1. 74才 薬膳&料理研究家
  2. #74そら豆 ルーツは地中海沿岸
2024-05-15 08:50

#74そら豆 ルーツは地中海沿岸


知人から新鮮なそら豆を頂き、そら豆とエビのかき揚げやリゾットなどいろいろ楽しませて頂いております。
今日は、そら豆のルーツや地中海沿岸出身の人々には、そら豆アレルギーの体質を持つ方もいますと言うお話です。
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みなさま、こんにちは。74才薬膳&料理研究家の木下賀律子です。
今日は、そら豆のお話です。
野菜研究家の吉田義子さんによると、
もともと、そら豆は地中海沿岸から中近東の原産だそうです。
ヨーロッパの暖かい地方を含むこの地域では、最も大切な作物の一つで、
種類も多く、長いさやを食べる品種もありますし、豆そのものを生で食べるところもあります。
日本ですと、初夏の塩茹でのほか、吹き豆とか、おたふく豆などにして食べるのですが、
それほど目立つ豆ではありません。
昔は、水田の浦作としてよく作られていましたし、
小豆の代わりに、あんとしても使われていました。
そのそら豆は、今、世界中で栽培されていて、
本来、気象条件が向いていないと思われる熱帯地方でも、涼しい高地で作られています。
そして、大豆、インゲン豆に次いで、3番目にランクされる大事な豆になりました。
そういえば、中国で有名な豆板醤ですね。
豆板醤の原料は、そら豆です。
中国では、暑い季節に作ります。
干した豆を水につけて柔らかくなったら、皮をむいてかごに入れ、
かぼちゃの葉をかぶせて1週間ほどすると、一面に青いカビが生えてきます。
これに塩、花椒、中国山椒、唐辛子などを加えてよく混ぜ、
壺に詰めて、一夏発酵させると豆板醤ができるのです。
これは、いわば唐辛子豆味噌なんですけれども、
日本の豆味噌は、大豆が煮てあるのに対して、
中国の豆板醤は、生のままそら豆が発酵したものです。
そら豆の野生としての歴史は古く、
紀元前1世紀のローマの博物学者プリニウスによりますと、
地中海沿岸には、その頃、野生のそら豆が生えていたそうです。
ただし、硬くて食べられるものではなかったようです。
また、エジプトにあるものなどは、鋭いトゲがあって、
ワニでさえ、目を傷つけるのを恐れて近寄らなかったということなんですね。
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しかし、そら豆の歴史の古さは、そんなものではありません。
紀元前2500年と言いますから、
今から考えると、4500年も前の聖堂紀時代の遺跡と言われる、
スイスの湖の上の住居、古城住居跡から発掘されています。
古代ギリシャ、ローマ、ヘブライ、そしてエジプトでは、
そら豆は大切な食料でした。
ですけれども、一方で、そら豆は人間の五感を鈍らせ、
不眠症の原因になるとして、敬遠されることもあったようです。
そればかりか、そら豆には死んだ人の魂が宿っているとも言われていたため、
死者の水と水前供養にも使われました。
紀元前5世紀頃のエジプトでは、神の使い神官がこのそら豆をけぎらいしたので、
誰もそら豆を栽培せず、自然に生えているものも見てみぬふりをしていたとか、
当時のギリシャの歴史家ヘロドトスが書いています。
なぜ神官が嫌ったのかというと、
それが庶民の安い食べ物である上、死者の魂が宿っていて不吉であるということのようですが、
実はそれだけでなく、その神官がそら豆アレルギーだったのだろうと言われています。
そら豆アレルギーとは、ほとんど縁のない日本人には聞きなれない病名ですけれども、
地中海周辺に住む人、スペイン人やイタリア人、ギリシャ人、アルメニア人、ユダヤ人にだけ出る病気です。
アラブ人も無関係です。
そら豆を生で食べたり、花粉を吸い込んだりすると発病し、
アレルギーはまだ固定されていませんけれども、
溶血性の貧血、ヘモグロビン尿症、横断を起こし、高熱が出ます。
子どもだと死亡することもある怖い病気で、大人でも回復に4週間もかかりますから、重い病気と言えます。
私たち日本人には縁のない病気なんですけれども、
日本にはそら豆アレルギーがあり、以前、学校給食のそら豆を食べて発熱の結果、小学生が死亡したことがありました。
エジプトの料理でファラフェルというのがあるんですけれども、
これは熟したそら豆を水につけて柔らかくしてから砕き、各種の野菜、香辛料を混ぜて丸めて揚げて、
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アイシという平たいポケットパンに挟んでサンドイッチにしたものなんですね。
いわば豆のハンバーガーです。
これがアメリカで健康食としてブームになっていますけれども、原料の豆はそら豆ではなくひよこ豆で代用されているとのことです。
というのはアメリカには地中海の出身者が結構いる。
つまりファビズムというこういった遺伝子を持った人なんですね。
そういった方が病気を発症するんですけれども、
ファビズムの患者も相当いますからそら豆は使えないということで、
オーストラリアの食卓でもベジパテというファラフェル風のものがありますけれども、
やはりひよこ豆に各種のナッツや野菜を混ぜて作っているそうです。
そら豆アレルギーの可能性のある人にはそら豆料理はもちろん豆板醤も出さない方が安全です。
かの有名なギリシャの哲学者ピタゴラスも弟子たちにはそら豆を食べることは禁じていたようです。
ひょっとしたらピタゴラスもそら豆のアレルギーだったかもしれません。
それではそら豆の薬膳データを見てみましょう。
誤性は平成、誤味は甘味です。
人胃の働きを高め胃に溜まった湿気を取る作用があるそら豆、
食欲不振や胃もたれを解消したり、むくみを取る働きがあります。
また栄養学的には体の組織をつくるタンパク質をはじめ鉄などのミネラルが豊富なため、
貧血予防や疲労回復に有効です。
お料理ではスープの浮き身またエビとそら豆の炒め物やかき揚げもおいしいですね。
私はキャベツとそら豆、ベーコンのリゾットを作ってみました。
最近はキュウリでもトマトでも年中売られていて野菜の季節感が薄れてきました。
でもそら豆だけは季節感を感じます。
これが出回ると初夏の爽やかさを感じます。
今日も最後までお聞きいただきありがとうございました。
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