生成AI利用の現状と学力格差への懸念
教育カフェテラスの時間です。進行役の水野太一です。 この番組では、国内外の教育の最新情報を現場の目線でお伝えしています。
アシスタントの高橋紗友香です。 今日はAIの話が出てくると伺って、少し身構えています。
身構えなくて大丈夫です。 紗友香さん、今日のシーンは説明する力です。
AIに伝わる言葉を書くことと、自分の考えを声に出すことを、ひとつながりのものとして扱います。
あ、そこがつながるんですか。想像していませんでした。
まず、子どもとITの7月30日の記事です。
アルサーガパートナーズという会社が、全国の教職員328名に、生成AIについて聞いています。
学校では、そもそも使っていいことになっているんでしょうか?
公式に許可している学校が53.7%でした。禁止が14.6%で、わからないと答えた人が31.7%います。
わからないが3割というのが、実態を表している気がします。
許可されている学校では、実際の利用率が69.8%に達しています。
その上で、一番目を引いた項目があります。
プロンプトが上手な生徒ほど学びが深まったり、気づきを得たりしているという問いに、72.3%の先生がそう思うと答えました。
プロンプトというのは、AIへの指示のことですよね。それが上手だと学びが深くなるんですか?
会社の分析では、先生たちはプロンプトの設計力を、問いを立てる力や思考を深める過程に影響するものとして捉えているとされています。
言われてみれば、上手く聞ける人は、そもそも自分が何を知りたいか分かっている人です。
そこが今日の入り口です。ただ、この調査には気になる数字もありました。
生成AIが入ってから学力の格差が広がったと感じる先生が、合わせて51.2%います。
半分ですか。使える子と使えない子で差が開いたということでしょうか。
そう読めます。先生の負担も増えていて、AIの使い方を自分で研究する時間、提出物がAIの丸写しでないかを確かめる時間、AIの答えが正しいかを確かめる時間が、それぞれ3割ほど上がっていました。
チェックの仕事が増えているんですね。先生たちはこれからどうしたいと考えているんでしょう。
補助的な道具として限られた範囲で使う。課題を解決しながら慎重に導入する。導入すべきでない。この3つを足すと71.6%です。積極的に導入すべきという回答は20.4%でした。
思ったより慎重です。でも禁止したいわけでもないという感じがします。
記事もそう結んでいます。求められているのはAIを追い出すことではなく、格差や負担という新しい課題を片付けながら安全に取り入れる道筋だという見方です。
子どものスマホ利用と対話を通じたデジタルリテラシー育成
家庭の方はどうなんでしょう。学校で使えても家ではのばなしということもありそうです。
そこで2つ目です。日経BPの7月27日の記事に、Appleが子供のスマートフォンとの関わりを変えようとしているという話がありました。
制限を強くするということですか。
むしろ逆の方向です。1つはアプリごとに使える時間を決められる機能です。
学習のアプリは長め、SNSは短め、作ることが中心のゲームは中くらいという具合に、性質に応じて親が決められます。
一律に何時間までではないんですね。
さらに面白いのが、子供が新しいサイトを見たいときに、親に確認のリクエストを送る仕組みです。
親は自分のスマートフォンで通知を受け取って、その場で判断します。
それ、判断だけで終わりそうな気もします。
記事はそこを大事に見ています。なぜこのサイトはダメなのかという会話が親子の間に生まれる。そこがデジタルリテラシーを育てる場になるという主張です。
禁止するだけだと理由が伝わらないままですものね。
これまでスマートフォンを持たせる不安は、何を見ているかわからないことと、使いすぎてしまうことの2つでした。
この2つに手を当てながら、禁止と制限から、一緒にマナブへ移そうとしています。
他の会社にも似た機能はありますよね。
Googleにも同じような仕組みがあります。
違いは入り口で、Appleは基本ソフトそのものに組み込んでいるので、ブラウザもアプリの購入もメッセージもまとめて対象になります。
小学1年生の算数授業における説明する力の育成
ここまでは大人が言葉をかける話でした。子供の側が説明する話はどこに出てくるんですか?
3つ目です。
eスクールニュースの7月30日の記事で、アメリカの小学1年生の担任の先生が書いています。
子供は私たちが与えているよりも遥かに深く考えられるという一文から始まります。
小学1年生でですか?
授業では袋から効果を取り出して、それぞれの価値を数えて合計を比べます。
2人組でやって、その後自分の効果がいくらなのかを説明する短い動画を撮ります。
説明を録画するんですね。書かせるのとは何が違うんでしょう?
紙では見えなかったつまずきが出てきました。
効果の価値は分かっているのに、数を飛ばして数えるときに途中で分からなくなる子。
5セント効果と10セント効果を取り違える子。
答えはあっていても途中が崩れていることがあります。
答えだけ見ていたら絶対に気づけません。
先生はそれまで最終的な答えにばかり目を向けていたと振り返っています。
説明を定期的に聞くようになってから、子供は言葉を意図して選ぶようになり、
自信を持って共有するようになり、会話から学ぶようになったそうです。
最初から話せる子ばかりではないですよね。
最初はためらっていた子がいて、動画を撮ることで自信を取り戻し、
春にはもっと算数の時間が欲しいというようになったと書かれていました。
それは聞いていて嬉しくなります。
算数と日常をつなげる工夫もしています。
料理の材料を測る、おもちゃ屋さんで値段を足す、
アメリカの算数と数学の教育団体の研究でも、
日常と結びつくと理解が強くなるとされています。
説明を録画すると先生が全部見るのが大変になりませんか?
そこでAIが出てきます。
子供の説明を記録して整理してくれるので、
先生はクラス全体の傾向や勘違いのパターンも早く捉えられるようになったと書かれていました。
説明する力とAI活用の根源と教育の未来
あ、一つ目の話に戻ってきました。
戻ってきましたね。
プロンプトが上手な子ほど学びが深いという話も、
効果の説明を録画する話も根っこは同じです。
自分が分かっていることを外に出せる言葉にできるかどうかです。
しかもその力は端末があるかどうかとは関係のありません。
そこが救いです。
AIを入れられない学校でも説明させることはできます。
逆にAIを入れても説明させなければ答えだけが行き来して終わります。
格差が広がったという51.2%もそこが別れ目なのかもしれません。
私もそう考えています。
道具の有無ではなく言葉にする場を用意しているかどうか。
教育カフェテラス、今日はここまでにします。
最後までお聞きくださってありがとうございました。
それではまた次回お会いしましょう。