雨の朝、中島は畑へ出た。娘が胃腸炎で、体調が心配だったが、それでも長靴を履いた。
路地のセダムが、親指ほどの芽を出していた。冬を越えたというより、冬をやり過ごした、という顔をしていた。株間の整理を続けている。2条の千鳥植えを、1条へ。隣の株とぶつかり、真ん中が蒸れる——その問題を、少しずつ解いていく。33メートルの畝に100株。防草シートで左右を挟んで、セダムだけがぎゅうぎゅうと列をなす畑を、まだ頭の中で育てている。
ハウスの間に、水仙が顔を出していた。去年の秋、前職の友人・こまっちゃんが3日間泊まりにきて、その宿代と飯代のかわりに植えてくれたものだ。前の家主の母が残した球根。
畑の端に、ラムズイヤーがいた。移植の際に捨てたはずの、ボロボロの株だった。土に埋まったまま、根を張っていた。捨てられたものが、生き残っていた。
1人で喋り続けていると、心が揺れる。大きくなったり、定まらなくなったりする。その揺れを測るために、山ログはある——と、寒さで指が痛くなりながら、中島は思った。
感想
まだ感想はありません。最初の1件を書きましょう!
サマリー
雨の日の朝、娘の体調を心配しながらも畑に向かった中島さん。冬を越したセダムの株間整理や、捨てたはずのラムズイヤーが生き残っていたことに触れ、心の揺れを測るために山ログを撮っていると語る。前職の同僚が植えてくれた水仙や、前の家主の母が残した球根の話も交えつつ、一人で話すことの心の揺れを記録する山ログの意義を再確認する。
コメント
似ているエピソード
タイトル・AI要約・文字起こしの話題をもとにおすすめしています。
-
園主は疲れている
ハナボウズの山ログ
お盆前の出荷作業が迫る中、体調を崩した家族の代わりに一人で作業を行う園主の記録。ヘレニウム、セダム、ソリダゴ・ファイアワ...
-
山に残る民話
ハナボウズの山ログ
語り手は、偶然見つけたインパクトドライバーの持ち主である山本茂さんを訪ね、六合地区に伝わる未書籍化の民話について話を聞く...
-
道が封鎖された日
ハナボウズの山ログ
中島は、大雨で畑への道が封鎖されたため、自宅前から録音を開始した。当初の予定は変更されたが、産地見学会向けの資料作成など...
-
長雨、最近のできごと
ハナボウズの山ログ
雨が続く中、話し手は自身の気分が落ち込んでいることを語る。YouTube VLOGの撮影や産地見学会の中止、市場での他産地の花のレベ...
-
#1137 田園風景
マゴマゴラヂヲ
#レポート苦手の件 #ふと明日は振り返ってみようと思った --- 今のところは、自分語り、独り言、稀に誰かの役に立つかもしれない...
-
第22回 雨ニモマケズ 朗読
マゴマゴラヂヲ
小学校の頃から好きだった、宮澤賢治の代表作とひとつを読んでみました。大好きな詩なのに、噛んでおりますm(_ _)m #雨ニモマケ...
-
80砂沼の桜の木が一本倒れていて
みやほんや
ランニング中に砂沼で倒れた木を発見し、その対処に悩む様子が語られます。多忙な仕事と個人的な予定を優先し、倒木の対応を後回...
-
blog|30 Nov.2024
はなし処
#blog #下書きblog下書きのボイスドラフトから毎日のブログつぶやきを作成。「こえと言葉のブログ」はこちらこえと言葉のブログ...