保育士歴28年の実践知/ほいくPLUS在宅保育士なるみが届ける保育のことば
2026-05-24 14:41

保育士歴28年の実践知/ほいくPLUS在宅保育士なるみが届ける保育のことば

おたよりを送る

「この子、どうしよう…」
頭を抱えたことはありませんか?


気になる行動が繰り返される子。
何をしても変わらないと感じるとき。
クラス全体がまとまらず、毎日が戦場のように感じる時期。


保育士なら誰もが一度は経験する、
あの「途方に暮れる感覚」。

この回では、現役保育士のなるみが
「どうしようもない」と感じた現場の経験を2つ、正直にお話しします。


▼こんな悩みを持つ方へ
・特定の子への関わり方が分からず、毎日悩んでいる
・何度試しても行動が変わらず、不安を感じている
・クラスがまとまらず、一人で抱えている
・問題行動をどう捉えればいいか分からない
・行き詰まると自分を責めてしまう


▼この回でお話しすること

・気になる行動への関わり方が変わった「視点のシフト」
・クラスが安定しない時期に「解決しようとすること」をやめた理由
・困難な場面で立ち返る3つの視点
・「問題行動」という言葉への正直な考え
・自分を責めないために知っておいてほしいこと


「なぜこんなことをするの?」
この問いは、原因をその子に押し付けてしまいます。


でも「この子は今、何を伝えようとしているんだろう?」
と問いを変えるだけで、見える世界は大きく変わります。

行動には必ず理由があります。
ただ、それは大人の視点からは見えにくい。

だからまず「この子の世界はどう見えているのか」を想像することから始める。


その一歩が、関わり方を変えていきます。

行き詰まるのは、力が足りないからではありません。
一人で見える範囲には限界があります。

助けを求めることは逃げではなく、
チームで子どもを支えるための大切な力です。


この回が、あなたの「どうしよう」に少しでも寄り添えたら嬉しいです。


———


保育は好き。
でも、このままでいいのか分からない。

そんな気持ちがある方へ。


保育プラスでは、現場を続けながら専門性を活かせる
「もう一つの働き方」を一緒に考えています。


公式LINEに登録後、


「ポッドキャストを聞きました」と一言送ってください。
担当者より個別にご案内いたします。


感想

まだ感想はありません。最初の1件を書きましょう!

00:01
皆さん、こんにちは。なるみです。 今日は、誰もが一度は経験する、この子どうしよう、という瞬間の話をします。
長く現場にいると、本当にいろんなこと出会ってきました。 特定の行動が繰り返される子。
クラスとしてのまとまりを作るのが難しい時期。 どうが変わればいいか全くわからないと感じた子。
正直に言うと、もう無理かもしれないと思った瞬間も何度もあります。 今日は、その中から特に印象に残っている2つの経験と、そこから学んだことをお話しします。
難しいケースに直面した時、私が必ず立ち返る3つの視点も整理してお伝えします。
長くなりますが、ぜひ最後まで聞いてもらえたら嬉しいです。 まず一つ目のエピソード。
キョウリュウが大好きな男の子の話です。 その子はですね、本当に一日中キョウリュウの世界の中で生きていたんです。
歩き方も声の出し方も仕草も全部キョウリュウ。 話しかけてもキョウリュウの言葉で返ってくることもある。
保育室の中で一人だけ別の世界にいる感じがしました。 微笑ましいエピソードのように聞こえるかもしれないけど、その子は噛みつきの行動がありました。
最初、私にはその理由がわからなかった。 どうして噛むのか、何がトリガーになっているのか、タイミングもバラバラに見えました。
いろいろ試しました。 噛む前に声をかける、噛みそうな場面を予測して話す。
でもなかなかパターンが見えてこない。 何週間か悩んで、ある日ふと思ったんです。
私は今、大人の視点でこの子の行動を見ていないかって。 この子が見ている世界は、私が見ている世界と同じではないのかもしれない。
この子の目には保育室がどう見えているんだろう。
恐竜の世界で生きているこの子にとって、友達が急に近づいていることが、天敵が来たように見えているのかもしれない。
予期しない大きな音がするとき、それが恐竜の方向のように聞こえているのかもしれない。
その視点から改めて観察してみると、少しずつパターンが見えてきたんです。 こういう状況の時、
03:05
こういう感覚になった時に噛みつきが起きる。 この子にとって保育室の日常が時々、脅威として映る瞬間がある。
それが噛みつきにつながっていました。 そこから噛みつきが起きそうな状況を事前に調整し始めました。
その子が安心できる環境を先に作る。 近づき方の工夫、
空間の配置、声のかけ方、 完全になくなるまでには時間がかかりました。
でも少しずつ確実に変わっていきました。 この経験から学んだのは、行動だけを見ないということです。
気になる行動には必ずその子なりの理由がある。 でもその理由は、
大人の視点からは見えないことが多い。 だからまず、
この子の世界はどう見えているかを想像することから始める。
すると見えてくるものが変わる。 では2つ目の経験です。
これ今でも思い出すと胸がギュッとなるんですが、 担任としてクラスがなかなか安定しない時期を経験したことがあります。
子供同士のトラブルが絶えない。 クラスとしてのまとまりが全くない状態でした。
毎日が戦場でした。 何かをしようとするたびに崩れる。
一人をフォローしている間に別の場所でトラブルが起きる。 先生先生という声が重なって、
自分がどこにいれば一番いいのかもわからない日もありました。 正直、
もう無理かもしれないと思った瞬間が何度もありました。 最初の頃、
帰り道に涙が出たことがあります。 こんなはずじゃなかった。
じゃなくて、 何をどうすればいいのかわからないという
途方にくれた感じです。 そこで私がしたことは、
解決しようとすることを一旦やめたんです。 解決しようとするから、焦る。
焦るから子供に伝わる。 子供に伝わるから、時計に不安定になる。
悪循環でした。 一旦解決するという目標を横に置いて、
06:04
まず一人一人の子供の気持ちを理解することだけに集中しました。 この子は今どんな状態か、
何を感じているのか、 何を求めているのか、
人数も多くて、全員に向き合うのは難しいけれど、
一人一人を理解しようとする姿だけはやめなかった。 そして保護者の方々に正直に話しました。
状況を隠すのではなく、今こういう状況です。 私一人では見えていないことも多いです。
一緒に子供たちのことを考えてほしいと、最初は警戒されることもありました。
保護者からすれば、担任からうまくいってませんと言われるのは不安ですよね。
でも、先生が正直に話してくれているという信頼が少しずつ生まれていきました。
保護者の方が協力してくれるようになると、家庭と縁の連携が生まれる。
子供たちの状態が少しずつ変わっていく。 すぐには変わりません。
時間をかけて少しずつ、クラスが落ち着いていきました。
年度末に子供たちが笑顔で旅で会って行った時、本当に泣きそうになりました。
というか大泣きでした。私も保護者の方々も。
この経験から学んだのは2つ。
どんな状況でも子供を理解しようとし続けること。
一人で抱えず周りと連携すること。
この2つがどんな困難な時期でも支えてくれる柱だということでした。
ここまで2つの経験をお話ししました。
共通しているのは、どちらも最初に正解が見えなかったということです。
でもそこで立ち返ることができる視点がありました。
整理すると3つです。
1、行動ではなくその子の世界を見る。
どんな気になる行動にも理由がある。
その理由は大人からは見えないことが多い。
この子の目でこの場面で見たらどう見えるかを問い直すことが入り口。
1、なぜこの行動が出るのかだけを見ていた段階では見えなかったものが、
09:06
この子の世界ではどう見えているのかに視点を移した瞬間に見え始める。
2、パターンを探す。
また起きたじゃなくて、いつどんな状況で起きるかを観察する。
毎回また起きたという反応だと感情が先に立って冷静に観察できなくなる。
いつ起きるか、どんな場面で起きるか、前後に何があるか、記録する感覚で見ると必ずパターンが見えてくる。
パターンが分かると予防ができる。
予防ができると関わりに余裕が生まれる。
3、一人で抱えない。チームで子どもを支える。
どんなに経験を積んでも一人では見えないことがある。
保護者、同僚、主任、専門家、適切な人を巻き込むことは逃げじゃない。
むしろ子どものためになる判断。
保護者に正直に話したことが解決の糸口になったように助けを求めること、正直に現状を共有することが信頼を生むこともあります。
この3つをポケットに入れておくだけで、この子どうしようという瞬間の怖さから少し柔らぐと思っています。
ではもう少し深いところの話をします。
問題行動という言葉自体、私はあんまり好きじゃないんです。
その子にとっては問題行動じゃない。
その子なりの必死のコミュニケーションであることが多い。
言葉でうまく伝えられないから、体で伝えているだけかもしれない。
乱暴に見える行動だって、自分が怖いから先に反応しているだけかもしれない。
何でこんなことするの?という問いを立てると、原因をその子の問題に帰着させてしまう。
この子は今何を伝えようとしているのか?という問いを立てると、その子のコミュニケーションとして受け取れる。
この問い立ての違いが関わり方を大きく変えます。
12:03
長く現場にいて思うのは難しいと感じたほど、実は深いところにすごい力を持っていることが多かったなということです。
その力が周囲との関係の中でうまく機能していないだけで、別の形で生き出せるとすごい輝きを見せてくれる。
だから私は、この子の問題は何か?ではなく、この子の力はどこにあるかを探すことを大切にしてきました。
これも正直に話します。
どんなに変えようとしても、もう分からない。どうしたらいいか分からない。という状態になることがあります。
そういう時に大切にしてほしいことが一つあります。
自分を責めないでください。
私の力が足りないから、私がもっとうまくやれれば、と思いがちだけど、一人の保育士が見えることには限界があります。
行き詰まった時、一番救われるのは、一人で抱えなくていいという言葉をもらえることだと、私は経験から思っています。
その言葉で肩の荷が少し降りる。
降りたことで、冷静に子どもたちを見る余裕が少し生まれる。
行き詰まっているなら、それは助けを求めるタイミングです。
弱さじゃない。保育士は一人じゃない。
チームで子どもを支えるという感覚を、もっと大切にしていいと思っています。
今日も長い話でした。聞いてくださってありがとうございます。
この子どうしようという瞬間は、きっとこれからも来る。
長く現場にいても、それは変わりません。
その時に、今日の話の中の何か一つでも、思い出してもらえたら嬉しいです。
次回は、絶対に感情的に怒らないと言われる私が、心の中でやっていることをお話しします。
またお話ししましょう。なるみでした。
14:41

コメント

スクロール