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#1009 数十億人が鑑賞者になりうるストリートアートを科学する
2026-08-03 11:09

#1009 数十億人が鑑賞者になりうるストリートアートを科学する

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【本日の論文】
Ho, R., & Szubielska, M. (2026). Life or art? A model of street art experience. Psychology of Aesthetics, Creativity, and the Arts. Advance online publication. https://doi.org/10.1037/aca0000873

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おはようございます。ドイツ在住心理学者のじんぺーです。 この番組では心理学の研究のお話や、心理学者の研究生活のお話をしています。
今週も、 張り切ってやっていきたいなと思っておりますけども、今日はストリートアートの話をしてみたいと思います。
私はもともとというか、今もですけど、 アートとか芸術、文化がどういうふうに鑑賞されるのか、どういうふうに美しいと思われるのかという研究をしています。
言ったら専門にとても近いテーマで今日はしゃべっていくということになります。 ストリートアート自体は別に専門ではないんですけども、
よく読んでいる学術雑誌の中で面白い論文、面白い論文というか、 友達が書いた論文を紹介してみたいと思っています。
一緒にシンポジウムをやった本校のロビーと、 ポーランドのヤマグダさんという方がいて、彼らが書いた論文です。
実験の研究ではないので、レビュー論文で言って、 その人たちがこういうふうに今考えているんだという理論を展開するような論文になっています。
なかなか伝え方が難しいんですけども、 概要というかエッセンス的な部分だけ聞いていただけたらいいかなと思っていますし、
ストリートアートのことを考えながら、 自分もストリートアートについてちょっとしゃべりながら話してみたいなと思います。
どうですか?ストリートアートとか興味ありますか?見ますか? 日本だとあまり見ないかもしれないですが、
ストリートアートというといくつか種類があると思うんですよね。 一番最初に思いつくのは壁とか建物とかに描かれた絵でしょうか。
オーバーウォールズというアーティスト集団がいて、 その方たちはいろんなところで壁画、壁に絵を描いて、
それをビジネスにしている人たちもいらっしゃって、 カラーの動きとかを結構ウォッチしていたんですけど、
そうじゃなくても、路上でギターを弾き語りしているのもストリートアートですよね。
あとは何がある?もうちょっと壁画みたいな感じじゃなくて、 落書きとかね、それもストリートアートになり得るという、
結構範囲は広いのかなと思います。
今回の論文で言いたいこととしては、着眼点がめっちゃ面白くて、
アートっていうと美術館とかコンサートホールとか、 そういう場所で見たり聞いたりするっていうものだし、
ものが一番に想起されるし、 研究者もそういう環境でばっかり研究してきたんですよね。
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ただ、別に美術館に行く人ばっかりじゃないじゃないですか、 むしろめっちゃ少数派ですよね。
世界人口がいる中で、80億人くらいの人がいる中で、 本当に0.00何%みたいな話だと思うんです。
ただ、一方でストリートアートとかになると、 これが数十億人の人が触れているわけですよね。
触れるチャンスがあるというか、 チャンスってこともちょっと違うな。
触れうる。
なんか、possibleみたいな言い方ですね。 可能性があるということだと思うんです。
それがまず着眼点として面白いですよね。
だから、0.00何%の人のことをやるのか、 それとも可能性としてというか、
あり得る範囲としては数十億人の人が関係ありそうな ストリートアートというのをやるかというのがまず一つ面白いし、
その後者の数十億人が触れうるという、 そこを研究していく意味ってありそうだよね、というのがあります。
何が違うと思いますか?
この美術館とかコンサートホールでアートを鑑賞するのと、 ストリートアートの鑑賞って言えないかもしれないんですけど、
ストリートアートを見ることで何が違うのかというのを、 こと細かに分析をしようとしている、
言語化しようとしている論文ですね。
すごく分かりやすい言葉で、 アートモードとライフモードという言葉が出てきます。
アートモードというのがまさに美術館とかで、 アートを見るたびに私は来ましたと、めっちゃ集中しています。
こと細かに絵に何が描かれているのかとか、
オーケストラとかでちゃんと音を一音一音聞こうとするみたいなのが、 アートモードなわけです。
ライフモードというのはその真逆。
アートがストリートに転がっていようが何であろうが、 別にそんなの見ていない。
ただただ今の生活を全うしている。
職場に向かっている、歩いているとか、 自転車に乗っているみたいなのがライフモードです。
その間にいくつかのトリガーみたいなのがあって、 ストリートアートが干渉される。
つまりアートモードみたいな感じで 見られうるということが言いたいことです。
例えば、3つだから言うか。
3つあるんですよね。
大きく分けて。
それが、受け手の準備ができているかということ。
2つ目が、その対象をアートと認識しているかということ。
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3つ目が、環境が適しているかということですね。
この3つが満たされると、 ライフモードからアートモードに変わっていくんじゃないか、
というふうな主張をしています。
もう少し見ていくと、
例えば、受け手の話ですね。
人の話の方で言うと、
準備できているかということですよね。
コンサートに行くときとかは、そのつもりで行くし、 聞くつもりで行っているし、
美術館も絵を見るつもりで行っているので、 そういう準備があるかどうかということ。
ストリートアートだと、求めていないですよね、別に。
だから、なかなか準備というものが揃っていないと言われています。
ですけど、自分とかは結構立ち止まったりするので、
特に新しい町とかに行くと、
もしかしたらそういう準備ができるか、
モードが切り替わる一つの、
新しいものを見てやろうじゃないか、
そういうふうな心持ちが準備をさせるのかもしれないし、
あとは性格的な違いもありますよね。
新しいものが好きな人とか、いろんなものに好奇心を持つ人みたいなのは、
この準備が整いやすいのかもしれないなというところがあったりします。
2つ目の、それがアートだと思うかどうかというところなんですけど、
これは、いろんな条件があって、
例えば、壁画とかでビビッと色を使っているということだと、
アートとして見られやすかったりするかもしれないし、
これは全然データとかじゃなくて、
そういうことがもしかしたら考えられるかもしれないし、
あとは、理解できるかどうかというのも結構大事。
意味が分からなすぎると、アートモードにはなりにくいというところです。
いい販売があるという感じですかね。
3つ目は、この場所がふさわしいと思うかというところなんですけど、
例えば、アートの前で涙を流したりとか、
音楽を聴いて涙を流すみたいなときって、
自分の感情をさらけ出すということなわけじゃないですか。
だから、そういうことができる場所かどうかというのは結構重要であるということが言われています。
なので、ストリートだとなかなかそれが難しいんじゃないかと。
だけど、例えば難しいかもしれないですけど、
少し見通しの悪い空間とかだったらあるかもしれない。
あとは天候とかもあり得ますよね。
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大雨とか豪雨のときにはなかなか安心して楽しめるという状況じゃないと思うので、
アートモードにはなりにくいみたいな話です。
これらが揃うと、ライフモードでいつも通り過ぎていた、
あるなくどうかも認識していなかったみたいなアートが
干渉される対象になるというのが、
なんとなく納得感のある説明だなと思って読んでみました。
いかがですかね。
ポテンシャルはすごいありますよね。
最初に言ったように何億人が見うるということなので。
自分もストーリーとかを撮ってあげちゃうんですよね。
だからそういうのをアンテナに貼っているのかな、
貼っていない気もするけどね。
いろんな人の意見を聞いてみたいなと思うテーマでもあります。
ちょっと面白い言葉があって最後に紹介しようかな。
紹介するのを忘れていたんですけど、
美術館とかって、
美術館とかのことをホワイトキューブと言ったりするんですよ。
白い壁とかに囲まれていたりするから。
この論文ではグレーキューブという言葉を使っていて、
これは建物とかグレーなものに囲まれているみたいなところで
グレーキューブと言ったりします。
ホワイトとグレーの対比も結構面白いなと思って読んでました。
大事なんですよね、こういう言葉選びとか。
グレーキューブエフェクトとかって言われるだけで
面白そうだなって読んでみたいなみたいになるので。
グレーキューブエフェクトはこの論文で初めて言われた言葉じゃないんですけど、
ぜひそういう言葉もあるよって覚えていてもらえたら嬉しいです。
今日はここまでにします。
また明日から今週もいろいろ話していきますので、
引き続き興味のあるときだけで大丈夫なので聞いてもらえると嬉しいです。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。
今日もいい一日にしていきましょう。
ちんぺいでした。心を込めて。
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