新たな興味
だから、無から言うみたいな、無あるいは0.1から、1から2をするとか0から1をするじゃなくて、0.1から1をするっていうようなことに、僕は今興味があるんです。
大人とは、幸せとは、人間とは。人生のあれこれが聞けば聞くほどますますわからなくなる。
深くないようで深い、いい加減なようで意外と真面目なトークセッション。声の大人エレベーター黒ラジオ。
放送作家の鈴木おさむと、ほぼ日の糸井重里がお送りします。
さあ糸井さん、声編もよろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
今70代で、この先の考えてることってあるんですか?
ありますよ。
やりたいことは?
僕は今脱出したい場所があって、それは脳の中の東京から出たいんですよ。つまり壺単価いくらですか、東京。
一人の人間が一壺買うこともできないぐらいに高くなってる場所に、なんで頭の中を合わせてなきゃいけないか。
だからちょっとでもスペースがあったら、ここを商売に利用したら売れるんですとか、貸したらいくらになるんですみたいな。
この狭さを頭の中に叩き込んじゃってるなと思って、そこを抜け出すにはどうしたらいいか。
ディズニーランドを作った時って、例えば砂漠ですよね。
次のディズニーワールドも沼地の湿地帯のほとんどただの場所ですよね。
あれがあったからディズニーランドができたわけで、どうしていいかわからない場所にどうしたい人が乗っかっただけですよね。
みたいなことが日本って今なさすぎるなと思って。
インターネットの広さ
昔はインターネットが開拓地だったんですよ。
もう広いよ、なんでもやってごらん。
でも今は人は5秒しか見ないんですよとか言われるじゃないですか。
そんなところで文字書くつもりが失われちゃいますよね。
それよりも何すればいいんだろうって思ってみたくないっていうか。
インターネットを前にした時に、何すればいいんだろう、なんでもできるんだっていうのと同じことが、
国際的なイメージも、もっとローカルなイメージも含めて、狭苦しさを一回直してやりたいっていう。
それを今思ってますけど、あんまりこれもまたどうするとうまくいくんですか、何もわかんないんですけどね。
少なくとも自分がこんなに年取ってまだ狭苦しいこと考えてるなっていうのが、みんなもそうだなと思って。
そこがこじ開けたい場所ですね。
やりたいのはないけど、始めたらみんながやりたくなってきたっていう方がやりたいと思うんですよ。
だから、無から言うみたいな、無あるいは0.1から、1から2をするとかゼロから1をするじゃなくて、0.1から1をするっていうようなことに、僕は今興味があるんです。
ゼロ1じゃなくてね。
誰もこれ価値ないよ0.1だからって思ってるものをどれどれって言ったら、
こうするとこうなるだろうって言って爪将棋みたいに、ロジックと感情との彫刻ができていくわけですよね。
不確定の要素も呼び込むような魅力のある物語っていうか、それを作るのは多分、放送作家がやってる仕事の中にとても近いと思う。
終わり方は考えてますか、人生の。
そこは明日かもしれないみたいなところもあるから、すごい若い人にそう言われたんですよ、僕。
この先の方がずっと長いんですねって言ったら、そう見えるかもしれませんけど、それは何が起こるかわからないからって。
すっごい人がそう言ったんで、え?って思って。
20代の人ですよね。
僕は違うんだと思いたかったんだけど、その意味で同じだなと思って。
ただ、何をしたから偉いっていう褒められ方で死ぬよりは、面白かったねっていう。
昔からよく言ってる、おつやが楽しい人になりたいっていうのが僕の望みなんです。
いいですね、それ。
どっかお寺でも借りて、お寺でもなんでもいいんですけど、一回俺家帰って仕事してまた来るわって言って、おつやで個人を忍んでバカ笑いをするっていう。
それが2日ぐらい続いてるみたいな。そういうのが一番幸せだろうなと思うんですけどね。
年取ったなっていうのは
僕も思うんですよね。よく本当に明日死ぬかもしれないって本当に思って生きてるんですけど、でもそれを言うと、いやいやまだまだとかって言うんですけど、本当にわかんないじゃないですか、人生なんて。
でも思ってて、僕の中での一個の興味が60代70代になると、自分が就活ってやつですか、そういうことを本当に考えるのかなと。
理想はあるかもしれないですけど、でもそういうこと考えるのかなとかって思ったりとか、でもやっぱり病気になって亡くなっていく人も増えていくじゃないですか。
そうなると、80とか90になるとどういう境地に達するのかわからないですけど、自分がこの先どういうことを感じていくのかなっていうのは楽しみなんですけどね。
50歳の時にはそれはまだ考えても無理なんで、まずは考えなくていいんじゃないでしょうかね。
僕の物差しでは、65までなんですよ人って。普通でいられるのが。60でもまだ大丈夫なんですよ。
よくできてるんですよ。企業の定年が60と65なんですよね。
確かに。
あれよくできてて、60歳になったら年寄りだって言うけど、案外大丈夫なんですよ。同じようなことできるんですよ。
5になると、本当に60になったなっていうことを実感できるわけ。
年取ったなっていうのは。そこで終わってもいいやぐらいに、多分できてるんですよね、設計図はね。
僕がだから、今回辞めて新しいことやるって思った時に、今51じゃないですか。10年頑張ったとしたら61と思ったんですよ。
で、これが55になって始めた時に65じゃないですか、10年後。
ちょっと65をイメージした時に、55だったら自分に勇気なかったと思うんですよ。
でも51だとしたら、10年経って61で、61でもしその仕事がうまくいったら、まだもう1チャレンジできるんじゃないかなって思ったんですよ。
やっぱ65歳ってのはありますよね。
ありますね。やりたいこととかやることがあれば、結構それに合わせて動けますから。
やっぱ全然違うんですか、65以上って。
違うと思います。僕は違いましたね。あれできるはずだったっていう無理が効かなくなってますから。
これ相性がないんですよ、やっぱりね。
意地でも頑張るって言ったって、それは無理だよっていう。
弱い人の気持ちとかは分かるようになるんで。
それはいいんですけど、65になった時には衰えてるっていうことを前提に組み立て直さないとダメですよね。
同い年の著名人誰ですか。
沢田賢治。
ジュリー。
多分井上洋水とかもそうじゃないかな。
Aちゃんは。
Aちゃんは1個下ですね。似たようなもんですね。
でもすごいですね、Aちゃんもジュリーもずっとかっこいいままでいようとして。
だからステージで言えばあのくらいのことはできるのが僕らの年でもあるとも言える。
同時に年は分かんないですけど、亡くなっちゃった人たちも随分いますしね。
だから生きててあんまり変なこと言ってないなぐらいのギリギリな年なんじゃないですかね。
だからさっき言った75っていうのは65からさらに10年ですから、そこは結構忙しく10年経っちゃうんですよね。
もう一つ、これも難しいですけど、幸せとはってことですけど、考えますか。
これね、やっぱり僕はおぼんち始めた頃に思ったんですよそのこと。
今でもはっきり覚えてるんですけど渋谷で三浦純と久しぶりに会おうかって言って、鍋かなんかで男二人で食べてるときに、
三浦さん幸せってなんだと思うって言ったら、三浦はもうほんとにむせるほど驚いて、
トジさんそういうの考えなくていいって言ったじゃないですか。
人の幸せに共感すること
それ困るって言ったんですよ。
そういうの考えなくたっていいんだよっていうので僕はいいと思ってやってきたのに、
トジさんがそう言われるって本当に困ったって言われて。
そうなんだけど、考えるんだよやっぱり。知りたくなるんだよ。
こうかなああかなって考えないのも手なんだけど、ちょっと考えてみたくなるんだよって言って、
本当に恨まれましたその日。
そっから先にあんまり考えてもいないんですけど、
人が幸せそうに見えるたびにいいなって思う。
だから向こうの景色として見てるものを脳内に貯めてるんじゃないですかね。
似てたら自分もいいんだろうなみたいな。
なんか分け合って食べてる中学生とか見てるだけでもいいじゃないですか。
あれは俺もできるわけだし。
いいなと思ったものは自分もそこでいいなと思った時に経験してるも同然なんですよね。
自分がっていうのをどんどん外していった方が幸せは増えますね。
っていうことをこの頃はよく思いますね。
その間USJで弾投げて商品がもらえるみたいなやつがあったんですよ。
で、僕の隣の列の男の子が20代の子が横に彼女がいて、パーンって投げたら一気に倒してたんですよ。
すごいって言った瞬間に肩だけあったんですよ。
で、僕一緒にいた友達と目を見合って、いいねって。
それを見ただけで幸せなんですよ。
それを見て幸せだなって思ったんですけど、その後今度僕が投げる番になって、
僕が投げ方下手でとんでもないところに行ったんですよ。
パーンって投げた時にうちの奥さんが下手くそって笑ってたんですけど、
たぶんその姿も誰かが見てたら。
同じだよ。
そうなんですよね。
同じなんですよね結局。
同じなんですよね。
本人たちが笑ってる光景って自分が人の幸せだと思うんだけど、
自分も実はそこって気づいてないけど、幸せなんだなっていう風に。
関係があったかいものは全部幸せですね。
敵味方でも瞬間あったりするわけだし、
だからスポーツやってる人同士が格闘技なんかだと、
終わった後に一番これを理解してるのは相手だってわかるそうです。
すごい人を繰り広げてて、
相手の嫌な関節操作とか散々やって、
終わった後よく抱き合うじゃないですか。
本気で抱き合いたいんですって。
なるほどね。
だから人から見たら戦ってる最中は何にもいい関係じゃないように見えるけど、
激しく強い関係を作ってるわけで、
俺はお前が一番よくわかるって思うんですって。
これはお前ならわかるよなって思う瞬間とかって、
一試合にどのくらいあるのって言ったら、
2、3回ですかねって。
もうわかるんですって。
あれはなって言いたいんですって。
いいですよね。
その2人しかわからないですもんね。
わからない。
でも自分も試合やってるタイプの人はそこを見てて、
あいつらはそこだっていうのはわかるわけで、
そういうのをわかる人間になりたいっていうのが僕一番望んでること。
だからほぼ日の学校みたいなのやってるのも、
それをわかる人を増やしたいんですよ。
共有できる人。
そうですね。
それはもう共有とかと関係ないんで。
幸せ感と関係の話っていうのはすごい密接ですね。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
いやーもう講座とかをやめる前にお話しさせてもらって本当に良かったです。
そうですか。
自分の中でも霧がかかってる部分はっきりして、
あと自分自身も理由がわかった気がします。
あと自分が井上さんこう思ってて欲しいなと思ったところが思っててくれたんで。
そうですか。
良かったです。
またゆっくりお話をお願いします。
僕もたっぷり面白がりましたんで。
まだ先のことで2人とも見えないところで会うかもしれないから。
そうですね。
それをまた楽しみにできる終わり方で良かったですね。
多分霧の先に行ったらまた絶対どっかに井上さん言いますよ。
湖に立っていました。
湖に立って。
ありがとうございました。
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