王室図書館の発見
茶話 ススキダ・キュウキン
悪戯
英国のウィンゾル王宮の王室図書館に、毎月の雑誌が取りそろえてある雑誌棚がある。
その雑誌棚の上に、現代の名高い人たちの写真帳がいくつか乗っかっている。
写真帳は、その人たちの職業によってそれぞれ別になっている。
今の英国王太子がまだ幼かった頃、
ある日、その雑誌棚の前へ来て、多くの写真帳の中から、各国民厳守帳というものを引っ張り出して、じっと見ていた。
それには、胸いっぱいピカピカする勲章を下げている人が多かった。
中に、ただ一人、地味なフロックコートを着て、にがり切った顔をしている男があった。
王太子はそれを見ると、後ろを振り返った。
後ろには、父気味のジョージ陛下が立っておられた。
お父様、これ、どなたなの?
それは、アメリカの大統領、ルーズベルト氏だ。
王太子は可愛らしい指先で、ルーズベルト氏の鼻の上を押さえた。
気難しあの大統領は、くさみをしそうな顔になった。
お父様、この人、利口者なの?それともバカ?
そうだな、とジョージ陛下はにこにこ笑って。
ルーズベルト氏は、なかなか偉い方だよ。
まあ、天才とでもいう方だろうって。
それから四、五日経って、ジョージ陛下が何か見たいことがあって、
その各国民原子帳を開けてみると、ルーズベルト氏の写真だけ取り外されて見えない。
おかしいな。
といい、何気なくそばにあった現代人物帳を取り上げてみると、
その第一ページ目に、亡くなったルーズベルト氏の写真が挟んであった。
陛下は王太子を召された。
この写真を写したのは、お前さんかい?
私よ。
何か訳があったのかい?
だって、お父様、この間お話になったじゃないの。
と王太子は自慢そうに言った。
ルーズベルトさんは天才だって。
だから私、原子帳から引っこ抜いて、人物帳の方へ入れたのよ。
それが悪くって?
悪かったら、観忍してちょうだい。