はなんかすごく学びと共感があるなとは個人的には思ってしまいましたね。
まあこういうバリエーションがあるっていうのがそもそも魅力なんですけれども、
完全にもうバックボイズの天才というか、というところもあるし、
でも全ての二番系論に言えることではあるんですけど、
スピーカー 1
2人両方いなかったら絶対今の松下じゃないだろうなっていう気はすると、
スピーカー 2
すごいシリーズになったかなと思いますね。
スピーカー 1
この二番系の第1話か2話で、No.2ってどういうものかみたいな話を申し上げたことがあって、
No.2っていうのはトップの次のトップじゃなくて、
No.1あってのNo.2なんですみたいなお話をさせ上げたことがあるんですけど、
まさに高橋新太郎さんそうなんですね。
松下幸之介さんがいるから、松下電機の高橋新太郎があり、
それを陰で支えるという感じで、会長までやられて、
いわば松下電機の事実上のトップを司るようなことをやられていて、
ご自身の書籍も3冊ぐらい出されている。
3冊出してるんですけど、書いてあることは、
松下幸之介さんの言う通りだってことが永遠と書いてある3冊なんですよ。
スピーカー 2
いや、究極のNo.2ですね。
スピーカー 1
もうなんかそこらへんもすごく徹底してる。
俺がこうだじゃないですよね。
言われるがままにやって私はなんとか生きてこれました。
40年間やってこれたのは、創業者の作った経営の基本方針を守ったからだけです。
私のような凡人ができたのはこれのおかげなんですってことが書いてある3冊のコンタクトです。
スピーカー 2
でもそうでいて、No.1の言葉を基本方針とか経営のところで使い、下に伝え、
でももちろん幸之介さんからは神様だと言われてるっていう。
おそらくそれについて言葉を残してないわけですよね。
たぶんそんなこと言われたってのは知ってるかもしれないけど、
それについて公にコメントしてないとこもかっこいいな。
日本的美学を非常に感じる。
スピーカー 1
そうなんですよ。この日本的美学というかなんかね、あるんですよね。
ひじかたとしぞうっぽいところもあるような企画をしていますし、
次回年末ということで以前予告した大石倉之介中心グラをやりますけれども、
そこの中にそのイズムがありやなしやということもありますし、
元を辿せばどこにっていうのは歴史に継承しない範囲ですね。
2番系視点でやっていくのも面白いかなとお期待いただければと思います。