この生まれ育ちのバーサスみたいな構造を、ある種実験で解消しようとしたのが、イギリスのゴルトンさんという方です。
ゴルトンさんは1822年生まれのイギリスの人類遺伝学者という職業でいらっしゃって、経験修行を唱えたロックさんの生まれから200年後に生まれた方なので、
これぐらいの長い期間、このバーサスの構造って今も一部あると思いますけど、あったんだなというところを改めて学びになりました。
このゴルトンさんは、遺伝化環境化という問題を解決するために、別々の家庭で育てられた双子の兄弟の類似性を創生手法というやり方で調べられたということです。
具体的には、生まれは同じ双子を別々の家庭に送られた双子を追跡調査をして、違った環境で育った双子の性格や社会的地位がどうなるのかというところを研究したと。
その結果、2人ともお医者さんになったよと。だから、人の能力や性格は遺伝で決まるというふうに考えたというのがゴルトンさんの結論です。
本当かなというふうに、医者になっただけでそうやって決めちゃっていいのかななんて、もちろんもうちょっと細かいデータとかあると思うんですけども、パッと聞いただけでやっぱりそういうふうに思っちゃいませんかね。
私は最初に読んだときそう思ったんですけども、ただこの考え方は弊害というか、良くないところに結びつく要素もあって、例えば優れた者同士の結婚を奨励して、優れた人々の世界を作ろうとするナチスドイツの優性思想って読むんですかね。
例えば、安楽死計画とかね、障害を持ちの方の安楽死を促すような、そんな残酷な計画とかもナチスはやったと思うんですけども、そういったところに結びついてしまったということです。
確かにね、この今現代に生きる我々からするとやっぱり人権っていう考え方がありますから、なんかこう遺伝っていうところがあまりに優位なんだとか、遺伝だけでっていうところを強く提唱してしまうと、やっぱりこの基本的人権ってどうなるんだろうみたいな行き着くところはそこに行ってしまう。
っていうところは懸念としてあるかなというふうにすごく感じました。
ただ、ゴルトンさんは遺伝の方が環境よりも影響力が大きいというふうに研究から結論づけているということです。
そうですね、これを自己理解的に捉えると、
一つ事実として言えるのは、遺伝っていうのは変えられないけども、環境っていうのはもちろん変えられない。過去の環境は変えられないんですけども、これからの環境って変えられますよね。
一方でゴルトンさんの研究によると、この遺伝の方が影響力が強い、環境の方が影響力がある意味弱いということ。
ただ、この誠徳主義と経験主義の論争があるように、ゼロ百じゃないと、どちらもやっぱり人を作る、人の性格性質を作るところに影響しているというふうに捉えると、
影響力の強い遺伝ということをしっかりと自己理解して捉えた上で、これからの環境のところに置き換えていくっていうふうな生かし方がいいんじゃないかなというふうに個人的に思いました。
例えば、自分の性質、自己理解をする上で、ご自身の価値観とか、価値観って大事にされていることとか、才能、得意としている、自然にできる行動みたいなことですね。
こういったものが遺伝から来ているのか、環境から来ているのかみたいなことを判断するための一つの手段としては、環境が結びつかなさそうなものはきっと遺伝だろうなというふうに仮説的に捉えることができるんじゃないかなと。
例えば私でいうと、ちょっとADHDっぽい気質というんですかね。集中できなかったり、朝起きれなくて集中しすぎてしまうときと、興味のないことに集中できないというムラがあるところとか、朝起きれなくて夜にすごく集中力が高まるとか、
そういう気質って環境から来たものというよりも親から遺伝した気質っぽいような感じがなんとなく自分ではしていて、これって環境では説明がつかないのできっと遺伝だろうなというふうに捉えることはできると思うんですよ。
そういう自己理解の結果を生かして、じゃあこれから変えられる環境のところをどうしていくんだみたいなふうに置き換えると、例えば朝比較的ゆっくりと過ごせる働き方をするとか、
集中できる夜に成果を出すためのタスクを入れるとか、一人の時間を大切にして、グッと興味のあることに集中してやるとか、このPodcastの撮影もそうですけども、そういうやり方、環境を整えていくというふうに自己理解の結果を生かしていくと、
この遺伝のところ、誠徳主義的なところも生かしつつ、環境で決まる、これからは環境を変えていくことで自分を作っていけるという経験主義のところもうまく取り入れて人生を作っていけるんじゃないかなというふうに思います。
はい、どうですかね、皆さん聞かれていて、どっちかというか、どっちを強く意識してたなとか、生まれのことばっかり考えてて、育ちのことあんまり気にしてなかったなとか、育ちのことだけ自己理解して、生まれのところってあんまりそういえば目を向けてなかったなとか、そんなふうにご自身に矢印を向けて聞いていただけていたら幸いです。
はい、今日もここまで聞いていただいてありがとうございました。少しでも役に立てていれば嬉しいです。また次回の放送でお会いしましょう。ありがとうございました。