商標登録の特徴
海老澤美幸
みこたまファッションロー&ビジネス
ファッション業界のさらなる発展を法律で後押しする。
そんな思いから、このポッドキャストは、
アパレル経営者やデザイナーの方々に向けて、
ファッションローの専門家だからこそ分かる
法律の落とし穴や誤解を分かりやすく解説。
ファッションの法律に特化した旬なナレッジをお伝えします。
小松隼也
今回のみこたまファッションロー&ビジネスですが、
引き続き商標に関するお話を、
今回は私小松と中内弁護士と2人でお話していきたいと思います。
今回のトピックはですね、前回の商標に関する概要を踏まえて、
じゃあ実際に商標登録しやすい商標って一体どんなものなのか、
逆にですね、じゃあ商標登録しづらい商標ってのは
どういうものなのかっていうのをお話しして、
ぜひブランドの皆さんとかにはですね、
それこそブランドの名前を決めてですね、
売上が上がって海外展開しようっていうときに
ご相談に来られて、実は海外で取りづらいんですとかですね、
国内でも実は登録がしづらかったみたいな事例っていうのは
結構頻発に生じてしまっているので、
今日話したお話を踏まえて商品だったりですね、
サービスの名称を決める参考にしてもらえればいいなと思います。
じゃあまずは商標登録しやすい商標の特徴っていうところを
話していきたいと思うんですが、
中内さんこれ商標登録しやすい商標っていうのは
どういう特徴がありますかね。
中内康裕
そうですね、一般的には造語とか独自に考えたフレーズとかですね、
そういった商標の方が登録しやすいっていう風に言われています。
ワーディングにしただけのブランド名だったり商標については
登録できないという風に判断されることの方が多いです。
小松隼也
これ商標が登録できない理由っていうのは、
例えばファッションに関する分野で
商標登録の難しさ
小松隼也
みんなが一般的に使うような単語とかを
自分のブランド名前として使おうとすると
それっていうのは他の人も使いたかったりとか
他の商品と区別することが難しいからという形で
商標の登録基準に反してしまうという形ですかね。
中内康裕
そうですね。
一般的な名称を誰か一人の人に独占させてしまうと
当然ながら他にその一般的な名称を使いたい人が困ってしまう
というのはもちろん一つありますし、
一般的な名称だとその名称とかブランドネームを見た時に
消費者の人がそれはどこのブランドなのかというのが判断できないので
基本的にこういった商標は登録できないという風に
商標法で定められています。
小松隼也
なるほどですね。
例えば逆を話した方が分かりやすいかもしれないんだけど
例えば服だとちょっとあれなんですけど
食品とかの、じゃあ例えばピザ屋さんをこれから始めたいっていう人が
シンプルな名前でキャッチーな名前にしたいという形で
例えばじゃあベストピザみたいな名前のブランドをやりたいんです
っていう風に相談に来た場合って商標って取れるんですかね。
中内康裕
そうです登録難しいと思います。
判断っていうのはもちろんワード単体で見た時に一般的な名称か
例えば今回ベストピザだとベストっていうのは単純に
それが良いっていう意味の最高っていう意味の単なる形容詞ですし
ピザも普通の名称なので一般的な名称として登録されない
っていう風に判断される可能性が高いと思います。
特に単純にワーディングだけで見ることも大事なんですけれども
その商標を何に使いたいかっていういわゆる区分とか
類とかいう風な言い方をしますけれども
そういった指定商品とか指定勤務との関係で
そのワードが一般的かどうかっていうのも判断のポイントの一つになります。
小松隼也
なるほどですね。
例えばそのベストピザっていうのはまさにその食品を販売したりとか
まさにデリバリーサービスとか
そういうところでベストピザって使うと
それだと他のピザ屋さんピザって使えなくなっちゃうよみたいな形で
ピザっていう名前だけだと商標登録して独占するっていうのは難しいし
区別もできないから登録できないよねって話だと思うんだけど
例えばベストピザっていう名前のファッションブランドを作ろうと思って
ベストピザをその食品とは関係ないところで使おうとしたらどうなるんですか?
中内康裕
そうですね。服との関係で言うと
別にファッションブランドとしてピザという名称を使うことは
全然一般的ではないと思うので
服とかファッションブランドの関連の商品を指定して
ベストピザとした場合には
商標登録できる可能性は高いのかなというふうに思います。
まさにピザでベストピザって使われても
それって結局、例えば広告とかホームページにベストピザって載ってたとしても
ピザを売っている主体というか出所を表示しているのかどうかわからないと言いますか
単に自分が売っているピザがすごい美味しいピザっていう風に
意味でフレーズとして使っているだけなのか
はたまたブランド名として使っているのか
まさにピザとの関係では出所がわからないっていう風な判断になっちゃうので
そういう意味でベストピザだと登録は難しいっていう風な話になってくると思います。
小松隼也
なるほどですね。名称と区分の組み合わせによっては
いわゆる一般的かもしれないけど
その区分で使われるのが普通じゃなければ登録できるって話で
具体的にアップルとかはそういう例ですかね。
中内康裕
そうですね。この話をするときによく上がる例で
まさにリンゴを指定商品というか
商標を使いたい商品としてリンゴを指定したときに
アップルという商標を登録しようと思っても
それは単純にリンゴを英訳しただけなので
誰の出書なのかっていうのがわからないので
登録は難しいと思いますが
当時というか今もそうですけれども
コンピューターとか電子機器についてアップルっていうことは
普通ないというかないので
当時は新しいというか識別できるという意味で
アップルっていう商標が登録されたのだと思います。
小松隼也
結構そういう有名なサービスとか
ブランドとかの名前っていうのが
今だと聞き慣れちゃったから一般名称っぽいけど
当時の考えからいくとすごい独自的で
識別力が高かったっていうのは結構いっぱいあると思うんですよね。
中内康裕
そうですね。
小松隼也
なんかその他のアップルが有名な例だと思うんですけど
ナイキとかっていうのも
これってナイキのブランドの名称としては
ギリシャ神話のニケの女神から来てると思うんだけど
それをファッションだったりスポーツで使うっていうのは
当時からしたら全然一般的でもないし
独自的だったから
商標戦略と造語
小松隼也
商標登録できてるっていうことだと思うんだけど
そういうのっていくつかありますかね。
中内康裕
そうですね。
Amazonっていうワードはあると思うんですけれども
Amazonをまさにネットの通販っていうような
商品に対して使うっていう意味では
独自性というか識別力があるという意味で
Amazonの商標が登録されていたりすると思います。
他にも造語の例としては
例えばGoogleっていう商標は
今ウェブ検索のエンジンとして有名で
Googleって普通名称っぽくもう我々使ってますけれども
もともとはグーゴルですね。
グーゴルっていう英語で十の百乗を意味した言葉を
文字ったというかそういった由来があったり
Starbucksっていう商標ももともとは小説に出てくる
同好会誌とかから取られたようですけれども
そういった全然関係のない造語とか
もともと何かにあるような名称とかを
例えばコーヒーに使うとか
そういった形で商標を選択すると
独自性があったり識別力があったりしてですね
より登録しやすくなると思います。
小松隼也
今の話の中で2つのパターンがあるかなと思うんだけど
1つはAppleみたいなStarbucksとかみたいな形で
全く商品やサービスに関係ない名称を持ってきて使う
っていう方法と全く新しい造語を使うっていう方法
2つあると思っていて
GoogleとかAppleが商標登録した時っていうのは
まだ全然その商標が
会社の数っていうのが今と全然違うと思うので
登録できたんだろうなって思うんですけど
結構最近は商標ってずっと更新していけば
登録し続けられるので
会社がどんどんどんどん新しく増えていって
商標登録できるものっていうのは
どんどん世界的に少なくなっていると思うんですけど
商標の枯渇とかいう風に言われていると思うので
結構他のサービスとか商品と関係ないところから持ってきても
他の会社が実はすでに登録してしまっている
しかも日本で誰も使っていなかったとしても
アメリカでは使っていて
アメリカで使えないみたいなことがあると思うんですよね
そういう時にお勧めなのはやっぱり造語を作ることかな
という風に思うんですけど
例えば造語としてある名称として
例えばSkypeとかNetflixとかTwitterっていうのは
ちょっと元々あった文字を合体させたりとか
少し文字ったりして新しい文字を作っていると思うんですけど
そういう造語の名前を作って登録するっていうのは
今一番お勧めの方かなと思うんですけど
この辺りどうですかね
中内康裕
そうですね まさにその通りで
商標の枯渇って特にアメリカを中心に結構話題になっているというか
問題になっていて
日本の商標でも例えば電子系の商標にE〜とか
最初にE エレクトロニックのEを付けて商標にするとか
最近サステナブルなんでエコ〜みたいな形で
商標を作る例は増えているんですけれども
どんどんそういった形で使えるワーディングっていうのは減っているのは
かなり問題にはなっているので
そういう意味では造語を作るっていうのはいいと思いますし
まさにそのNikeの例でいうと
NFTのスニーカーブランドのアーティファクトとかは
単純なアルファベットの綴りで
アーティファクトっていう風な商標にするんではなくて
RTFKTみたいな形で
その音を文字って商標として登録する
こういった造語の作り方も一つあると思うので
そういった形で造語を考える
なかなか難しいと思うんですけれども
使いやすくなる例としてはやはり造語
商標として登録するという方法が一つあると思います
小松隼也
この造語を作る時も
できれば若干複雑な方が海外展開
特にグローバル展開したいって考えている商品やサービスの場合には
結構世界的に同じように考えている人たちがいたりとか
商標戦略っていうのは海外では結構メジャーな発想だと思うので
意外に他の国で造語にしたつもりだったのに
かぶっちゃったみたいなことがあるので
シンプルな一単語 TwitterとかNetflixとか
これぐらいのシンプルな造語だった場合には
特にメインターゲットとしたい国とかに関しては
商標の事前調査っていうのをかけた方がいいかなと思うので
ポイントとしては商品や区分に関しての一般的な名称は
登録できませんよっていうところと
造語にしたとしてもちょっと短い場合には
他の国で既に登録されているかもしれないので
事前調査をお勧めしますっていうところかなと思うんですけど
もう一個ちょっと複雑にすれば
登録しやすいですよねっていうことで
商標登録のリスクと注意点
小松隼也
結構長い商品名だったりサービス名を
相談されることもあると思うんですけど
例えばうちの事務所のMiKoTamaっていうような
名称のファッションブランドとかを作ろうとして
やろうとしたんだけどMiKoTamaだけだと
他の人がもう登録してしまっている
もしくは海外で
海外でMiKoTamaってあんまないかもしれないけど
そういうシンプルな名前だけだと
被ってしまうかもしれないから
じゃあMiKoTama by Junya Komatsuとかですね
ちょっとこういう長い名称で登録しようとすると
登録はしやすいんですよね
ただこれって登録はしやすいけど
じゃあ元々商標を登録する目的の
他の人がフリーライドしてこないように
守るっていう観点とか
そこから考えると
リスクがあったりするかなと思うんですけど
その辺りってどうでしょうか
中内康裕
そうですね
自分の権利を持って実際に止められるとか
フリーライドしてくる人をしないように
私の持っている商標を使わないでって言えるときの
判断の基準っていうのは
自分が持っている商標と全く一緒か
もしくは似ているかどうかっていうのが
判断のポイントになるんですけれども
自分の商標が長くなればなるほど
例えばMiKoTama by
Junya Komatsuだった場合には
単純にMiKoTamaって使ってる人が出てきたときに
この2つの商標を比べて
いえいえ似てないよっていう
MiKoTama by JunyaKomatsuの場合は長いし
JunyaKomatsuの部分にも特徴があるんで
単なるMiKoTamaっていう商標とは似てないよっていう風な
判断がされて
結局止められないっていうような
リスクも生じてくるのではないかなという風に思います
小松隼也
結構これが商標登録っていうことが
頭にあると陥りやすいリスクかなと思っていて
結構うちに相談してくれる方でも
商標登録1回これ
短い名前で提出したんだけど
特許帳から登録できませんって言われたので
少し付け足して長くして登録しましたって言って
そのうちの一部を使ってるような
別のブランドが出てきて
これって止められるんですよねって相談されても
もともと登録が長いから
その短い部分だけでは
止めることができませんってことになってしまうことも
結構あるので
海外展開における商標登録
小松隼也
やっぱりここはすごい注意が必要な部分だな
という風に思っていて
ちょっとこの先の商標の
防御力というかですね
ちゃんと侵害に対して対応できるかどうかの
バランスをとって考えていくっていうところが
必要かなという風に思っているところです
あとはその点もだし
海外っていうところをやっぱり
意識する必要があるっていうところで
よく多いのが
日本ではあまり一般的じゃないんだけど
海外では一般名称ってことがたまにあると思うんですよね
この相談もすごい多いイメージで
ちょっと造語っぽく聞こえるんだけど
実は海外の使われている単語なんです
っていう時とかに
その国 ヨーロッパとかそういう国の
実はこの読み方はこういう意味なんです
っていうのが実は一般名称だったりして
ヨーロッパで否定されてしまったりとか
なんかいい例がファッションブランドの
ベトモンかなという風に思っていて
ベトモンって多分日本人が聞いたら
全然何のことかよくわからないじゃないですか
だから全然造語っぽくて
ファッションブランドの名所としては良さそうなんだけど
ベトモンってこれフランス語では
服っていう意味でしたっけ
中内康裕
そうですね
小松隼也
これだからフランスとかで
ベトモンってじゃあ普通に今から
ベトモンっていうブランドを作って登録しようとしても
多分服を服で
独占するのは難しいという判断になるんです
発想じゃないところで
この名称ってその
ある国においてはネガティブなイメージが
あったりとかっていうブランディング面から
事前に調査したりとか
気をつけるっていう発想を持たれている方は
結構多いとは思うんですけど
商標的観点からも登録しづらさがある
っていうところをちょっと今後
一つ頭に入れてもらうといいのかなという風には思います
中内康裕
そうですね
せっかく労力と時間のコストをかけて
いいネーミングを思い浮かんで
思いついてみんなでこれにしようってなっても
登録できないってなるとまた
一からになっちゃうので
そういう意味では早めに
商標登録できるかっていう風な観点から
ネーミングをブランド名を
考えていただくのがいいのかなという風に思ってます
商標登録を検討する際のポイント
小松隼也
そうですよね結構
コストの点があって海外も全部登録しようとすると
高いから
まずは日本中国
韓国とかアジアから登録して
売れてきて余裕ができたら
ヨーロッパアメリカでも登録したい
っていう人はすごく多いとは思うんだけど
海外で登録しようとして特にやっぱ
アメリカっていうのは商標
中国もか商標がどんどんどんどん減ってきてしまっている
登録できるのが
いざ登録しようとしたら登録できなくて
現地のセレクトショップとかから
商標侵害の
リスクがあるから
取り扱いすることができません
みたいなこと言われちゃって
じゃあちょっと名称を変えようかと思うんだけど
やっぱりちょっとこう今のブランドの
名前をあんまり変えたくないから
デザイナーの名前をくっつけるぐらいでいいですか
みたいな相談すごく多いとは思うんだけど
それだけだけどちょっと
識別力というか
すでにあるブランドのセカンドラインっぽく
見えてしまったりとかで
ちょっともう大元の名前自体
この国では変えてもらわないといけないですね
みたいな相談って本当に周りに続いてきてしまっているので
やっぱりこの辺り
事前に相談してもらって
グローバル展開できるところ
あとはなくなっちゃうかもしれない
リスクがあるところとか
ちょっと早めに調査してみるみたいなところで
やっていくのが一番
コスト的にも労力的にもいいのかな
中内康裕
っていうところですかね
そうですね まずは日本で登録できればいいや
っていう風に考えちゃうケースも結構多いんですけど
早いうちから
海外展開とか海外の商標も見据えて
検討いただくのがいいかなと思います
小松隼也
はい ありがとうございました
じゃあ今回は
商標登録
しやすい名称だったり
商標登録しづらい名称
っていう話をさせてもらったんですが
商標に関しては
今回お話した内容以外にも
日本で最近改正を行われた
氏名商標に関する話だったり
昨今
相談が多いデジタルコンテンツに関する
商標の話だったりがあるので
またちょっと改めて
商標に関するお話をする機会は
作りたいなと思うんですが
次回のみこたまファッションロー&ビジネスでは
またですね
直近で
規制が予定されている
ステマに関するお話っていうのを
していきたいなと思いますので
次回は私と海老澤弁護士の2人で
ステマに関するお話をしていきたいと思いますので
またぜひお聞きください
よろしくお願いします
中内康裕
ありがとうございました
海老澤美幸
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