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2025-11-10 02:39

#220【青空文庫】マロニエの花

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岡本かの子「マロニエの花」

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Okamoto Kanoko titileːhorse chestnut flower

サマリー

青年画家はマロニエの花に憧れ、イギリスでの生活の中で恋愛を体験しています。

青年画家の夢と現実
マロニエの花 岡本 花子
父親が英国好きの銀行家であるために、初めの一年間は是非ともロンドンに住み、それから後は目的のパリ留学に向かわせてもらえる約束を持った青年画家があった。
いやいや、住んでるものだから、いつもロンドンからパリに行くことを憧れていた。
その画家はパリに憧れるのに、よくこういう言葉を使った。
おう、マロニエの花よ。その花の咲く頃、その花の下で純なパリ娘と恋をするのだと楽しんでいた。
イギリスの初夏。公園や街道の柿のうちに、葉は多様で、ろうそくを立てたような白い花が咲く木を見受ける。
英人はホースナッツツリーと言っている。
青年画家の下宿している部屋の窓にも、このホースナッツツリーが白いろうそくを差し出していた。
青年は舌打ちして、なんて野暮な花だろう。イギリスそのものだ、と言っていた。
そう言いながら、青年はその花の下で、そこの家の娘と恋をしてしまった。
しかも、パリの恋への憧れは捨てずに、イギリスの娘はごつごつしていて、と草していた。
一年は来た。青年の下宿屋の娘との別れは相当つらかったらしい。
恋の別れと再会
だが先を楽しみに青年は振り切るようにして、ドーバー海峡を渡った。
再び初夏が来た。パリの青年から、その頃イギリスにいた私に手紙が来た。
マダム、パリのマロニエはそちらのホースナッツのことですとさ。
馬鹿にしている。僕は一生の夢を破られました。
パリ娘を見ても何の環境も起こりません。
それから間もなく青年は再びロンドンへ帰ってきた。
そして野暮なホースナッツの咲く窓の内の、ごつごつしたイギリス娘の元へ落ち着いた。
02:39

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