「取れない疲れは『脳疲労』が原因かも?」シリーズの中編です。前編では脳疲労のメカニズムと、アスリートの脳疲労の話までしました。今回はその続きから、現代人がなぜ脳疲労を抱えやすいのかという構造の話と、対処としての「身体動態瞑想」の導入まで、お話ししています。
中編(今回)でお話ししているのは、こんな内容です。
・座位時間そのものが運動量とは独立して身体に効いてくる──100万人を超える人々を統合した2016年のLancetの研究では、1日8時間以上の座位と低い活動量が重なると、全死因死亡リスクが約1.6倍になることが示されている
・現代人は「自分が疲れていることに気づけないくらい疲れている」状態にある。本人は肩こりを感じていないけれど、施術側から触ると相当に硬い──臨床で頻繁に出会う光景
・2023年の研究では、座位時間が1分増えるごとに、自分の身体の内側を感じ取る力(内受容感覚)が低下することが示されている
・ペンフィールドのホムンクルス──手・足・口・顔の支配領域は圧倒的に広く、体幹は極めて狭い
・発達の視点から:魚・爬虫類・四足動物まで遡れば、運動の本来の主役は脊椎・体幹だった
・2023年、Gordonらが『Nature』に発表した「Somato-Cognitive Action Network」(体幹・呼吸・腹部を司る認知と運動の統合ネットワーク)
・身体動態瞑想の核心──自分の脳を使って、自分の身体の硬さを感じ取り、ゆっくり動かし、気持ちいいなを指標にほぐしていく実践
・受動的にマッサージ機・甘いもの・お風呂・音楽に頼り続けると、自分で自分を調整する能力が低下していく
・解剖学者Robert Schleipの筋膜研究:能動的に「感じ取りながら触れる・動かす」とき、内受容感覚に関わる脳の部位が活性化する
・「脳が疲れているなら脳を休めればいい」は逆。脳を「使いながらゆるめる」ことで、脳の能動的活動の能力そのものが鍛えられる
・具体例:盆の窪を椅子の背もたれにあずけて、1センチ幅で首をゆっくり動かす実践
後編では、宮本武蔵『五輪書』が示す身体合理性の深さと、「ゆるむ」と「たるむ」の違い、ATPと弛緩の生理学、そして日常そのものを「気持ちよさを引き出す努力」に変えていく話までいきます。
【参考文献】(中編で言及)
・Ekelund U, et al. (2016) Lancet 388(10051):1302-1310.
・Wallman-Jones A, et al. (2023) Biological Psychology 18600.
・Gordon EM, et al. (2023) Nature 617(7960):351-359.
・Schleip R. (2003) Journal of Bodywork and Movement Therapies 7(1):11-19 / 7(2):104-116.
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大沼鍼灸 宛
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