1. 神田大介の経験
  2. 20人に聞け!
2024-02-07 11:50

20人に聞け!

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私の印象にすごく残っている言葉がありまして、特派員になって間もなくの頃、ということは2013年とか14年だなぁ。
記者になってから13年、14年とか経ってるわけで、10年以上経ってるのはまあまあ一発ですよね。芸人さんがM-1グランプリに出られるのは15年目までですもんね、結成。
って考えるともう一人立ちしなさいよっていう年ですよね。
島田信介さんがM-1グランプリを作った時には、結成10年目までという規定だったわけですけれども、あれは要するに10年目までに目が出なかったらもう芸人はやめてね、別の仕事をしなさいっていうそういう意味だったっていうのは有名な話かと思いますけれども、それを超えてるわけですから。
一応一発の記者と言っていいんじゃないですか。なんだけれども、特派員としては初めて海外に出たわけですよ。その時に先輩の特派員、すごく取材歴の長い記者が言ったのは、
カナクナアギーか、物事っていうのは大体20人ぐらいの人に聞くと見えてくるなって言われたんですよ。何かって思うかもしれませんけれども、これ結構的を得ているなと私今でも思ってるんですが、20人。
私がその話を聞いたのはエジプトのカイロというところで、2013年か、空データがあったんですよ。今も続いているシシ大統領っていう人がいて、その人はもともとエジプト軍の人なんですね。
当時はムルシー大統領って人がいたんだけど、選挙で選ばれた。その選挙で選ばれた大統領を放逐してですね、牢屋にぶち込んでですね、空データを起こしたっていうそういう事件があって、その時私エジプトにいたんですよ。
それを先輩記者に聞いたわけですが、20人というのは要はその辺に歩いてる人じゃないですよ。よくありますよね、街の人に声を聞くっていうのね。新聞でもテレビでもありますけど、あれは本当に意味ないですね。
飾りみたいな風に私には見えますけどね。だってそうでしょ。私だって街歩いてていきなり知らないこと聞かれても適当なことしか答えられませんしね。やっぱり20人というのはその道の人、識者ばかりとは限らないんですけど関係者ね。もちろん当事者が一番いいですけれども、関係している人。
エジプトの空データで言うと例えば、空データを起こしたのは軍部ですから、軍部から話を聞けるといいですね。結構難しいんですよ。そうすれば軍に近い人というのは言いますからね。軍の考えを支持している学者とかね。軍の関係者。どんな業界にも弁護士ってついてるんですよ。だから軍の弁護人とかいればそういうのもいいかもしれませんね。
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ともかく軍の関係者ね。当然だからその追放されたムルシー大統領の関係の人。この場合はね、ムスリム同胞団っていうそういう宗教団体が母体だったので、支持母体だったので、ムスリム同胞団の取材は必ず必要でしょうね。ムルシー大統領のことをよく知る人の取材も必要ですよね。
その他にも様々、エジプトっていうのは政党もありますし、あと考え方もね。宗教がイスラム教ですから、イスラム教の権威はこの事件をどう見ているのかとかですね。
それから若者と言っても、とりわけ中心的な、例えば運動の代表をしているであるとか、NPOの代表をしているであるとか、なんかそういう人とかね。様々な人。今全部合計しても10人いないですよね。
20人から話聞くのってすごい大変なんですよ。今そこで見つけた人に聞くっていうのだと意味がないので、何かしら何か意味のある人に話を聞く。それを20人積み重ねるってめっちゃ大変ですね。
普通の記者はだいたい5人に聞ければ上出来みたいな感じじゃないですか。1人はダメですね絶対ね。前の配信でも言いましたけど必ず2人以上である必要はあります。そうしないと物事は見えてきませんし。
2人だとちょっと少なすぎて、5人はぜひ欲しいですね。10人ぐらいいると安心しますね。20人はやっぱりその一流の記者の仕事だなって感じます。だから別に嫌いをするつもりはないんですけれども、何千人に取材しましたみたいなことを自慢する人って僕は全然信用してなくて、数積み重ねていいっていうもんじゃないですよ。
多分1人2人でいいっていうわけでもないんですけれども、何千人ってその人が何年取材の経験を積んでるか知りませんけど、例えばじゃあ5000人に取材しましたって言ってる人がいるとするじゃないですか。記者歴20年だったとしても5000割る20っていくつですか。500割る2だから250ですか。
これ無理ですね。一つのテーマでじっくり話を聞ける人を探すっていうのもすごく大変なので、そんな1日1人ぐらいのペース、土日祝日を除いてみたいなペースで取材を積み重ねることっていうのは、そういうことやってる人全然いないとは言わないけど、非常に本当に日本に数人みたいなレベルですよ。
知ってますけどそういう人も。だからそういうことを言う人に限ってアナウンサー上がりだってするわけですけれども、それはちょっと本当に極めて難しい。
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例えば震災の取材に行って避難所にいる人から話を聞く。これは皆さん当事者ですから一定の意味合いがあると思いますけれども、それをバーってやるような感じでカウントしていかないと数千人というレベルにはならないんですね。
そもそもそういう取材の仕方がいいのかっていう気もしますし、やっぱり数ヶ月で20人に取材をするっていうのが、もう私の考える最も一流の記者って感じますね。
要はそういうことで、SNS上の情報とかってだいたい一人で発信しているものがほとんどなんですよ。
仮に目の前で起きていることだとしても一人で見ていることというのはあまり信用できません。目撃証言とかも本当に注意しなきゃいけなくて、光の当たり具合とかで全然色の見え方とかも違うんですよね。
極端な例で言うと黒いものを白いって言う人もいて、例えば黒い車なんだけれども、夜でそこだけ街灯の明かりが当たっていると白とかオレンジとかに見えるっていうこともあるんですよね。
っていうぐらいなので、一人の人が見ていることって信用できないんですよ。これはどういう人であってもね。それは自分自身もそうです。
だから非常に一つ、この記事ってどれほど信用できるかっていうのを見る一つの指標としてはソースがどれくらいあるのか。
だから目撃証言だとしても何人の目撃者から話を聞けているのかと。あんまり明示されていることは6人から聞きましたとかないと思いますけれども。
それは記事を読めば、男性、丸学校43歳は、みたいなところが書いてありますよね。目撃者でもね。
あれがいくつの人の話を書いているのかとかですね。
それから捜査関係者だけがソースっていうのも結構危ういんですよね。
それは捜査関係者、だいたい警察だったり検察だと思いますけど、の見方を伝えているというだけなので。
大抵、我々の場合、事件を取材する場合にも弁護側にも必ず取材はしますが、そういうのをやっているかいないかですね。
ここが本当に別れ目になってくると思います。
新聞社の報道だったりテレビ局の報道だったり、私は新聞社に勤めているので新聞の話をしますけれども、どこの新聞社でもいいんですけれども、SNS上の情報よりは新聞の方が勝ると思っているんですね。
信頼度に関して。もちろん新聞でも間違っていることはありますが、平均的には新聞の方が事実が書いてある。
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なぜかというと、別に新聞記者が有能だから、優れているというわけではないです。
新聞社が組織として優れているわけでもないです。
別にただの組織です。何が違うかというと関わっている人数なんですよ。
だから記者もまずたくさんいますよね。現場に投入される記者というのは大体複数いますし、記事を原稿として上がってきたものを新聞の紙とかインターネット上のウェブサイトに載せるでいいという形にするデスクというんですけれども、原稿を直す人ね。
何だこれどういう意味なんだとかって記者に問い合わせをするんですけれども、記者はそれでまた補強取材をしてこういうことです。それで記事が出来上がっていくわけですけれども、その第一読者ですね。デスク。
その他に編集をする人。一般的には整理部と言いますし、編集センターとかいう言い方をする場合もありますけれども、編集者ですね。記事の見出しをつける人。必ずその記事を読みますから。それから講演通。間違ったことが書いてないかも。文章の表現もそうですし、一般的な常識に照らし合わせて正しい日本語になっているのかどうかとかね。それを見る人。講演通。
あっと少なくとももう一人はいると思うんですよ。新聞の場合は当番編集長という人がいて、自分の責任で記事を掲載するという人がいるんですよね。必ずいて、新聞社の場合はそれが東京と大阪と両方で見てたりとかそういうのがあるわけですね。つまり関わっている人の人数が多いんですよ。
人数が多ければ多いほどミスとか思い込みに気づきやすい。これ何本当なのっていうことに気づくことができる。関わっている人が多ければ多いほど間違った情報が世に出にくくなるんですよね。これおかしいだろって言って突き返すっていうことができる。
ので新聞の方が事実に近いことが書いてある可能性が確率が高いとは言えると思いますね。だってね、ツイッターとかで自分のツイートを誰かに公越してもらっている人とかってタレント以外いますか。タレントでもやってない人が多いと思いますけれどもね。
人間って必ず思い込みありますのでそこを排除できるかどうかという点では会社組織でやっている方がそれは優れてるなと思いますね。
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