日曜日の午後の出来事
もう10年も前になるお話です。 日曜日の午後、4歳と2歳の子供たちと
手をつないで、近所のコンビニまで散歩がてら出かけました。 特別な用事があるわけではなく、ただ少し甘いものが欲しくなっただけでした。
平日とは違い、時計を気にすることのない時間がゆっくりと流れていました。 店内は比較的静かで、どこかのんびりとしていました。
お姉ちゃんは迷いなくカップのアイスクリームを手に取り、 弟はプリンの前でしばらく考えてから、それを選びました。
小さな選択だけれど、二人にとっては大切な自分で決める時間でした。 レジで店員さんが、「スプーンいりますか?」と聞いてくれた。
私は、いつも通りお願いしますと答えました。 何気ない、よくあるやりとり。
そこに特別な意味を感じることはありませんでした。 それでも店員さんはアイスとプリンそれぞれにスプーンを添えて、子供たちの前にそっと置いてくれました。
ほんの小さな気遣いでした。 コンビニを出て午後の柔らかな日差しの中を歩き始めたとき、子供たちが声を弾ませました。
あの人、スプーンもくれたよ。 優しいね。すごいね。
その言葉に思わず笑ってしまいました。 たった一本のスプーンがこんなにも大きな喜びになるなんて。大人の私はその優しさを受けることにすっかり慣れてしまっていました。
本当だね。良かったね。 そう言いながら、二人の顔を見ました。
日曜日の午後の空気の中で、その笑顔はとても穏やかでした。 大人になると親切は当たり前になり、感動は少しずつ小さくなっていきます。
でも子供たちは違いました。 誰かの思いやりをまっすぐに感じ取り、
まっすぐに言葉にする。 忙しい中では気づけない優しさが日常にはたくさんあります。
それを見つける力を子供たちはまだ失っていません。 そして私はその力をそばで何度も思い出させてもらっています。