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2022-04-11 02:30

#33【青空文庫】かぶらずし

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中谷宇吉郎「かぶらずし」

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Nakaya Ukichiro title:KABURAZUSHI

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かぶら寿司 中谷うきちろう
金沢の郷土の漬物に、かぶら寿司というものがある。 大きいかぶらを厚さ1センチくらいに切り、中に切り目を入れてその中に塩ぶりを挟む。
それを重しを強くして麹で漬けたもので、 非常にうまい漬物である。
北陸地方では寿司といえば大抵押し寿司であって、 江戸風の握り寿司は近年になって入ってきたものである。
普通は米の上にマスや鯖あるいはイワシを乗せて押したものであるが、 米の代わりにかぶらを使ったものもやはり寿司といったらしい。
このかぶら寿司はこの頃では市販品になっているが、 昔はみな自分の家で漬けたものである。
魚を発酵させるので漬け方と時期との微妙な差で味がひどく違う。 一つうまくいくとまさに天下の美味となる。
百万石の城下町にいかにもふさわしい漬物であって、 それぞれ自分の家のかぶら寿司を自慢にしたものである。
こういう寿司がいつ頃からあったものかわからないが、 馬匠の猿見野にどうもこれではないかと思われるものが顔を出している。
有名なアクオ家のレンクに、 巨大のまたも大事の寿司を取り出すという句がある。
安井の嘘つきに自慢言い馳せて遊ぶ乱に漬けたもので、 この寿司はかぶら寿司またはそれに類似したものではないかと思う。
露藩先生の表釈では船の寿司か沢の寿司となっているが、 またもと大事のが相当長期間の保存を意味するように見える。
そうするとかぶら寿司の方がぴったりする。 昔寺田先生にこの話をしたら、
そうかもしれんなぁと言っておられた。 先生もかぶら寿司が好きであった。
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