00:04
人生の進路設計アドバイザー井上です。 納得できない選択で人生を進めたくない人のために、判断の軸を言葉にしています。
ご相談ケース、成果は出ている。でも、この役割を続けたいかと聞かれると答えに詰まる。 複数の実際の相談内容をもとに、30代、育休明けの女性を想定して再構成した仮想ケースです。
今の仕事で成果は出ていますし、周りからも特に問題はないと言われています。 やるべきこともわかっていますし、責任を放棄している感覚もありません。
ただ、以前と比べると仕事の手触りが少し変わった気がしています。 復職前は、自分で考えて決めたことが、そのまま仕事として進んでいく感覚がありました。
でも今は、誰かの判断を整理したり、通る形に整えたりする役割を担っているように感じます。 間違いなく仕事はしていますし、結果も出ています。
それでも、自分が考えた結果がどこにも残っていないような感覚がある。 これは、仕事内容が合っていないと考えるべきなのでしょうか。
それとも、復職後の環境変化として受け止めた方がいいのでしょうか。 仕事内容は変わっている。でもそれだけではない。
この方は36歳の女性で、第一子の育休から復職して10ヶ月が経ち、 IT系のSaaS企業でカスタマーサクセス職として働いています。
復職前は、顧客の課題整理、活用提案、契約更新の戦略設計など、 自分の判断が起点になり、その判断がそのまま仕事として進んでいく役割を担っていました。
一方、復職後、職種名は同じでも実際に増えていたのは、 問い合わせ対応の最終チェック若手メンバーのレビュー社内調整用の資料作成トラブル時のクッション役、
といった業務でした。本人の言葉を借りると、間違いなく仕事はしている感覚はある、 結果も出ている、でも自分が考えた結果がどこにも残っていない感じがする、
という状態でした。問題は向いている、向いていないではない。 この相談に対して、今の仕事はあっていないですね、ともそのままで大丈夫ですよとも簡単には言えません。
ここで整理したいのは、仕事内容が変わったかどうかではありません。 仕事の中で自分の判断がどこで使われているのか、
その判断の位置がどう変わったのか、という点です。 判断の起点から判断を補強する側へ、
復職前、この方の判断は自分が起点になり、自分が決め、 その判断がそのまま仕事として進む、
03:04
という位置にありました。けれど復職後は、誰かの判断を通すために整える、 判断が通るように補強する、衝突を和らげる、
といった形で判断そのものよりも判断を支える側に回っていきました。 どちらも重要な仕事です。価値が低いわけではありません。
ただ仕事を終えた後に自分の中に残る感覚は全く違うものになります。 違和感の正体はやりがいではない。
この方が感じていたのは、やりがいがない、仕事がつまらない、 といった単純な不満ではありませんでした。
もっと近いのは、私は何を基準に判断する人としてここにいるのか、 私の判断はどこに使われているのか、
という役割感覚のずれです。 この方は仕事について考えていないわけではありません。
むしろかなり工夫を重ねていますし、成果も出しています。 求められている役割を理解し、周囲の判断が円滑に進むよう整え、
結果として仕事はきちんと前に進んでいる。 ただこの方にとって引っかかっていたのは、自分の判断が仕事としてどこにも残っていかない感覚でした。
判断そのものはしている、考えてもいる、 けれどその判断が起点になって仕事が動くわけではない。
この状態が続くと、私はこの仕事に向いていないのかもしれない、 という問いに返還されやすくなります。
それは仕事をしていないからでも、能力が足りないからでもありません。 この方にとっては自分の判断がどこで使われ、
どう残っていくかが仕事の納得感と強く結びついていた。 その前提が満たされなくなったことで、
違和感が向いていないのではという問いに姿を変えて現れていた、という構造です。 先に確認すべきこと、このケースで最初にやるべきことは、
この仕事があっているかを決めることではありません。 まず確認したいのは、自分の判断はどこで使われているのか復職前、
どんな条件の時にしっくりきていたのか、どんな形で判断が周囲に影響した時、 納得感があったのか、
という点です。それを整理しないまま、職種名、仕事内容の表面、求人条件だけで仕事を選び直すと、 同じズレが形を変えて繰り返されやすくなります。
この相談の本質、この相談は今の仕事、あっていないでしょうか、という問いの形をしています。 けれど本質は今の仕事の中で、私はどんな位置で判断を扱われているのか、
という違和感でした。そこを見ないまま答えを出すと、選択だけが先に進み、 違和感は置き去りになります。
06:01
まとめとして、今回のケースで見えてきたのは、 仕事の違和感が必ずしも仕事内容そのものから生まれているわけではない、という点です。
考えていないわけではない、工夫もしている、 成果も出ている、それでも違和感が残る時、その正体は自分の判断が仕事のどこで使われ、
どう扱われているのか、という位置のずれにあることがあります。 向いているか、向いていないか、仕事を変えるべきか、続けるべきか、
そうした判断に進む前に、まず一度立ち止まって、 今の仕事の中で自分の判断はどこに置かれているのか、
どこまで影響を持っているのか、そこを言葉として確認してみる。 この記事はその視点を整理するための一つの記録です。