アカウント乗っ取りの影響
どうも、コウブンです。
栃木県の片田舎にある蓮城院というお寺で福祉仏職をしております。
今日はお悩み相談会をお送りしたいと思います。
このお悩み相談会というのは、
ハスノハというお坊さんが答えるお悩み相談のウェブサイト、そういうものがありまして、
そちらに寄せられたお悩み相談を私、コウブンがお坊さんとして答える、といったものでございます。
はい、というわけで早速行きたいと思います。
20代の方、性別は書いておりません。
タイトル、心の置き方を教えてほしいです。本文をお読みいたします。
フェイスブックが不正ログインされたかもしれなくて、パスワードを変え削除申請をしていますが不安です。
すでに自分の情報が漏れているのが怖いです。
でも、もう自分で対処できることはないので落ち着きたいです。
どうすれば心穏やかになれるでしょうか。
はい、噛んじゃいました。
この方、現代ならではのトラブルですよね。
SNSにて自分のアカウントが誰かに不正にジャックされたってやつですよね。
時々芸能人なのかな、有名人、インフルエンサーとかに乗っ取られたみたいな話が聞きますよね。
私はそういう経験はないんですけど、やっぱり不安ですよね。
だって自分が大切に扱っていたものが勝手に誰かに荒らされる、もしくは悪用されるかもしれない。
そういうことを考えるととても嫌な気分になりますよね。
この方はもうすでに対策は練っているということですので、そちらに関してはお話しすることは特にないのかなと思います。
それよりも心の気をどんなふうに捉えればいいのかという部分、私なりに精一杯答えていきたいと思います。
とはいっても難しい問題ですよね。
ただ一つ言えるのは、この方、やれることはやったんだというのが前提ですから。
あとはもはやコントロールしようがないことですよね。
どうにもこうにもできないことしか残っていないということで、心配しているということを手放す方向に持っていくのがいいのかなと思いました。
とはいえ、そう簡単には手放せないというのが私たちですけど。
コントロールの難しさ
なので、考え方というものを仏教的な思想と言っていいのかな、ちょっとインストールしてもらうのがいいのかなと思いました。
どういうことかというと、そもそも思い通りになることってそんなにないんですよね、私たちの生活。
確かに普段の生活でアカウントがなくなるということはそう滅多にありませんから、その出来事自体に大きく動揺してしまうというのはわかるんですが、
でも普段の生活でも、人間関係でもリアルな人間関係でも、例えば友達に何かお話をしたとして、
その友達が別の人に相談者さんのことを言ったとします。それってもうコントロールできないんですよね。
もしかしたら悪口を言っているかもしれない。逆にもしかしたら褒めてくれているかもしれない。それはわかりませんが、いずれにせよコントロールできないんですよね。
世の中というのはそのようにしてコントロールできるというのはほとんどないんです。
自分の頭の中、思考、あとはちょっとした行動の部分、そこだけコントロールできるというのは。しかも100%じゃないですね。
わかりますよね。だって頭の中の思考だってその時の感情によって大きく変わります、同じ出来事でも。
同じことを言ってくれた友達でも、友達の表情であったり、声のトーンであったりでも受け止め方がだいぶ変わります。
そのようにして気持ちだってコントロールできない。行動だって朝一の元気な時は行動できても、
夜仕事なり学校なり終わった後同じ行動できるかといったらなかなか難しい。
そういった微細なところまで含めると、かなり私たちコントロールするというのは難しいんですよね。
そしてそのコントロールできないことが自分の理想とのギャップ、そこから苦しみというのが生まれると。
そんな風に仏教は説いております。
なのでそもそもコントロールすることって難しいよねっていうのがデフォルトなんだと思ってください。
これはインストールするという言い方がやっぱり一番しっくりくるから。
つまりこの世の中は苦しみが多い。思い通りにならないから思い通りにならないことだらけでそのギャップによって私たちは苦しむことが多いんだ。
ということを前提に。
って思っていればアカウントに乗っ取られた。それは大変辛いです。苦しいです。
でもその後の出来事、自分は精一杯やることをやった。
もうコントロールできないからそれ以上考えたって苦しみが生むばかりです。
何事もなければいいけど何かあった時にね。
ああやっぱりあの時はって。
もっと自分がセキュリティを高くしてればって考えてももうどうしようもない。
だからもうお任せをする。
そもそもこういうことってあるんだよな。人生だからこういうこともあるんだよなっていうふうに思うっていうのが一番最初に覚えておいていただきたいなということです。
それと私たちの日々の生活っていうのはいつも同じ状態じゃないっていうことも覚えておいてほしいなと思います。
これは仏教では諸行無常って言うんですけども。
要するに物が生まれたら必ず亡くなる。
生まれたら死ぬっていうのが自然の説理と同じように人の心も何かに熱中したらいつかは冷めるし、
勢いのある企業であっていつかは衰えて潰れてしまうかもしれない。
そのようにしていつまでもいつまでも同じ状態じゃないんですよ。
ということはあなたのアカウントを乗っ取られたとして、今は確かに不安がいっぱいです。
でもいつか時間が経ってくると自ずとだんだん落ち着いてきます。
つまり時間が解決するってやつですね。
これは理屈じゃないんです。
ずっと維持すること自体が私たちの人間の体の構造上難しいです。
ずっと不安、ずっと怒りを持つ、そういったのって非常にエネルギーを使うことですので、
現在に焦点を当てる
私たちの体って省エネになるようにできてますから。
だから時間が経つと忘れちゃいます。
ちょっとこれは無責任なアドバイスかなと思うんですけども、
少なくても今の不安がずっと続くよっていうことはないんです。
そうやって思っておけばいいんじゃないですかね。
つまり軽く考えてみる、軽く捉えてみるということですよね。
時間が経てば忘れでしょうって思う。
そういうふうに思い込んでいくっていうのもむしろ大事かもしれませんね。
そういったところですね。
そしてもしかしたらこれが一番大事かもしれませんが、
今目の前のことに集中する。
と言っても勉強とか仕事とか頑張れって言ってるんじゃなくて、
そうじゃなくて、私が言いたいのは過去のこと、あるいは未来のことということに視点を移さないということですね。
もちろん振り返ったり、あるいは未来はこうしたいという願うことは悪いことじゃないです。
でもですよ、そんなふうにいくら思っても、いくら過去を振り返っても、
それはもう二度と過去は変えることはできないし、
未来だって思い通り完璧にその通りに動かすこともできないし、
ある程度ざっくりでいいんです、そちらは。
それよりも今目の前、今私は何やってるんだというところになるべく注目してください。
そんな形で今ここに心を向き合うということでございます。
ちょっとまとめますと、この世の中は思い通りにならないことが多いから、
コントロールできないことだらけだから、そういったコントロールしようという思いからちょっと離れてみる。
2つ目が、この世の中は諸行無常、すべてのものは移ろい変わっていく。
だから自分の心だっていつか変わっていくんだというふうに思っておく。
3つ目、過去や未来に注目するんじゃなくて、今目の前に注目する。
過去や未来を見過ぎないということ。
この3つをちょっと心がけていただければいいのかなと思います。
簡単ではないのはわかります。従順承知はしておりますが、ただそのように努めることが大事ですね。
少しずつ少しずつ歩むこと。
そのようにして、ちょっとでも今の不安から遠ざかることを願っております。
ということで、連常院副住職の郷文でした。
ではではまたね。
