五月二十六日、九時二十四分。空の九割を雲が覆い、雨上がりの温みだけが残る朝。出荷の箱詰めを終えて、切り終えたばかりのアルケミラのハウスへ。乾いた土にかん水をして、石のベンチに腰を下ろす。気分は、五段階のうち三。
露地でいちばん美しいのは、いまはチョウジソウ。球根の花たちが去ったあと、咲き進みの遅い青を拾うように昨日百本を切った。少し遅いかと思いながら、今日それを出荷してみる。寺田さんから譲り受けたオニスゲは、畑の山側に置いておいたら思いがけず花を付けてくれた。Yのハウスでは、二週間前に播いたキキョウの種がちらほらと顔を出しはじめている。
けれど朝の声が何度も立ち戻るのは、やはり草のことだ。四月にはあれほど整っていた畑が、雨と温みに乗じて一変する。草と戦うのではなく、作物がぎりぎり切れるところまで草を抑える——勝つことではなく、均衡を保つこと。
方針は今日もまた揺れる。アストランティアは一気に咲いて手が回らないから、Yの四分の一をアルケミラに変えようか。コロコロ変わる、と笑いながら、そのつど手と市場を見て決めていく。五年目の畑の、これが正直なところなのだろう。
・カッコウ……出だしから語りの合間にかけて、二音節のさえずりが遠くからクリアに。五月に飛来する夏鳥で、この標高・この季節にちょうど活発になる。
・ウグイス……中盤から後半、少し離れた山林からホーホケキョと、谷渡りの鋭い声。繁殖の最盛期にあたる。
・シジュウカラなどのカラ類……ツツピー、チッチッという高い声が、ハウスのすぐ近くから間欠的に。営巣・育雛期で、親鳥が餌を探して農地まで来ている。
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