顔が見えない時代に勝つ!中小企業のための実践マーケティング
顔が見えない時代、顧客が購入を決める際の判断基準は、「なぜ競合ではなくあなたなのか」(USP)と、「リスクが取り除かれ、今すぐ行動すべき理由があるか」(DRM)の2点に集約されます。
ステップ1:土台となる「USP(独自の強み)」の明確化
USPは、あなたのビジネスを競合他社と一線を画させ、価格競争から脱却させるための土台です。中小企業や個人事業主の場合、大企業のような派手な差別化はできませんが、顧客接点や提供プロセスの中で独自の強みを見つけることが可能です。
1. USPの定義と構築: USPとは、「横並びの」ライバルとは一線を画し、あなたのビジネスを際立たせる独特な魅力を打ち出したアイデアです。多くのビジネスは、このUSPを1つか2つの明確な文章で説明できていません。
◦ メリットの洗い出し: あなたの商品やサービスから得られるあらゆるメリットをリストアップします。
◦ 独自性の特定: 他社には真似できない、あるいは誰もやっていない独自の強み(例:価格、サービス品質、知識豊富な従業員、ロケーション、保証など)を探します。
◦ 一貫した伝達: 確立したUSPは、広告、セールスレター、スタッフとの会話、名刺など、顧客とのすべての接触機会で繰り返し、しつこいくらいに伝える必要があります。
2. USPの武器化(エレベーター・ピッチ): 顧客や見込み客に、自社のビジネスを一瞬で説明できる「エレベーター・ピッチ」を用意します。これは、顧客に対して「本当ですか?それは、すごいですね」と言わせるくらい、正確かつ明確に、あなたのビジネスを説明するものです。
ステップ2:「信頼」と「ファン化」を駆動する非価格戦略
顔が見えないネットの時代だからこそ、顧客は感情的、感覚的に好きな会社を応援したがります。価格以外の価値(信頼と人間性)を伝えることが、不況に強いビジネス基盤となります。
1. 人間性(ストーリー)の開示: お客さんは、何を売り込まれるかという警戒心を抱いています。この警戒心を解き、感情的な共感を得る最大の武器が「ストーリー」です。
◦ 起業・開発秘話: あなたやあなたの会社の創業経緯、商品開発における想いや苦労を語ります。
◦ 成長と克服: 最初から上手くいく話ではなく、試練を努力と工夫で乗り越えたストーリーを見せることで、人の心を動かします。
◦ ファンの育成: ストーリーに共感した読者や見込み客は、単なる顧客ではなく、生涯にわたり支持し、あなたを応援してくれる「ファン」へと変わっていきます。
2. 小まめな接触と個別対応(パーソナライズ): 顧客がリピートしない最も多い原因は「なんとなく忘れてしまうこと」です。これを防ぐため、時間を使わずに顧客と接触できるルーティン(メルマガ、ニュースレター)が重要です。
◦ 接触頻度の確保: 継続的にDMやメルマガを送り続けることで効果が高まります(最低でも約15日間隔での送付が推奨)。
◦ パーソナライズ: メッセージは「誰でも同じ扱い」ではなく、「自分に合った扱い」をされたいという顧客心理に基づき、個別対応を心がけます。これが難しい場合は、顧客をパターンに分け、個別の内容のように思わせる文面(例:地域に合わせたメッセージ)を作成することも有効です。
ステップ3:「反応」を引き出すDRMの実行と計測
DRMは、顧客に行動を依頼し、その結果を測定することで改善を繰り返す手法です。
1. 強力なメッセージ構成の採用: セールスの基本は、商品を通じて「お客さんがどうなれるか」という**理想の未来(ベネフィット)**を伝えることです。売れるメッセージには型があります(新PASONAの法則など)。
◦ 問題提起(Problem): ターゲットが「これは自分のことだ!」と思うほど、相手の問題や悩みを端的に表現します。
◦ 証拠の提示: 理想の未来を語った後、それが実現可能であるという**根拠(証拠)**を示します。証拠は科学的なものに限りません。お客様の声(実名、具体性)、導入事例、第三者機関の評価、写真や動画など、さまざまなパターンを集めましょう。
2. 購入リスクの肩代わり(保証): 顧客は「期待外れだったらお金の無駄になる」という金銭的リスクを負っています。特に高額商品の場合、この不安を取り除く必要があります。
◦ 大胆な保証の付与: 顧客が負うリスクを会社が肩代わりする、全額返金保証などの大胆な保証を提供します。商品に問題がない限り、返金を求めてくる人はほとんどいません。
◦ 事前相談の実施: 高額な商品には、事前に個別相談の機会を設け、顧客一人ひとりの疑問や不安を解消してから購入を決断してもらう体制を整えます。
3. 行動の要請と計測(CTA/テスト): 人は自分で行動の決断をするのが苦手なので、どんな行動を取って欲しいかを明確に伝え、背中を押す必要があります。
◦ 期限の設定: 人々に行動を起こしてもらうには、すべての広告に期限を設定しなければなりません。
◦ 効果測定の徹底: 広告の良し悪しを判断するには、他の施策とは分けて計測することが不可欠です。DMやチラシでは、注文番号やクーポンコードを設け、どの媒体からの反応かを追跡し、顧客獲得コスト(CPA)が限界CPAを超えていないかを常にチェックしましょう。