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【中編】コリと疲労と鬱な気分|脳疲労が原因だった?
2026-05-21 20:55

【中編】コリと疲労と鬱な気分|脳疲労が原因だった?

「取れない疲れは『脳疲労』が原因かも?」シリーズの中編です。前編では脳疲労のメカニズムと、アスリートの脳疲労の話までしました。今回はその続きから、現代人がなぜ脳疲労を抱えやすいのかという構造の話と、対処としての「身体動態瞑想」の導入まで、お話ししています。

中編(今回)でお話ししているのは、こんな内容です。

・座位時間そのものが運動量とは独立して身体に効いてくる──100万人を超える人々を統合した2016年のLancetの研究では、1日8時間以上の座位と低い活動量が重なると、全死因死亡リスクが約1.6倍になることが示されている
・現代人は「自分が疲れていることに気づけないくらい疲れている」状態にある。本人は肩こりを感じていないけれど、施術側から触ると相当に硬い──臨床で頻繁に出会う光景
・2023年の研究では、座位時間が1分増えるごとに、自分の身体の内側を感じ取る力(内受容感覚)が低下することが示されている
・ペンフィールドのホムンクルス──手・足・口・顔の支配領域は圧倒的に広く、体幹は極めて狭い
・発達の視点から:魚・爬虫類・四足動物まで遡れば、運動の本来の主役は脊椎・体幹だった
・2023年、Gordonらが『Nature』に発表した「Somato-Cognitive Action Network」(体幹・呼吸・腹部を司る認知と運動の統合ネットワーク)
・身体動態瞑想の核心──自分の脳を使って、自分の身体の硬さを感じ取り、ゆっくり動かし、気持ちいいなを指標にほぐしていく実践
・受動的にマッサージ機・甘いもの・お風呂・音楽に頼り続けると、自分で自分を調整する能力が低下していく
・解剖学者Robert Schleipの筋膜研究:能動的に「感じ取りながら触れる・動かす」とき、内受容感覚に関わる脳の部位が活性化する
・「脳が疲れているなら脳を休めればいい」は逆。脳を「使いながらゆるめる」ことで、脳の能動的活動の能力そのものが鍛えられる
・具体例:盆の窪を椅子の背もたれにあずけて、1センチ幅で首をゆっくり動かす実践

後編では、宮本武蔵『五輪書』が示す身体合理性の深さと、「ゆるむ」と「たるむ」の違い、ATPと弛緩の生理学、そして日常そのものを「気持ちよさを引き出す努力」に変えていく話までいきます。

【参考文献】(中編で言及)

・Ekelund U, et al. (2016) Lancet 388(10051):1302-1310.
・Wallman-Jones A, et al. (2023) Biological Psychology 18600.
・Gordon EM, et al. (2023) Nature 617(7960):351-359.
・Schleip R. (2003) Journal of Bodywork and Movement Therapies 7(1):11-19 / 7(2):104-116.

お手紙・ハガキ募集中です。
〒981-0811
宮城県仙台市青葉区一番町一丁目12-39-503
大沼鍼灸 宛

話している人について
https://www.somaticstudiojapan.com/tatsuyaonuma

感想

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100万人を超える人々のデータを統合した2016年のランジェットという研究では、
1日8時間以上の座位、つまり座っている状態と低い活動量が重なると、
全ての原因による死亡リスクが約1.6倍になるという結果が示されているのです。
座っているという、ただそれだけのことが、運動量とは独立して体に効いてくるということなんですよね。
体は固まって、脳はその固さを処理し続けて、結果として脳疲労が積み重なっていくと。
これが現代に生きる僕たちの標準的な状態としてあるんじゃないかなと僕は見ています。
そしてもう一つ、現代人というのは、体の感覚そのものが鈍ってきているということもあります。
ここまで体に無理がかかっても、本人はそれを感じなくなってしまっている。
固まりというものが、疲労というものが日常になって、それを普通として受け入れてしまうようになるんですよね。
脳も賢いのでずっとしんどいしんどいと感じ続けるのは疲れるんですよ。
なのでまあこのくらいなのかというふうにノイズを削除するようにできているんですよね。
賢いんだが賢くないんだが。
まあでも脳はそういうものなんですよね。
自分が疲れているということに気づけないくらい疲れているということでもあるわけです。
これ結構臨床でもあるんですよね。
ガッチガチに肩がコワバツだとしても、僕本人は腰が痛いだけで肩こりとか感じたことないよというふうに言ったりもする。
でも施術側の僕から、触っている側の僕からすると、腰も相当だけど肩首周りも相当硬いよということがザラにあるんですよね。
2023年に研究されたものでは、
座っている時間が1分増えるごとに自分の体の内側を感じ取る力、
これ研究の言葉では内需要感覚というふうに言われています。
これがわずかでも低下していく、1分ごとに低下していくということが示されたりもしているそうです。
逆に対人交流とか、人と関わったり話したりとかというものね、
そういう活動というのは内需要感覚を上げるということも言われている。
座って画面を見るという、僕らにとっては当たり前の日常というそのものが、
僕たちから体の内側を感じる力というのを少しずつ奪っていっているというふうにも言えるわけです。
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これ結構なことですよね。
なんか話しているだけでも怖くなってくるね。
ステップ6。脳のホムンクルスと動かしにくい体感。
もう一つ、脳疲労の構造を理解する上で重要な知見があります。
脳科学ではペンフィールドのホムンクルスという有名なモデルがあります。
脳の運動や感覚やというもので、体のどこを支配しているかというものを地図にしたものなんですね。
これを見ると体の対応部位の大きさが均等じゃないということがよくわかるんです。
それぞれの脳のこの辺は例えば口のところだとか、この辺は足のところだとか、
この辺は顔のところを支配しているなというのが研究されているんですよね。
結構この研究もさ、怖い研究の仕方だったりもするんですけど、またちょっとこれは別の機会に話しましょう。
で、話を戻すとね、それぞれの脳の部位にどこの体を司っているのかというのを見ていくと、
手とか足とか口とか顔というものの領域、司っている領域というのが圧倒的に広いんですね。
専門用語で言うと神経の支配領域と言ったりするんですけど、手、足、口、顔の支配領域が圧倒的に広いんですよ。
一方で体幹部とか特に胴体というものを扱う領域というのはすごく階層度が荒い、狭いんですよね。
これは何を意味するかというと、手は細かく動かせるじゃないですか、皆さん。
目をつぶった状態でも人差し指を動かしてとか小指を動かしてというのは当たり前にできますよね。
口とか顔とかというものも繊細にコントロールできると思います。表情ってすごく豊かでしょ。
もう一方で体幹部というのはこんな指みたいに動かせない。
胸椎、第一胸椎をこういうふうに動かしてくださいと言われてもそんなの動かせんの?って思うと思うんです。
脳がその部分を担当する領域が広いから、手とか足とか口とか顔というのは脳の処理能力で言えばすごい階層度が高いということになるんですよ。
ドット数がすごい細かい、多いということだね。
ああでもないな、こうでもないなというのを野実に感じながら動かすということができるわけです。
でも体幹部というのは脳で扱われている領域が物理的に狭いから細かく感じ取ったりとか動かしたりということが極めて難しいようにできているんですよね。
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ここに実は脳疲労との接点が出てきます。
僕らが普段酷使している手とか目とか口というのは脳の中で広い領域を占めています。
それらをずっと使い続けている、アンバランスに体幹部と比べて使っているという状態というのは脳の広い領域を使い続けていることに等しいわけです。
では脳疲れますよね。
一方で本来動かさなければいけないという体幹は脳の狭い領域でしか処理されないわけです。
放置されやすい、動かしにくいし固まりにやすいわけです。
これ発達のところから見ていけば、本来動物、僕らの祖先は脊椎動物なんですよね。
脊椎動物を遡っていくと、四足歩行の動物だったりとか、爬虫類だったりとか魚類まで遡ることができるんですよ。
魚が一番分かりやすいと思うんだけど、魚って手足ないんですよね。
ないんですよね、それはそうだな。
手足ないから何で運動しているか、何でご飯を食べたり移動したりしているかというと、脊椎の運動、体幹部の運動だけなんですよ。
爬虫類とかも分かりやすいと思う。背骨、体幹部こんなにゴニョゴニョして動くでしょ。
あとはね、猫とかも分かりやすいと思います。チーターとか。
背骨がすごい柔軟に動いているわけだ。
手とか足っていうのは、その運動のエネルギーっていうのを増幅させる装置に過ぎないんですよね。
だから当たり前に使われていたものっていうのが、僕らの現代の生活様式の中では、なかなか駆動されない、使われない状態になっていて、
なおかつ手とか顔とか口とか足とかっていうものは、今まで以上に細かく使うことを要求されるっていう、
今までのこの、一つの生命体としてこの歴史を見ていくと、なかなかに激しい変化なわけなんですよ。
そんな風に本来動かさなきゃいけない、動かすように。
動かすのが当たり前としてできている体幹部っていうのは脳の狭い領域でしか処理されていないからこそ、
今の僕らの現代様式では放置されやすいわけなんです。
で、その固まった体幹部っていうものを脳は、なんか固い一塊のものだっていう風に感覚神経で感じ取って、
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それを何とか動かそうと前頭前夜で判断し続けるわけです。
ここ固まって動かないから。
動かないけどじゃあこっちの方を頑張って動いてください。
手の方で頑張ってカバーしようっていう風になっていくわけ。
こうすると、その固まっているものがどんどんどんどん固まりを増幅させて、
さらにそれと合わせて脳疲労も加速していって、
どんどんどんどん体が緊張とか小暴りで蝕まれていくっていう循環になっていくんですよね。
これは加速していきます。
これちょっと余談なんですけど、
近年っていうのは脳科学の中で、このペンフィールドのホムンクルスっていうものそのものも更新されつつあります。
2023年の研究でNatureに発表された論文では、
運動家の中に体制認知行動ネットワークっていう風に言われる、
体幹と呼吸と腹部っていうものの運動を司る、認知と運動を統合するネットワークっていうのが見つかっています。
体幹部っていうのは単に脳の中で小さいんではなくて、
もっと深いところ、認知のレベルに結びついた回路と関わっている可能性が出てきているそうなんです。
つまり無意識の層ですよね。
そっちに当たり前としてもあるもんだから、
認識しながらそこを動かすようにできてないんじゃないかっていう仮説も立つわけなんですよ。
肩や腰とかそういったところばっかり触っていても、
なかなか抜けない疲れがあるっていうのは、
体幹部のところまで着目してあげないと脳が休まらない。
そういう風にも言えるかもしれません。
実際これは僕が臨床の中で感じてきたこととも繋がります。
ステップ7。身体動態瞑想という対処法。
ここまで脳疲労というのがなぜ起きるのかを見てきましたね。
ではどうすればいいのかというところで、
僕が提案しているのは、
身体動態瞑想という一つの実践方法です。
実践方法というとちょっと大それた感じだね。
処方箋みたいなこれやってみるといいよということです。
この瞑想というのは一言で言えば、
自分の脳を使って自分の体の固さというものを感じながら、
ゆっくり動かして、
さらに心地いいなあという感覚を指標にほぐしていくという実践なんです。
つまりすっごいざっくり言うと、
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気持ちいいなあを味わうための瞑想法というような
理解をしていただけるといいかなと思います。
そこの中ではゆするという手法とさするという手法があります。
その基本として設計しているんですね。
例えば受動的に完全に受け身の状態でマッサージ機にかかるというのと、
自分の脳を使って体を緩めるというのは全く違うことなんですよ実は。
例えばDVDを見ているときに脳活動というのは休んでいます。
脳は使われなくなっているわけだ。
気持ちいいなあと感じてはいても、
脳自身の工夫で体を緩めるという経験はしていないんですよね。
ソファーに座って楽だなあ、好きな映画見て楽だなあと思ってたとしても、
完全に受け身なわけなんですよ。
こういう自動的な方法だけに頼っていると、
その道具とか環境というものがないと耐えられなくなってくるんですね。
これが例えば甘いものだったりとか、
例えばそれが僕がやっている神給だったりとかマッサージだったりとか、
お風呂、森林浴、音楽を聞くこと、おいしいご飯を食べること、全部に言えると、
もちろんそれらが悪いわけじゃないんだけれども、
それだけで自分を改善させようとしていってしまうと、
自分を調整する能力というものがどんどん低下していっちゃうんですよね。
これはドイツの解剖学者ロバート・シュリンプという方が、
2003年以降に筋膜の神経整理を研究する中で示してきたこととも重なります。
筋膜というのは筋肉そのものよりもはるかに多い感覚需要器というものが含まれている。
つまり筋肉よりも筋膜の方がいろんな情報を得ているよということを発表しているんですよ。
そこへの刺激というのは、ただ局所をほぐすだけじゃなくて、
自律神経系の交換神経の緊張を下げてくれる。
つまり神経系の側から筋緊張をリセットしていくという経路を持つと言われているんです。
受動的にマッサージを受けるだけでも体は緩んでいくんだけど、
能動的に感じ取りながら自分で自分の体を解いていって、
その心地良さを自分で探していく、引き出していくという風にするときに、
最も内需要感覚に関わる脳の部位というものが働く、活性化すると言われているわけです。
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ここがね、この脳疲労の解消、ここに向き合っていくというところで非常に重要な観点があるんですね。
一見すると脳が疲れているんだったら脳を休めればいいって思うんですけど、
でも実際はちょっと違うんですよ。脳が疲れているときに何もしない休めようと思っても、
体はずっと困っているもんで、実は脳は活動しているんです。
ぼーっとしているだけでも脳は活動をやめていないんですよね。
そこで一番重要なのが脳を使いながら体の方をやっぱり緩めていく必要があるということなんです。
自分で体の状態を感じ取りながら体で体をほぐしていくということ。
この循環というものが人間に本来備わっているそのメカニズムであって、
僕らの理性というものが何で生まれたかというものの答えでもあるんですよね。
野生だけでは僕らの可能性というものを最大限やっぱり引き出すことができない。
それ以上に可能性を広げていくために僕らの理性というものが生まれたという風にも見れるのかなと思います。
脳を使いながら、つまり自分で認識しながら自分の固さを感じ取って、
それをじゃあどう緩めていくか、こうやると気持ちいいぞ、こうやるとほぐれていくぞというものを感じながら動かしていくこと。
これが身体胴体瞑想の革新になります。
例えばね、具体例として聞いてくださっている皆さんも今すぐできる方法です。
説聴の方でも紹介したりとかよくするんですけど、
オフィスの椅子とか家のソファーとか、その辺の家の椅子とかでもできます。
後頭部と首の境目ありますよね。
ここを盆の窪っていう風に言ったりもします。
ちょっと触ってみて、この辺かなーって。
頸椎という首の骨と頭蓋骨がくっついているところですね。
ここが窪みになっているんですよ。
これをちょうどいい具合の椅子の出っ張ったところに預けてあげます。
ストンと乗っけてあげるのね。
この状態で首を、ほんとね、ちっちゃくていいです。
1cm幅とか1mmくらいでもいいけど、ちっちゃければちっちゃいほどいいです。
なんでかというと、ちっちゃくすればするほど感覚を拾うために力を抜かなきゃいけないからなんですね。
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ちっちゃく動かそうと思えば自然と力って抜けてきているんですよ。
難しいなーと思いながらも、こうかなーってやっていくこと自体が
脳を使って体と脳のひも付きを強めていく行いでもあります。
つまり脳疲労を解消していくことになります。
ただね、集中していけばいくほどどうしても緊張というものが芽吹いてきます。
なので、あー気持ちいいなーっていう感覚というものを引き出していくように
そこに焦点を当てていくようにしてあげてください。
難しいとね、難しいとってかこれかなーわかんねーなーってなると
意識がまた他のところに飛ぶんですよ。
あれ、今日はあれやったっけ?とか
あ、そういえば何々さん連絡するの忘れたなーとか
せっかく体のケアしているのに他のことにね、頭が行っちゃうんですよね。
これってやってて意味あるのかなーとか
あーこんな感じかなーって自分なりのアプローチをやってみたりとかね。
もちろんいいんですけど、一番大事なのは
気持ちいいっていう感覚を最大限引き出していくことです。
ここの気持ちいいっていう感覚っていうのは
体がね、物理的な体が
あーオッケーオッケーその感じでいいよーって
今俺ら体がすごい良い方向に行ってるよーっていうのを教えてくれるサインでもあるんですよ。
でもね、力みが状態化している、緊張が状態化している
つまり身体合理性が低下している状態の人っていうのは
この感覚が分からないもんで
他の方に行っちゃうんですよね。
自分にそういう反応が出てきたとしたら
あ、こりゃ外疲れてるんだなー
そういう風に思ってみてください。
自分なりのヒントで構いません。
自分なりのペースで構わないので
気持ちいいなーっていうのをできるだけ探すように
努めていくようにやってみてください。
1回の時間を少なくするとかでもいいし
気づいた時だけやろうとかでもいいです。
気持ちいいなっていう感覚がね、ちょっとでも湧いてくると
自然とそれを求めるようになっていきますので
自分の無意識がね、そこのとこに行くまで
習慣化っていうものをできるだけ発酵しながら
やっていけるといいかなと思います。
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