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ながら聴きラジオ
おはこんばんちは、アーベイのAです。
6月1日水曜日、ながら聴きラジオ『キコアベ』へようこそ。
この番組は、我々社会人営力カンパニーアーベイが、
あなたのための心地よいながら聴きラジオを目指す番組です。
福岡の皆様、地域の皆様、聞こえてますか?アーベイです。
略して、キコアベということで、
お父さん、お体大事になさってくださいね。
どうかまた元気に歩けますようにと、東京からお祈りしております。
さて、福岡といえば博多。食べ物の美味しい町としても有名ですね。
私Aは、もつ鍋もとんこつラーメンも大好物でございます。
あと、明太子ね。鮭明太とか、ご飯3杯はいけちゃいます。
おい、ダイエットどこ行った?って感じなんですけれども、
福岡には旦那さんの実家があり、
昔、お仕事に行かせていただいたこともあり、
私にとって縁の深い場所であります。
太宰府天満宮に行って、梅がや餅をまた頬張りたい。
焼き餅と日本茶って最強ですよね。
ああ、食べたい。
さあ、本日のキコアベは、Bさんの豚三分子3つの嘘をお送りいたします。
それでは今日も、最後までお付き合いいただけますか?
キコアベ、スタートします。
やらかしました。申し訳ございません。
前回のキコアベで、今日の配信はJさんのかざとくて何が悪いのをお送りしますとお伝えしてしまったんですが、
今日は元々Bさんの豚三分子の配信予定であったのをうっかり間違えてしまいました。
大変失礼いたしました。
今週の土曜日にJさんの配信となりますので、Jさんファンの方、あと少しだけお待ちください。
本当にすみませんでした。気をつけます。
今日の豚三分子は、豊島芳代作の三つの嘘。
18分の作品となりますので、おしゃべりは控えめに早速お聞きいただこうと思います。
それではごゆっくりお楽しみください。
三つの嘘 豊島芳代
豊島芳代。あるところに、はじめという長者がありました。
いやしい生まれでしたが、一代に長者となったのであります。
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若い頃、縁開航路の小さな貨物船の水布をしていて、
密かにいかがわしい商売をして、相当の資産を得たという噂がありますが、それも確かなことはわかりません。
とにかく何かである程度の金を儲けて、それから相場をしたり金貸しをしたりして、
それがみな運良く行き、人門の長者となりました。
ただここに注意すべきことには、彼の素行は極めて禁言でありました。
水布とか相場紙とかに普通見られないほど、すべての点に幻覚でありました。
それゆえ、彼の過去の仕事の主なものは金貸しであったろうと想像されますし、
また彼は国庫清廉して産を成したのだと推察されます。
65歳になった頃のはじめは、豪車な邸宅に住み、多くのメッシ使いに貸し憑かれながら、
どことなく寂しい影をその太った老体に漂わしていました。
顔の皮膚は浅黒く狂人そうですが、
しわよった広い額と大きな低い鼻との間に、両目がしょんぼり凹んでいました。
知有はごく少なく、出入りする者は怪しげな身分の者が多いようでした。
妻は2年前に病死し、25歳前後の男子が3人ありました。
この子供たちの年齢が彼の年齢と隔たりの多いのも、
彼の出身を物語っているもののようであります。
6ヶ月ばかり前から国内の遠方に動乱が起こって、
それが一種の政治革命の気配を帯び、また国際戦争の兆しを帯びて、
重々しい雰囲気が社会全般を覆いつつあった頃のことでした。
ある晩、はじめは珍しく酔って帰ってきました。
もっともこの1、2ヶ月、彼は苛だったり打ち沈んだりしていることが多く、
飲酒の量が著しく増していたのであります。
もう11時を過ぎていました。
はじめは召使いに子供たちの財布を訪ねますと、
3人ともまだ帰宅していませんでした。
それはいつものことで、
3人の青年は夜遅くまで外へ出歩くのを常としていたのですが、
はじめはちょっと考え込んで、それから厳しく命じました。
帰ってきたならば、必ず私の室に来るように伝えてくれ。
夜が明けるまでも私は起きて待っているから。
そして彼は自室に酒の支度をさせました。
四段の大きな事務机が据えられ、金銀の飾り物が並べられ、
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絨毯が敷き詰められている室で、
はじめは召使いを遠ざけてただ一人、
暖炉のそばの長い椅子に寝そべって黙り込んでいました。
テーブルのスイカの種やハムや肉まんじゅうなどの皿にも手をつけず、
日よけの胴粒でぬるく温めた銀瓶の酒を、
小さな杯で時々ぐっと煽りました。
時がたってやがて、扉を軽く叩く音がして、
次男のニエーが入ってきました。
はじめは彼をテーブルの向こうの椅子に座らせました。
そしてしばらくスポーツで鍛えられた強健な彼の様子を眺めながら、
おもむろに言い出しました。
お前に特別に言っておきたい秘密があるが、
決して誰にも漏らさないと約束できるかね。
誓います、とニエーは答えました。
それならば言って聞かせるが、
私には致命的な病気があるのだ。
もういくらも生きられない。
ただ、病名は今は言えない。
いよいよの時には聞かせてあげる。
とにかく覚悟しておくがよかろう。
お父さん!
はじめはそれを手で制して、室から退けました。
やがて、少男のイチエイが入ってきました。
はじめは彼を真向かいの椅子に座らせて、
取引所や宴席で世間なれのした、
鋭利そうなその様子をしばらく眺めてから、
おもむろに言い出しました。
お前に特別に言っておきたい秘密があるが、
決して誰にも漏らさないと約束できるかね。
誓います、とイチエイは答えました。
それならば言って聞かせるが、
私の財産は致命的な打撃を受けているのだ。
破産するのも間もあるまい。
どうしてそうなったかは今は言えない。
いよいよの時には聞かせてあげる。
とにかく覚悟しておくがよかろう。
お父さん!
はじめはそれを手で制して、室から退けました。
やがて産男の産英が入ってきました。
はじめは彼を自分の横に座らせました。
そしてじっと彼の弱々しい感傷的な様子を眺めて、
しばらく黙っていました。
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それからため息をついておもむろに言い出しました。
お前に特別に打ち明けておきたい秘密があるが、
決して誰にも漏らさないと約束できるかね。
誓います。
と産英は答えました。
それならば打ち明けるが、
お前には一人の妹があるのだ。
私はそれを公にすることができなかった。
男女の間というのはいろいろ複雑で、
さほど清らかなものではない。
私にも後悔は多い。
ようやく決心してお前に打ち明けるのだ。
お前の妹は私たちの身近にいる。
誰がそれだとは今は言えない。
近いうちに聞かせてあげる。
とにかくこのことを胸に置いておくがよかろう。
お父さん?
はじめはそれを手で制して室から退けました。
そこではじめはしばらくぼんやりしていましたが、
にわかにわれに帰ったように、
にたりと不思議な笑いをして、
銀瓶に残っている酒を立て続けに飲み干し、
ふらふらした足取りで寝室へ入って行きました。
寝室で彼はまたにたりと笑い、
着物のまま寝床に飛び込み、
大きないびきを立てて眠りました。
それから数日、
はじめは何か深い物思いに沈んでいるようでありました。
外出もせず、放客にもあわず、
居室に閉じこもっていたり、
黙々として庭内を歩いていたりしました。
そして一週間後、
羊がオスオスとはじめの前に口頭しました。
「ないない、お指図を受けたまりたいことがございます。」
「何だ!」とはじめは大きな声をしました。
羊は反対に声を潜めました。
いちえいが、
ごく秘密に二万金欲しいと頼み込んだよしであります。
羊の見るところでは、
危険な相場を始めているらしく、
どう取り計らったものかと迷っているのでした。
「よろしい、私が処理する。」
とはじめは叫びました。
すると羊はほっと吐息をついて、
また小声で言い出しました。
二えいが、
サラブレットの春明を飼いたがっているよしであります。
馬はすでに二頭もあるのに、
数千斤の馬をさらに欲しがり、
羊に内密の相談を持ちかけたのでした。
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「よろしい、私が処理する。」
とはじめは叫びました。
すると羊はなおささやきました。
三えいがはじめの次女のみきと抱き合って泣いていたそうであります。
羊が物陰から立ち行くすると、
兄様とか妹とかという泣き声が漏れたのだそうでありますが、
あの二人は兄弟であられるのか、
不思議ともいぶかしいとも羊は考えように迷ったのでありました。
「よろしい、私が処理する。」
とはじめは叫びました。
羊がなお何か言いかけるのを、
はじめは耳も貸さず歩き去ってしまいました。
その日、そしてその一晩中、
はじめは香りの高い強烈な葉巻きを食い出しながら
室の中を歩き回っていました。
ひどく怒っている様子なので、誰も近づきかねました。
翌朝、はじめは召使いを呼んで、
三人の子供を順次に居室へ来させるよう命じました。
一えいが新装を整えてやって来ますと、
はじめは根巻きの上に金種の蝶椅を羽織って、
葉巻きをふかしながらしきりに歩き回っていました。
はじめはぴたりと立ち止まって言いました。
「私が破産しかけているのに、
お前は何ということだ。
寄りつきもしないで、
けんな相場を始めたというではないか。
ばかな。これからは断じて許さない。
金がいるなら、ここに二万金があるから持って行くがよい。
ただ、断っておくが。
私が破産しかけているというのは、あれは嘘だ。
私の財産にはまだ少しの破綻もない。」
「え?本当ですか、お父さん。
それなら安心しました。
これから大胆に相場ができます。
今夜は愉快に友人たちと飲みましょう。
お金は頂いていきます。ありがとうございました。」
一英は金をつかんで、
悪気にとられているはじめを残して駆け出して行きました。
しばらくして二英が
眠そうな目をしばたたきながらやって来ますと、
はじめは両手を組んでじっとたたずんでいました。
はじめはじろりと見合って言いました。
「私がいつ死ぬかわからぬ体なのに、
お前はなんということだ。
寄りつきもしないで、
馬ばかり飼いたがっているというではないか。
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バカだ。
これからは断じて許さない。
金がいるなら、ここに五千金があるから持って行くがよい。
ただ、断っておくが。
私が死にかけているというのは、あれは嘘だ。
私の体には少しのひびも入っていない。」
「え?本当ですか?お父さん。
それなら安心です。
馬でも自動車でも存分に走らせることができます。
これから早速遠乗りに出かけましょう。
お金はいただいていきます。ありがとうございました。」
二重は金をつかんで、
呆然としているはじめを残して、
駆け出して行きました。
しばらくして三重が
小鳥のような目つきをしてやって来ますと、
はじめは椅子に両肘をついて、
手のひらで頭をかかえていました。
はじめは急に突っ立って三重をじろりと見ましたが、
くるりと向き直り、窓から遠い空のように
自然をやりながら言いました。
「私が家の血統のことをいろいろ思い悩んでいるのに、
お前はなんということだ。
寄りつきもしないで、
偽者の三重と手を取り合って泣いたりしているというではないか。
馬鹿な!
そういうことは断じて許さない。
男というものは、
寂しい気持ちに陥ると、
馬鹿げた幻を描けたそののだ。
しかし、幻などは打ち消すだけの力を持たなくてはいけない。
はっきり断っておくが、
お前に妹がいるというのは、
あれは嘘だ。
お前たちは男三人、兄弟きりで、
他に血縁の者はいない。」
「え?本当ですか?
お父さん、
それでは、
ミキは僕の妹ではないのですね。
十人もいる女中たちの中で、
ミキは優れて美しいし、
お父さんが特別にかわいがって大事に身しつかっていられますから、
身近に妹がいるとすれば、
きっとあのミキに違いないと僕は思ったのです。
それでは、ミキは僕の妹ではないのですね。」
サンエイは始めの前に進み出て、
いきなりその胸に飛びついて言いました。
「お父さん、
僕たちは愛し合っているのです。
それが、もし兄弟だったらどうしようかと、
どんなに泣いたでしょう。
兄弟ではないんですね。
僕は嬉しい。
ミキも喜ぶでしょう。
すぐ知らせてやりましょう。
サンエイは始めの胸から飛びのいて、
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駆け出して行ってしまいました。
サンエイが飛びのいた反動で、
はじめは椅子に倒れかかりましたが、
そこで踏みとどまってしばらくは、
じっとうつろな目を中に据えていました。
やがて、悪夢から覚めたかのように、
ブルブルと首筋を震わして、
突然、わーっと大声を立てました。
泣いているのか、笑っているのか、
分からない大声で、なお喚き続けながら、
底の壁に頭をどしんどしんぶっつけました。
からくさ模様の美しい紙で張られている壁面が、
丸くへこむかと思えるほど頭をぶっつけ、
狂人のように喚き立て、
テーブルの上の五歳の花瓶がこのがり落ちて、
みじんに砕け、大きな響きを立てました。
その物音を聞きつけて、
執事がやって来ますと、
はじめは絨毯の上に死んだように横たわっていました。
執事は召使いたちを呼び、
はじめを寝室に運び、
巣を割った水でその額を冷やしてやりました。
はじめは身動きもしないで寝ていましたが、
ふと目を開き、ぐるりと室の中を見まわして、
そして叫びました。
私は孤独だ。私はもう死ぬ。
財産もいらない。愛情もいらない。
世の中もいらない。私はもう死ぬ。
ぶっつりと言葉を切って、目玉をぐるりと刺して、
まぶたを閉じました。
それきり静かになりました。
呼吸も静かでした。
突然眠ってしまったかのようでした。
執事は一切のことが腑に落ちないかのように
ゆるく頭を振りました。
そしてしばらく寝息のように
静かなはじめの呼吸をうかがっていましたが、
また頭を振って後ずさりしながら室から出て行きました。
それから三日後に、
はじめは脳一血で倒れ、
そのまま息を引き取りました。
その死体のそばで、
一栄と二栄と三栄とは、
大声を張り上げ大粒の涙を流して、
嘆き、悲しんだそうであります。
父親、作家兼役者、そして時々社会。
こんなジェイが送りする中途半端なパーザーと、
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五月のか土曜日より全国一斉拝。
はざとくて何が悪いの?
よっしゃしゃーす。
今回の配信の説明欄が出てまいります。
見られなくても、よく聞いていただければ分かると思います。
それでは今日は、読めそうで読めない苗字を出題いたします。
関数字の1、2、目鼻口の口と書いて、何と読むでしょう?
はい、一口さんではありません。
これはかなり難しいです。
目鼻口と書いて、一口っぽい別の読み方なんでしょうかね。
なんだろう、おちょぼうとかですかね。
おちょぼうさんって可愛いですよね。
はい、正解は芋洗いです。
お知り合いに芋洗いさんがいる方じゃないと、ちょっと読めないですよね。
どこが芋洗い的なのかもさっぱり分かりません。
はい、では続きまして、東、東西南北の東ですね。
2、江戸の江と書いて、何と読むでしょう?
そう、東江さんではありません。
シンキングタイムです。
さあ、シンキングしている間に、モノマネでも一つ。
どうもー、さくらだじゅんこでーす。
さくらだじゅんこって名前言っちゃってますけどね。
それでは正解を発表いたします。
正解は、あがりえさんでした。
沖縄の方の苗字だそうです。
沖縄の方は分かりましたよね。
はい、ということで、これからもラジオ漢字クイズ。
漢字だけじゃなく、いろいろクイズを出していきたいと思いますので、
頭の体操をしていきましょうね。
エンディングのお時間です。
長崎劇ラジオ、紀子阿部。
本日も最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
いかがでしたでしょうか。
今日はBさんの朗読コーナー、豚さん文庫をお送りいたしました。
紀子阿部始まってからの最長コーナーでございます。
2年目も様々な本を朗読してまいりますので、
ぜひこれからも楽しみにしていてください。
それでは皆様、今日も良い一日をお過ごしください。
君が次に叩く一回で、壁は打ち破れるかもしれないんだ。
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サンキュー。周蔵松岡。
長崎劇ラジオ、紀子阿部。
お相手は阿部のAでした。
次回土曜日にまたお会いいたしましょう。
それではごきげんよう。
ばいちゃ。