1. 74才 薬膳&料理研究家
  2. #33 発酵飲料 甘酒
2023-04-25 08:27

#33 発酵飲料 甘酒

江戸の健康食 (著者 小泉武夫)の中から
甘酒を取り上げ、音声を収録しました。
最近は甘酒を使ったいろいろな飲料がありますが、シンプルに甘酒それだけで充分な栄養ドリンクだと思います。
薬膳から見た甘酒の効能(米麹の甘酒)
疲労、冷え、消化不良、臭いおなら、
便秘

#守貞漫稿
#東京農業大学
#山上億良
#ブドウ糖
#必須アミノ酸
#総合ビタミンドリンク剤
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こんにちは、72才 薬膳&料理研究家の木下 賀律子です。
前回、私は、私のおすすめ食材を3回にわたって収録してきました。
今回からは、しばらく1冊の本、江戸の健康食 著者 東京農業大学名誉教授 小泉武夫
この本を読みながら、江戸の人々の食の様子について音声を収録していきます。
著者の小泉氏は、前書きで、江戸期は学問、文芸、芸術などが一大発展し、
今日の日本文化の礎となった時代であり、食の文化においても、
日本人の和食を中心とする食事形態が定着した時代であると書いています。
そして江戸時代は、食材や調理法、加工法に知恵を絞って、
それを食べて病気を防ぎ、健康を維持し、そして長寿を目指したのだとも書かれています。
江戸時代、どんな食が展開されていったのでしょうか。
それでは始めていきます。
まず1から5まで項目がありますが、
今日はその1発行食の中から甘酒を取り上げます。
江戸時代後期、1853年に出た森貞満孝という本の中に、甘酒売りのことが書かれており、
江戸京阪では夏になると甘酒売りが街中に出てくる。
一杯四門なりとある。
四門というのは今でいう百円に相当します。
当時の江戸、京都、大阪では夏になると甘酒売りが街に出たということだが、
かつて私はこの部分を読んだ時、
おやおかしいな、なぜ暑い真夏に甘酒を飲むのだろう。
冬の飲み物なのに、と不思議に思った。
古くは山の上お蔵の歌などに、甘酒は冬の季後として登場する飲み物で、
つまり体を温める飲料だったはず。
しかし森貞満孝では夏の飲み物になっている。
季後辞典を開いてみたところ驚いたことに、甘酒の季後は今でも夏なのである。
いつから甘酒が夏の飲み物になったのかは知らないが、
たぶん森貞満孝が世に出た頃であろう。
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しかしどうにも不思議なことだ。
そこで森貞満孝が書かれた天保の頃の時代背景を調べてみると、
面白いことが分かった。
当時の平均寿命は約46歳。
女性はだいたい13から15歳で嫁入りしている。
平均寿命が短いのは、乳幼児の死亡率などが高かったこともあるが、
それにしても短い人生だ。
さて江戸期というとさほど大昔でもないので、
古い寺の墓碑を調べて、
当時の人々が亡くなった季節を調べることにした。
どう調べるか妙案も浮かんだ。
私のところの学生たちが夏休みなどで故郷に帰省した折に、
近くの寺に調べに行ってもらったのである。
その結果、当時は夏の7月、8月、9月に亡くなるものが
際立って多いことが分かった。
つまり、冬の寒さなら日の近くにいればしのげるが、
夏の暑さには耐えられないということ。
江戸時代の質素な食生活では体力もそう強くないし、
下水道が完備していないので、
蚊も多く、夜中まで暑さとかに悩まされ、
夏を起こすのは楽ではなかったと思われる。
こうして夏場には体力が落ち、老人や病弱者が
暑さに勝てずに数多く亡くなっていったのだろう。
そのような時期の甘酒の一杯は、
体力回復に即効性があったのだと私は考えるに至った。
というのは、煮た米に麹と湯を加えて温めておくと
甘い飲み物になる。
それが甘酒だが、分析してみると、
ぶどう糖が極めて多量で、軽く20%を起こすのである。
また、米のタンパク質も、
それを分解する麹菌の酵素によって
必須アミノ酸群に変えられ、
これも豊富に含まれていることが分かった。
さらに、特質すべきはビタミン類である。
麹菌が米の表面で繁殖するとき、
ビタミンB1、B2、B6、パントテン酸、ビオチンなど
生理作用に重要不可欠なビタミン群を作り、
これを米麹に蓄積させるために
極めて多く含まれていることが分かった。
それらの成分が甘酒に溶け出してくるのであるから、
甘酒は江戸時代の必須アミノ酸強化飲料であり、
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と同時に総合ビタミンドリンク剤でもあったのだ。
暑さの厳しい時、消耗した体に
この甘酒の一杯がいかに有益であったことか、
おそらく劇的なほどの功能だったに違いない。
金持ちならば、夏バテだといって
うなぎを食べたかもしれないが、
庶民はそうはいかない。
街中に甘酒という総合健康ドリンク剤を
売り歩く者がいて、
それが庶民の手に届く4問で1杯飲めるのだから、
これは誠に都合がいい。
こうして甘酒は夏は手に利くと、
塩書の季節に頻繁に飲まれるようになり、
甘酒売りが夏の風物詩となって、
季後としても夏に移ったのではあるまいか。
とにかく江戸の人たちの生活は、
現代のように何もかも手に入る時代とは違い、
絶えず工夫が必要であり、
またそういう環境では、
生きるための知恵がさまざまに編み出されるものなのだ。
今日私たちが病院に入院し、
口から物を食べられないとなると、
点滴をされる。
栄養補給のために腕の血管から
ブドウ糖液、必須アミノ酸類、
ビタミン類などの養液が送り込まれるわけだ。
しかし考えてみれば、
それは甘酒そのものだから強端する。
発酵を得た持養食品の奇跡が、
江戸の昔の生活のこんなところに見られるのである。
以上。
これを読み、私も体力が弱っていた時に、
季節問わず甘酒をよく飲んだことを思い出しました。
今日は、ブドウ糖はじめビタミン類、
必須アミノ酸がたっぷりの総合ドリンク剤、
甘酒について音声を収録しました。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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