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2021-03-11 12:59

【おはなし回】『旅するクジラ』

Kon
Kon
Host
『旅するクジラ』

出版:木楽社
原案:鈴木 渉
作:前野 博紀
絵:三好 貴子

***

がれきの山だけが残る町を見つけた花咲か爺さん。
そんな花咲か爺さんは山からがれきを取り出すや否や
何かをつくりはじめて…?

***

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00:05
みなさん、おはようございます。
こんのゆるラジチアプップへようこそ。
この放送は、子どもも大人もゆったり過ごせるよう、
絵本とともに、朝のほんのひと時をお届けします。
今日の絵本は、
【旅するクジラ】
出版、きらくしゃ
原案、鈴木渡さん
作、前野、ひろきさん
絵、三好、たかこさん、です。
それでは、お話ししていきますね。
【旅するクジラ】
愛の反対は、憎しみではなく、無関心です。
マザー・テレサ
2011年3月11日、東日本大震災が起きました。
マグニチュード9.0という未曾有の地震。
日本中が揺れました。
誰もがただごとではないと感じた瞬間でした。
そして、その数十分後、
とてつもない大きな津波が東日本を襲いました。
その津波のあまりにも大きな力は、
福島第一原発をも倒壊させました。
すべての安全、すべての常識が失われた時でした。
多くの命が失われ、多くの生活が失われ、
多くの未来が止まりました。
そして、1年以上の日々が流れ、
私たちは、この止まったままの未来をどう考えるのでしょうか。
旅するクジラの物語
ある水の惑星の小さな島国で、大きな地震が起きました。
そして、とても大きな津波が人々を襲いました。
人々は逃げ惑い、思い出の家や心に残る景色を一度に失い、
そして、多くの命も失われました。
それから1年、津波に襲われた海辺には、
大きな今までに見たことのない不思議な山ができていました。
そこにある日、花坂じいさんが現れました。
花坂じいさんがその不思議な山に近づいてあちこち見てみると、
それは津波によって流され壊され粉々になり、
再び海辺に戻ってきた家や生活の道具、
03:00
そして木々でできたがれきの山だったのです。
花坂じいさんはその山に登り、周りを見渡しました。
そこで見たのは、ただ何もない町の跡でした。
もう1年もたつのに、何を思ったか、
花坂じいさんはその山から降りると、がれきの中からひとつひとつ、
木々や鉄柱、うすなどを引きずり出し、何かを作り始めました。
コンコン、カンカン、トントン、ギュルギュル、キュッキュッ、
いろいろな道具を使う音が響きます。
すると、1人、2人と子どもたちが集まってきました。
何をしているの?
コンコン、カンカン、汚れちゃうよ。
トントン、ギュルギュル、クジラだ!
がれきはいつの間にか、大きな大きなクジラの形になっていました。
びっくりしている子どもたちに、花坂じいさんはさまざまな色の絵の具を渡して言いました。
このクジラに大切なものを描いてごらん。
みんなでクジラに色の花を咲かせよう。
海や山、お花やサッカーボール、ぬいぐるみに自動車。
子どもたちはカラフルな絵の具を使って、自分の大切なものをどんどん描きました。
すると、花坂じいさんはカラフルになったクジラに花をまき始めました。
みんな、この大きなクジラのように大きく生きよう。
おじいさんはこれからたくさんのクジラを作って、がれきの山が早くなくなるようにと、
みんなの気持ちを島中の人たちに伝えに行きます。
山の町ではクジラの美しさにみんなびっくり。
そして言いました。
がれきを力を合わせてみんなで片付けましょう。
そしてこの美しいクジラを町に飾らせてください。
花坂じいさんはまたがれきの山に戻りました。
そして今度はもっとたくさんのがれきを拾って、さらに大きなクジラを子どもたちと作り、
次は海の町に行きました。
海の町ではクジラを見た大人たちは心を打たれ、じっくりと話を聞いてくれました。
そして飾ったあとは大切に焼いてあげましょうと言ってくれました。
06:06
人の町ではクジラを見た大人たちの間でいろいろな噂がひとりあるきょうし、
しまいにはクジラをめぐってけんかが始まりました。
それを見た花坂じいさんは悲しくなってしまいました。
けれどもそのときおじいさんはふと、クジラを見たときの子どもたちの驚きと笑顔を思い出しました。
そして再び花をまき、がれきを華やかで豪華なクジラに変身させてみんなをびっくりさせました。
するとそこでも少しだけ子どもたちの思いに耳を傾ける人が増えました。
いにしえの町では大人たちはクジラを見ても見ぬふり、
花坂じいさんの言葉に耳を傾けてもくれず、
クジラを町の子どもたちにあわせてほしいとお願いしてもかないません。
しまいにはクジラには毒があるのではないかと心ない噂も広がる始末。
花坂じいさんは思わずこう言いました。
毒のないものに毒があるなんていうものではない。
もしも毒があるならそれをさわっている私もそこに住んでいる子どもたちもとうにやまいになっている。
噂で人を傷つけたり差別が起きるようなことをしてはなりません。
そして花坂じいさんはまた一つ悲しい思いを持ちながらも子どもたちの笑顔を思い、
今度はそのクジラを地球の形に変身させ桜をその地球に咲かせました。
いにしえの町では子どもたちには会えなかったけれどもみんなの心が一つになれるように
おじいさんは心から祈りました。
するとどこからともなく美しい音色とともにバイオリン弾きが現れたかと思うと、
日本の美しいいにしえの舞を踊るおじいさん、
力強く優しい音色のピアノ弾きの青年、
お姫様のように優雅にチェロを弾く女の人が次々と現れ、
その地球の周りで美しい音楽を奏で始めました。
その音色を聞いたいにしえの町の人々は静かに目をつぶってうなずいていました。
いにしえの町を後にした花坂じいさんは今度は中の町に行きました。
そこには子どもたちがたくさん集まっていました。
09:00
そしてあのがれきの町の子どもたちも遊びに来ていたのです。
子どもたちは花坂じいさんを見ると言いました。
おじいさん、これからクジラのお祭りが始まるよ。
この町の人たちは苦しい時や大変な時はお互い様だからがれきを一緒に片付けてくれると言ったんだ。
そして僕たちも一緒にクジラのお祭りをしようと呼ばれたんだ。
みんなおじいさんを待っていたんだよ。
僕らもこの町の子どもたちと一緒に大切なものの絵を描くからクジラを作ってよ。
花坂じいさんはとてもうれしくなって子どもたちの絵と花でいっぱいの
まるで3等分あろうかという大きなクジラを作りました。
こうしてがれきのクジラは多くの人に知られるようになり
人々に未来を信じる心やお互いを思い合う心を思い出させました。
そして人々はそのクジラを旅するクジラと呼ぶようになりました。
今では海辺にあったあの大きながれきの山はすっかり小さくなり
子どもたちも新しい生活を始めています。
そして花坂じいさんの作った旅するクジラたちは
その後多くの人々の思いや未来を乗せて
今では各地で人工漁場として海の底で魚たちの住処となり
子どもたちの未来を夢見ながら
旅の思い出を小さな魚たちに自慢げに語っているそうです。
おしまい
いかがでしたでしょうか
こちら終わりにメッセージもありますので
そちらも読ませていただきます
終わりに
旅するクジラはそうなればいいなと思う
未来へのお話です
誰もが正しい情報に耳を傾け
誰かが誰かを思う
そのための行動を日本人の誰もが
お互いにできるようになることが
これからの未来への本当の希望だと思います
前野ひろき
はい
こちらはですね3.11
3月11日になったということで
3.11に関する絵本を見つけましたので
そちらをお話しさせていただきました
私の娘や息子は3.11を知らないわけなんですけども
やっぱり私自身も都内でしたけど経験して
本当に恐ろしい光景がテレビから流れてきた時には
やっぱりもうなんか本当に夢みたいな
12:01
本当に事実なのって思った記憶があります
もうそれがだんだんとね
もう10年近く経って
記憶が風化されていってしまうとは思うんですけども
やはりね戦争とかと同様に
戦争ってどこかで忘れてはいけないって思うんですよ
まだやはり終わってもないですし
一生懸命復興に携わっている方
復興に向けて準備を進めている方
まだまだ終わっていないことだと思うんですね
なのでこの絵本をちょっと読ませていただいて
この日だけじゃなくて3.11っていうと
思い出そうっていうだけでもないんですけども
それ以外でもちょっと思いを馳せてほしいんですけども
何かのきっかけになればいいなと思って
今回読ませていただきました
それでは今日もお聞きくださりありがとうございました
こんでした
ではまた
12:59

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