私はもう、お子様ランチを頼めない年齢になった。
でも思い返してみると、子どもの頃に情熱をもって「お子様ランチが食べたい!」と言った記憶はない。
気づいたら、目の前にあった。
あれは自分で選ぶものではなく、
「与えられるもの」だった。
ファミレスでコインがもらえて、外のガチャガチャが回せるから頼む、ということはあった。
でもそれは、お子様ランチそのものを欲していたわけではない。
だから今、頼めないとなった瞬間に、
猛烈に食べたくなる。
人は、失ってから気づく生き物らしい。
最近の「大人のお子様ランチ」は豪華すぎる。
艶々の肉汁ハンバーグ。
とろとろたまごのオムライス。
しっかり自立するプリン。
バジルをやたらとかける。
白いソースもやたらとかける。
自立するエビフライへの激しい忖度と多すぎるタルタルソース。
私たちが求めているのは、洋食のフルコースではない。
「大人のお子様ランチ」という言葉を聞くたびに、私は言いようのない違和感に襲われる。洋食屋が自信満々に差し出すそれは、陶器の皿に盛られ、エモいって言葉で全てを解決させる世の中の象徴のような気品を漂わせ、そして何より高すぎる。私たちが求めているのは、そんな「本気」ではないし、豪華で完成されたものじゃない。お子様という身分を生かしていつの間にか与えられていたお子様ランチとは違い、自分で選択しなければいけない『大人のお子様ランチ』がここまで豪華である必要はない。
大人に媚びていないこと。
格上げされていないこと。
「どうせ子どもだからこれでいいでしょ」という雑さの中にある、
妙な誠実さを受け入れる練習が必要。
私が焦がれているのは、プラスチックの仕切り皿という名のチープな宇宙だ。周りに描かれたキャラクターがデカすぎて皿のイラストを見る方がもはやメイン。そこに「旗」という立体の名の主権と、果汁飛び出してベタベタになるミニゼリーとニコニコポテトとコーン入りの短い麺べっちょりナポリタン、安そうで薄そうなハンバーグをもってしてお子様ランチというのは成立する。
1週間、私は貪るようにネットの画像を眺め続けた。
白い恋人パークの「お子様ランチなのにパセリをかけてしまう」という、隠しきれない人気高級ブランドの矜持。
デニーズの「ナポリタンのコーン」という、正解すぎる彩り。そして、何より私を熱狂させるのは「ニコニコポテト」の存在だ。
普通のポテトなら、他のメニューの付け合わせを流用できる。しかし、わざわざ「ニコニコ」を仕入れているということは、その店がお子様ランチに対して「これは特別な一皿だ」という敬意を払っている証拠なのだ。
品評会は深淵へ向かう。やよい軒のミッフィー皿に見る「タルタルソースのポテサラ擬態」。ほっともっとが資本なやよい軒。ほっともっとの弁当といえば個人的に『ポテサラ』と思っているので、だからこそ、タルタルソースすらポテサラの形にして出したいプライドがあるんだろうね。
どこかの魚センターの「舟盛りプレートの上にハンバーグが鎮座する」という、お子様ランチのプレート以外で、ちゃんと居酒屋でも流用できるいい土台を発見しましたね!!!!舟盛りの上にお子様ランチを乗っけるって!そうじゃんそうじゃん。車の皿の上と同じだよね。そして海鮮の店なのに肉類多くてありがとう。貝の皿に入った3つのミートボールが真珠のように輝く。
豊洲市場のお子様ランチは包丁の技術を見せたいのかなんと、ミニトマトが半分に切られていた。ちなみにお子様ランチはミニトマトであって欲しい。くし切りやめて〜とは言ったものの、ここまで求めてないよ。イチゴも半分。市場のプライドが見える。
さらに、ミニゼリーをわざわざひっくり返して出している。
各ファミレスへ、
ケチャップはかけて出せ!!!!
パウチのケチャップをドンと置かないで!
子どもはちぎれない。
親が結局やる。それだとお子様ランチの意味がない。親に手の自由を!
ふりかけは卵であれ!お子様だからと言って、安いプライベートブランドの卵じゃなくて!ちゃんと美味しいやつ。
鰹節は違う。
のりたま。
卵系。
あの黄色い粉。
そして、上だけにかけるな。
全面にかけろ。
ふりかけが白おにぎりに上だけしかかかってなかったトラウマは永遠刻み込まれているからね。
3,245円という「大人のお子様ランチ」の頂点、キッチン大宮。そこには「人参グラッセ」を「キャロットグラッセ」と呼ばせる、新たな世界。いいものは、なんでも英語で呼んでいこうね。一食1,000円以下のランチしか知らない私には到底届かない、黒いデミグラスソースの壁があった。黒さは高級。高級とは黒光り。
流石の三越伊勢丹の気品あふれる旗付き御膳はアワビとローストビーフだぞ。
『大人のお子様ランチ』って言ってるけどこれだともはやおばあさんランチじゃないか。
もっと柄で誤魔化そう。
余白たっぷり。
盛り付けは雑でいい。
立体アートは禁止。
陶器、出てくるな。
中でも私の胸を打ったのは、鹿児島の「ひよこテーブル」だ。ブロッコリーをただ添えるのではなく、半分に切り、その半分をさらに細かく分類させ、チキンライスの上にタンポポの綿毛のように散らす。そのあまりにも過剰な愛に、私は食べてもいないのに泣きそうになった。型抜きの星や音符に、『お子様ランチへの愛』が伝わるし、卵焼きの焼印、ハンバーグに刺さる側も素晴らしき。ナポリタンの上のタコさんウインナー!子供用のものにバジルをかけるなと怒っていた私だけど、この弁当においてはバジル見えてないよ。エビフライという主張激しい割にか弱くて自立できない存在を二つのしっかり系唐揚げが支えてるの、いい!ブルゾンちえみwithBみたいな感じ。女の特権は使えるうちに使っとけってことはお子様の年から知っておいた方がいいことだもんね〜。
けどね、これだけ食べたいと言っておいて本当はお子様ランチなんて絶対に頼まないので安心してください。普通に大人用のパスタか、唐揚げ定食食べます。大人になって子供の時のワクワクを振り返る必要はなくて子供の時の記憶はそのまま、丁寧に真空保存するのが正しいと色々学んできています。
ひよこテーブル
お子様ランチ|鹿児島で宅配、配達弁当ならひよこテーブル
【お子様ランチ】小さいお子様用のお弁当のリクエストが多いのでご用意いたしました。チキンライスを可愛く彩り、ハンバーグやエビ
hiyokotable.com
780円
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