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2026-01-06 03:30

白線渡り/ハリネズミ文庫

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白線渡り


作:ハリネズミ文庫@hariharibook 様

BGM:魔王魂


https://x.com/hariharibook/status/1857075457134415913?s=46&t=63z_TUXdJxoQvBp-LsRI6g


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#フリー台本

#ハリネズミ文庫


【活動まとめ】 https://lit.link/azekura

サマリー

大人になることで失われた夢中になれる瞬間を思い出し、白線の上を渡ることで子供の頃の無邪気さを取り戻そうとする心の葛藤が描かれています。

子供時代の思い出
仕事の疲れが全身にまとわりつく。 帰り道、ただ家に帰ることだけを考えながら足を運んでいた俺は、ふと、歩道脇の公園に目が止まった。
二人の小学生が、白線の上を渡ろうと夢中になっている。 慎重にバランスをとって進んだかと思えば、片足でふざけたり、少しふらついても構わずに笑いあったり。
そんな無邪気な姿を見ていると、何とも言えない感覚が胸の奥から湧き上がってくる。 そういえば俺もやってたっけ。
あの白線の上を落ちないように歩くのに、なぜか命を懸けているみたいに必死になってさ。 足元がふらつけばそれだけで大事件。
ふざけて渡っては、友達と転び合って笑った。 何の意味もないけれど、ただ楽しかった。
いつからだろう、こんな風に何かに夢中にならなくなったのは。 仕事に追われる日々、上司の評価、クライアントからの無理な要求。
周りと合わせるためにいつも自分を抑え込んでいる。 自分が何をやりたいのかなんて考える隙もない。
ただ大人だから、社会人だから、ってそんな理由で歯車みたいに回り続けている。
自分の気持ちを無視して理性とプライドだけで歩き続けているような毎日。 俺、一体何をしてるんだろうな。
そんな問いかけが自分に向けてどこかで溢れ出してくる。 それなのに立ち止まる勇気も、変わろうとする気力も湧かない。
だって、それが大人ってもんだろう。 俺にはもう、夢中でバランスを取りながら白線の上を渡るなんて真似、似合わない。
だけど、俺は目を反らせないまま白線をじっと見つめていた。 子供たちは楽しそうに声を上げながら走り去っていく。
彼らの笑い声が遠ざかると、ふと静けさが戻り、足元にただ一本の白線だけが伸びているのが見えた。
その白線は俺を試すように続いている。 ここを渡れるか?
おかしな気持ちだった。 でも、
足が勝手に動いた。 誰も見ていないのを確認して、
いや、誰が見ていたって構うもんか。 俺はスーツの足元を見下ろし、
一本の線の上に足を乗せた。 ゆっくり、
慎重に、 だけど、あの頃のように大胆に、
大股で一歩を踏み出してみる。
03:30

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